百名山「大山」の南側を東から西、道の駅「奥大山」へ。現れたのは冠雪大山の壮観(トイレ○仮眠△休憩○景観○食事○設備○立地○) 

大山は、1936年(昭和11年)に日本で3番目に指定された国立公園です。この後、1963年(昭和38年)には蒜山地域、隠岐島、島根半島、三瓶山地域が追加指定され、現在の「大山隠岐国立公園」となっています。

大山は、中国地方では数少ない火山の一つです。西側から見ると富士山のようにも見えるのですが、富士山のでき方とは根本的に違います。古い火山に、新しい別の火山がかぶさるようにできた火山で、これを「複成火山」と言います。

この、富士山との違いは、北側、反対の南側から見てみるとよくわかります。斜面が激しい崩落によって、どちらもとても険しい様相を呈しているのです。地元の人はそれぞれを“北壁”“南壁”と呼んでいます。

兵庫県の住人である私は、今回、兵庫県側(大山から見て南東)から、明け方から早朝にかけて大山の南をひたすら西へと車を走らせ、最終的には道の駅「奥大山」に至る道に「絶景スポット」を探しつつ、冠雪し始めた大山“南壁”の壮観を楽しみました。

雪の上にしっかり「傘」を被って

2024年12月2日朝、すでに冠雪している大山は、おしゃれな?帽子をかぶっていた。

湿った空気が勢いよく山にぶつかると、斜面を駆け上がって雲が発生する。このとき上空の風が強いと、風上側の斜面で雲が発生し、風下側の斜面で雲が消えていくという現象が起こるのだが、これを絶え間なく繰り返すことによって、山頂付近に雲が止まって見えるようになる。

興味を持ったのでもう少し詳しく調べてみた。まず、強い風が山にぶつかると、山の両側や上方において風の流れが変わるということ。その空気が湿っていると、空気が山にぶつかって持ち上げられると膨張して冷えることで雲ができ、山頂の風下側で再び空気が下っていくと今度は空気が暖まって雲が消える、という原理で、山頂付近にだけ雲ができるという現象が起こるのだと。

時間が経過しても空気の流れは急には変化しない場合、風が上昇する過程で雲ができて、風が下降する過程で雲が消えていくという現象を絶え間なく繰り返す。山頂部分に雲が止まって見え、それは笠をかぶせたように見えるため、「笠雲」と呼ばれる。ちなみにこの空気が上昇、下降を繰り返す動きが山の風下側まで続くと、「つるし雲」と呼ばれる雲が発生するが、この朝私が大山頂上に見た雲は、典型的な「笠雲」だった。

なぜ見る方向によって全く異なる姿を見せるのか

見る方向で大きく変化するのが大山の景色である。

まず、西側(特に南西)から見ると、「伯耆富士」とも呼ばれるように富士山のように見える。

しかし大山は、富士山とは全く成り立ちが異なる「複成火山」である。古期の成層火山と新規の鐘状火山とからなり、山頂部分の大円頂丘は小爆発や烈しい侵食と崩落によって、南壁や北壁の急崖を形成した。南側、北側から見る大山の姿は、なだらかな傾斜の西側の風景とはまったく異なり、とりわけ北東側から望む大山は実に険しい山容を描き出す。

かつて私は大山の北西米子から南に約30分行った江府町というところから大山を見たことがあるが、まさに断崖が横に広がって見えた。おそらくもっとも断崖の凄さを見ることができるのは、大山の真北に位置する大山町からで、大山の「北壁」を間近に仰ぎ見ることができる。それは、尾根づたいの弥山~三鈷峰北縁の馬蹄型大断崖で、比高400m、長さ2kmにわたって屏風型の岩肌がそそり立っている、その景色である。さらに東側の琴浦町(大山の北東)からも、同じような形の大山を見ることができる。

そして南側からは、今回私が見た、このような大山である。

「奥大山」に到着しておいしい水をいただく

さて、大山のブナ林と水の関係を少し。

写真:奥大山の森

ブナの木は20万から30万の葉をつけるといわれる。森の涵養(かんよう)性とよく言われるが、やがてその葉は落ちて腐葉土となり、その保水力の高い天然のスポンジは雪解け水や雨水を貯える。この水が再び地表に湧き出してくる時間は実に20~30年。湧き出してくる水は栄養分たっぷりで、里の田んぼを潤し、日本海に流れ込んでいく。大山町の海側でサザエの水揚げがダントツ県内一なのは、このためである。

また、大山山麓には多くの湧き水・名水ポイントが点在する。代表的な名水ポイントの一つが「奥大山」だ。奥大山地域に降った雨や雪は地中へとゆっくりと浸透し、約100万~2万5千年前の火山活動でできた火砕流の地層に磨かれて、南へと向かう水脈となる。そして、この天然の濾過装置をおよそ20年以上かけてゆっくりとくぐり抜けることによって、程よいミネラルを含む天然水へと磨かれていく。

サントリーホームページより

標高1,709m、中国地方の最高峰・大山の南壁から岡山県との県境に至る烏ヶ山を抱く「奥大山」は、日本海側から見ると、まさしく奥の奥。奥大山は、豊かな自然と、清冽な水があふれる、水の理想郷だ。

こぢんまりした道の駅「奥大山」は大山の威容と好対照

道の駅「奥大山」には、物産館「ぶなの森」と直売所「みちくさ館」、そしてレストランがある。

奥大山 天然水

直売書「みちくさ館」は地元野菜、加工品を販売して20数年。ここには奥大山の雄大な自然に育まれた産品が集まってくる。

物産館ぶなの森
物産館ぶなの森
物産館ぶなの森
物産館ぶなの森

物産館「ぶなの森」には、奥大山産の食材を使用した、ここでしか買えないオリジナル商品・山陰の定番商品・ユニー クなご当地商品の数々がひしめく。奥大山産原木椎茸を使用した人気 No.1 商品「しいたけ醤油奥大山」「しいたけごまドレ奥大山」、地元大岩酒造の酒粕を使用した「奥大山酒まんじゅう」、女性に人気の「大山ブルーベリー豆乳ムース」など、ここでしか買えないオリジナル商品が実にたくさんある。

物産館ぶなの森
物産館ぶなの森
物産館ぶなの森
物産館ぶなの森
物産館ぶなの森
物産館ぶなの森
物産館ぶなの森

また、お食事処なないろ樫では、写真の「大山どりの唐揚げ定食」をはじめ、すべての食事に、奥大山そば、奥大山米、奥大山産みそ、大山どり等の地元食材を使用。メインから小鉢、漬けものに至るまで、所謂出来合いの物は一切使用せず、一からすべて手作りで提供しているという。

大山鶏を使ったメニュー

「大山どりの唐揚げ定食」は、ジューシーでコクのある銘柄鶏「大山どり」を、奥大山産原木しいたけや昆布などを使用し、化学調味料不使用の味付けで柔らかくカリッと美味しく仕上げてある。

奥大山産そば粉を使ったメニュー

「奥大山ざるそば」には、薫り豊かな奥大山産そば粉を使用。専門店直伝の自家製そばつゆも美味しいので、食後にはそば湯はマストだ。

「奥大山セット」は、奥大山ざるそばに奥大山おこわが付いて、地元名物がセットで味わえる。

奥大山産そば粉を使ったメニュー
奥大山地美恵(ジビエ)を使用したメニュー

写真上は、奥大山産鹿肉を使用した、臭みの無いスパイスキーマカレー(写真上)と、スパイスチキンカレー(写真下)。

大山鶏を使ったメニュー
奥大山高原みそを使ったメニュー

地元・農事組合法人宮市さんの「奥大山高原みそ」を使用した濃厚な味噌ラーメン。他にも実にさまざまなラーメンがある。

駐車場、トイレ、休憩スペースについて

駐車場は道からすぐ入れる。しかし2つの駐車場ともに道の真横にベッタリとくっついているので、仮眠に適しているとは言えないかもしれない。

トイレはごく普通。休憩スペースも、缶コーヒーを飲む程度の少しの休憩ならほっこりできる。

下は、道の駅の敷地内にあるバスの待合室。

道を挟んで向かいにはコンビニもある。