道の駅「湖畔の里福富」で、湖面に映り込んだ紅葉狩りを堪能(トイレ○仮眠○休憩◎景観○食事○設備◎立地○)

福富ダムは、広島県の沼田川総合開発事業により建設されたもので、流域の洪水調整、既得取水の安定化、河川環境保全のための流量確保、水道用水の確保を担う、流域2つ目の多目的ダムです。ちなみに1つ目は、沼田川支流の椋梨川に建設された椋梨ダム。集水域160㎢を有し、昭和44年に完成しています。このダムも多目的ですが、水力発電用水の役割も担っています。

福富だむは、1968(昭和43)年の予備調査着手から2009(平成21)年の運用開始まで実に41年間もの歳月をかけて建設されました。広島県が設置するダムの中で最大級の総貯水容量を誇ります。建設された位置は広島県南部の最高峰鷹ノ巣山(標高922m)を中心に、周囲を標高700m以上の山々で囲まれ、里山が広がり、豊富な水資源を有するエリアです。

41年間の歳月と総事業費430億円の経費をかけて建設されましたが、水利権を持つ福富町は、建設費のわずか0.625%を負担したに過ぎません。まあ、この辺りは国、県、町それぞれの役割があるので、一概にどうのこうのは言えないのですが。

福富ダム建設時に、仮排水路としてトンネルが掘られました。上流側100mは貯水のため塞がれましたが、下流側100mは空洞のままです。このトンネルには、下流側に頭を向けた龍神の絵が左右の壁面に1頭ずつ描かれています。それぞれ、久芳の「虚空蔵の水岩伝説」に登場する龍神と、上戸野の「鰐淵の滝伝説」に登場する龍神を描いたもので、福富町がダム見学会を開催した際に、町内の絵画クラブの人に依頼して描いていただいたのだとか。

このダム見学会には多くの町民が参加し、トンネルの壁面にある50㎝四方の型枠跡をキャンバスに見立て、参加者は自由に詩や絵を描いたと言います。それらはダムによって水没することになる地域の方による故郷への感謝の言葉、先祖・家族への想いなどであり、水に沈んだのちも絵とともに龍神に守られ残されています。

湖畔には道の駅「湖畔の里福富」や各種のスポーツ施設

まずダム湖の湖畔には道の駅「湖畔の里福富」がある。

大型遊具やデイキャンプ場を備えたこの道の駅のほか、パークゴルフ場や多目的グラウンドなどが周辺に整備され、それぞれ地域の人々の憩いの場になっている。

福富パークゴルフ場は年間1万人を超える利用者があり、椋梨ダムに設置されている河内パークゴルフ場との相乗効果もあって、大会も開催されるようになっているのだとか。福富多目的グラウンドは平成27年度に完成し、2か所のグラウンドで軟式野球1面、ソフトボール5面、少年サッカー5面を備えている。こちらも年間約3万人の利用があるそうだ。

また、福富バイパス北側のダム湖周辺道路が1周約4㎞あることから、周回数を調整することでハーフマラソンやフルマラソン大会の開催も可能。そのスタートゴール会場としてのグラウンドの新しい利用も始まっている。建設にあたっては、東広島呉道路や国道2号バイパスなどの残土を受け入れて敷地を造成。これにより、東広島市内の高速道路と国道バイパスの工事が加速して早期完成に繋がったという経緯もあるという。

しゃくなげ湖を臨む道の駅「湖畔の里福富」

道の駅「湖畔の里福富」は、ダム建設により水没した集落の代替となる新市街地「レイクヒル福富」のすぐ近く。そうした立地もあってか、そこそこの賑わいを感じる。

まずは道の駅の展望台からは、ダム建設によってできた「しゃくなげ湖」と呼ばれる美しいダム湖を一望できるが、これが素晴らしい。

ダム湖の反対側の、山の景色もなかなかいい。

また、無料で遊べる大きな子供用遊具もあって、家族で訪れている人も多いようだ。

宿泊可能なキャンプ場もあり。コンサートなどが開催可能な多目的広場もある。

駐車場、トイレ、休憩場所など、道の駅の基本機能は文句なし

駐車場は非常に広い。その広さからするとトイレはさほどの規模でもないが、混雑して困るということはまずないだろう。

物産館で販売されている特産品の数々

道の駅には、多目的ホール、物産館、農作物直売所、レストラン、フードコートがある。

2022年4月に一度リニューアルして、ジェラードやスイーツを提供するフードコートが入るなど、 若者も多分に意識した道の駅へと生まれ変わっている。

物産館の横にある農作物直売所では50種類くらいの野菜、果物を販売。

上の写真の右下でかなり品薄になっているが、「侍ネギ」は東広島市のみで生産されている希少な商品だ。下の水産加工物も、野菜ほどではないにしろ、中国山地の山中の立地からするとかなり充実している。

福富町特産の荏胡麻を使った商品として「荏胡麻ドレッシング」「荏胡麻油」「焙煎荏胡麻の実」「荏胡麻そば」「荏胡麻ふりかけ」「荏胡麻魔法のスパイス」、 荏胡麻入りの本駅オリジナル商品「湖畔の里饅頭」などがある。

市町村合併によって同じ東広島市となった旧西条町特産品の「西条地酒」も販売されている。 加茂鶴/山陽鶴/白牡丹/福美人/加茂泉などの錚々たる日本酒とともに、本駅限定商品「湖畔の里福留」も販売されている。また、福富町で獲れたジビエ「猪もも肉」「猪ロース肉」や「焙煎椎茸醤油」「樽もなか」「どら焼きでがんす」「しゃくなげ煎餅」などの福富町の特産品にも注目してほしい。

レストランで提供されている福富野菜を使った各種の料理

道の駅「湖畔の里福富」の「食」の施設は、レストラン「Riche Kitchen」とフードコートの2つがある。

まずレストラン「Riche Kitchen」では、福富野菜を使った健康的な料理を提供している。

「福富ベビーリーフラーメン(880円)」は福富町産のベビーリーフが入った醤油豚骨ラーメンで、ベビーリーフの苦みがアクセントになっている。 「福富野菜のダムカレー」は野菜とカレールーを、黒米で作ったダムで堰き止めて提供される。「福富の唐揚げランチセット」「ソーセージランチ」「ジビエハンバーグランチ」 「ジビエラーメン」「つるつる細うどん」などメニューは多彩だし、レストランにはテラス席もあって天気を良い日は「しゃくなげ湖」を見ながら食事を楽しむことができるので、ぜひ利用されてはいかがだろう。

フードコートはイートインもしくはテイクアウト

フードコートにはジェラード工房、スイーツ工房、サンドイッチ工房の3つの店舗が入っている。ジェラード工房では「いちじくジェラード」「マロンジェラード」など、 スイーツ工房では「マフィン」「アップルパイ」「くりくりあんこパイ」など、サンドイッチ工房ではハムエッグ/カレーの2種類のホットサンドをそれぞれ提供している。 フードコートで販売されている商品はすべて店内のイートインコーナーを利用していただけるし、テイクアウトもできる。テイクアウトといえば、「だしカラ」や「米粉ドーナツ」も美味しそうだ。