生態系破壊断固阻止に「釧路湿原」へ。道の駅「しらぬか恋問」から(トイレ○仮眠◎休憩○景観○食事○設備◎立地○) 

北海道釧路市の釧路湿原周辺で計画した太陽光発電所の建設予定地で国の天然記念物オジロワシの営巣が確認され、事業者が建設計画を断念するかどうかに注目が集まっている。

私が問題視している事業者は大阪市の「日本エコロジー」。https://nihon-ecology.co.jp/

釧路湿原周辺の昭和と北園の2地域(計約27ヘクタール)に出力2万1千キロワットの太陽光発電を計画。昨年12月の住民説明会では予定地に「オジロワシやタンチョウの巣はなく、キタサンショウウオも生息していない」としていたが、その後、昭和地域の予定地3区画(計6・5ヘクタール)のうちの1区画(約2・5ヘクタール)にオジロワシの営巣木があることがわかった。

2025年2月の住民説明会において事業者はしつこく「オジロワシの営巣木は区画の約5メートル外側」としたが、事業者は区画の位置を意図的に?改ざん。営巣木は区画内にあることがわかり、3月下旬には営巣木で抱卵するオジロワシが実際に確認されている。

釧路市と日本エコロジー

これを受け、市教委は3月21日、文化財保護法に基づいて少なくとも5月下旬(抱卵期)までは営巣木の原則500メートル圏内での測量や現地調査は事前に文化庁長官の許可が必要と通告。事業者・日本エコロジーは4月、「建設取りやめを検討している」と文書で市に伝えてきた。

釧路湿原はヨシやスゲなどが繁茂する平坦な原野で、農業には不向きだが、土地が安価なうえ、少雪で日照時間も長く、太陽光発電所には適している。大半が市街地調整区域であるため、建築物を建てるには都市計画法の許可が必要だが、太陽光パネルは許可が必要な特定工作物に該当しないため、許可申請などの手続きが不要で事業開始のハードルが低い。

釧路市は許可制の条例化を目指しているが、釧路湿原は広大で、周辺の自治体も条例をつくらなければ効果は薄い。また、太陽光発電だけの規制条例では風力発電や産廃処理施設など他の開発に対応できない面もある。

守るべきものがあるやろ

野生動物にとって、当該地域は釧路湿原国立公園と市街地との緩衝地帯である。太陽光発電所の建設が野生動物の生息に及ぼす影響は計り知れない。

オジロワシの場合、巣立ち後も親が9月下旬ごろまで巣外のヒナにエサを運んで育てる。このため、ソーラーパネルの下にヒナが潜り込むと親が上空から発見できず、ヒナが餓死する可能性が高い。ヒナは警戒心が薄いため、工事現場にも近づくが、親は警戒してエサを運ばなくなり、これも餓死につながる可能性がある。

いま営巣木では抱卵を終え、孵化したヒナを育てる時期に入っていると思われるが、このつがいは約10年前からここで子育てを続けている。営巣木がある区画の計画は中止しても、近接の2区画で計画を進めればヒナへの影響はもとより、今後、このつがいがここで繁殖しなくなる可能性もある。

残る2区画、営巣木1キロ以内は中止すべき

昨春生まれた2羽は、しばらくは営巣木から半径500メートル圏でエサをもらっていたが、成長するにつれ、1.5キロ以上先まで行動範囲は広がった。巣外での子育てが終わる秋以降なら巣の近くでもパネル敷設に着手していいのかというと、それは違う。

このつがいは何もなければ来年以降もここで繁殖を続けるだろう。そのためには、最低限、営巣木の1キロ以内での建設はやめるべきである。

今回はオジロワシが天然記念物だったため文化財保護法が盾になっているが、本来は種の保存法に「希少種の生息地保全」がしっかりと明文化されるべきだろう。そうすれば太陽光発電以外の開発からも希少種の生息地(繁殖地のみならず餌場やねぐら、重要な渡りの経路などを含む)を守れるし、市町村単位で様々な開発に対する規制条/例をつくる必要もなくなる。

オジロワシに散弾銃をぶっ放した奴がいる

そんなことを考えながら釧路湿原を旅している最中、北海道千歳市で保護された絶滅危惧種のオジロワシの体内から狩猟に使われる散弾銃の弾10発が見つかり、環境省は鳥獣保護管理法などに違反している可能性があるという報道に接した。

環境省北海道地方環境事務所によると、6月2日、千歳市上長都の工場で弱っていたオジロワシ1羽が保護され、釧路市の猛禽類医学研究所に運ばれた。
研究所が治療に当たったところ、オジロワシは左の翼の骨が折れていて、体内からカモなどの水鳥の狩猟に使われる散弾銃の弾10発がみつかったということ。

環境省によると、撃たれた傷はふさがっているが、4ミリほどの弾が首から左足にかけて確認され、誤って弾が当たったのではなく、なんとオジロワシだと認識できる近距離、そして正面から撃たれたとみられるということだ。
こういう、まさに「心無い奴」にこそ、死に至らない範囲で散弾銃を正面から喰らわしてほしい。

日本最大級の湿原

北海道東部に位置し、28,788haの面積がある釧路湿原は、日本最大と言われるほど広大な湿原だ。東京ドーム約6,000個分とも言われても、全くピンとこない(笑)。
そんな広大の釧路湿原のうち7,863haはラムサール条約に登録されており、湿地の生態系保護を目的として、さまざまなルールが定められている。

釧路湿原には多くの貴重な動植物が生息している。絶滅危惧Ⅱ種に指定された国の特別天然記念物タンチョウをはじめ、オジロワシやキタキツネ、エゾシカ、シマリス、オオワシ、シマフクロウ、クマゲラ、キタサンショウオ、イトウ、エゾカオジロトンボキタサンショウウオ、イトウ、エゾカオジロトンボなど絶滅危機に近い希少な動物がおよそ1,300種類確認できる。

また湿原の約80%にはヨシやスゲが広がり、タライカヤナギ、フタマタイチゲ、クロユリ、ヒンジモ、エゾハリスゲ、ヤチラン、サワラン、カキツバタなど約700種の植物が湿原の美しい光景を構成している。

展望台は6ヶ所

釧路湿原には、広大な湿原を観察できる6つの展望台がある。

見える景色が異なる他、観察できる動物や植物にもそれぞれ特色ある。また、同じ展望台でも季節や時間によって見える景色は変化するので、何度訪れてもまた違った発見があって、キリがないといえばキリがない。

展望台見どころ
釧路市湿原展望台1周約2.5kmの遊歩道、ショップとレストランを併設。3F展望室と屋上からは、湿原と釧路の街が見える。
細岡展望台釧路川の蛇行、雄阿寒岳と雌阿寒岳を眺望できる。夕日スポットとしても人気。
サルボ展望台湿原最大の湖「塘路湖」やポン沼、マクントーなどを見渡せる。塘路湖とエオルト沼の間、釧網本線を走るノロッコ号の撮影も可能。
サルルン展望台サルボ展望台から約800mの場所にある展望台。途中アイヌ民族が儀式を行った「チャシ跡」を見ることができ、サルルン沼や釧網本線も望める。
コッタロ湿原展望台タンチョウ最大の生息地を見渡せる。アオサギなどの野鳥に出会える場合もあり、氷河期からの生き残り「イイジマルリボシヤンマ」の出現ポイントとしても有名だ。
北斗展望地釧路市湿原展望台から北へ約500mの場所にあって「サテライト展望台」とも呼ばれ、朝日を眺めるには絶景のロケーション。

動植物を観察できる遊歩道も6つ

湿原内にある6つの遊歩道では、間近で大自然の中の動植物を観察できる。遊歩道によってはアップダウンが激しい道もあり、私などにま完走が難しい遊歩道も。

遊歩道見どころ
釧路市湿原展望台の遊歩道あおさぎ広場や丹頂広場など、休憩ポイントが充実。サテライト展望台へは約1kmの木道が続く。
温根内木道温根内ビジターセンターを起点とした木道で、1周約2km。ミズゴケ湿原や季節の花々が美しい。
シラルトロ湖の遊歩道湖沿いの遊歩道。オオハクチョウやカワアイサ、ヒシクイ、オオワシを観察できる。「蝶の森遊歩道」へと繋がる。
細岡展望台の遊歩道細岡展望台に隣接する細岡ビジターズのラウンジ横から続く遊歩道。野鳥の声を聴きながら、30分ほど林の中の散歩を楽しめる。
達古武夢ヶ丘歩道丘陵地にある約2.3kmの遊歩道。ヤチボウズやミズバショウなどの植物を観察できる。道中にはわき水、頂上からは釧路川に沿って走る列車も。
塘路湖畔歩道・フィトンチッドの森歩道アカゲラやシジュウカラなどの鳥が多く見られるバードウォッチングにぴったりの遊歩道。道中にはアイヌ民族の遺跡展示もある。

釧路湿原の観光ベストシーズン

いつ訪れても素晴らしい風景だと言われる釧路湿原だが、植物の成長や美しい景色を眺めるなら6~7月がベストシーズンとされる。動物たちを観察したいなら春、鮮やかな紅葉を楽しむなら10月上旬~中旬もいいようだ。そして、防寒対策が必須となるが、幻想的な雪景色やタンチョウを観察するなら1~3月がベストだという。結局、ベストはオールシーズンということか。

最寄りの道の駅は「しらぬか恋問」?

何せ広い釧路湿原なので、目的地によって最寄りの道の駅は異なる。
今回私は、2025年4月29日に移転オープンし国道38号沿いにあり太平洋が一望できる道の駅「しらぬか恋問」から釧路湿原にアクセスした。

移転する前の旧い道の駅も建物はまだそのまま残されていて、ここも散歩してみるとなかなかいい感じだった。

一転、出来立てほやほやの新しい道の駅の施設内には、地元の特産品やお土産品が買える直売所、豚丼やラーメン、白糠町の地元食材を利用した料理、パンやデザートを販売する飲食店が充実している。

特産品ショップイメージ売店には、ふるさと納税でも大人気の新鮮な海産物をはじめ、地元の農畜海産物が。
「鍛高ラムネ」や「酪恵舎」のチーズ、「馬木葉」の鹿肉など、白糠町自慢の特産品が並べられている。

施設中央には飲食や休憩ができる「あずましリビング」、子供が遊べる「こっこパーク」にはアスレチックや滑り台がある。

さらに海が見えるサウナ、コインシャワーやコインランドリー。屋外には予約制RVパーク、EV充電器、ドッグランなどが完備している。

海の見えるサウナ

サウナイメージ

新しい道の駅のウリの一つが、海の見えるサウナだ。

目の前に広がる恋問海岸を眺めながらサウナで汗を流し、その間にコインランドリーで洗濯。24時間コインシャワーでかいた汗を流せばスッキリ。

12台のRVパークで車中泊する人には便利だろうし、観光客・地元民問わず楽しめそうだ。