懐かしの「比叡山」へ。道の駅「妹子の里」から25年ぶりに向かった(トイレ◎仮眠○休憩◎景観○食事○設備◎立地○) 

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この写真は、ちょうど25年前(1999年)の秋、父母を誘って、比叡山に家族で紅葉狩りに出かけたときの一枚です。

このとき、鐘をついている私の親父はまだ60代(69歳)で、親父のことを見上げている娘は2歳。そして私は働き盛りの41歳でした。

一言で25年間と言っても、それはそれはいろいろなことがありました。娘は成長して大人になり、今や東京で社会人生活。人生のピークへとまっしぐらです。逆に親父は老い、今やほぼ寝たきりで、立って鐘をつくなど夢のまた夢となりました。

言わずと知れた比叡山延暦寺は、延暦7年(788年)に最澄が開創した天台宗の総本山です。今日まで1,236年の歴史の中で、国宝的人材育成を標榜し、学問と修行の道場として法然・親鸞などの日本仏教各宗各派の名僧を多数輩出してきました。結果、「日本仏教の母山」という最上級の評価を得ています。この歴史と伝統は国際的に高い評価を受け、ユネスコ世界文化遺産に認定されています。

若い頃は長く京都に住んでいて、比叡山にもたびたび京都からアプローチしたものです。しかし、反対側の滋賀県からアプローチするのは初めて。そして比叡山、そして延暦寺を訪れるのは1999年以来のこと。実に四半世紀ぶりです。

甲子園500個分の境内に100もの堂宇

「延暦寺」は、比叡山の山内にある1700ヘクタールの境内地に点在する約100ほどの堂宇の総称。延暦寺という一棟の建造物があるわけではない。
甲子園500個分に相当するあまりに広大な境内があり、そこに100ほどお堂があるわけで、延暦寺を一通り見て回るだけでもまる一日はかかる。

その山内は、3つの地域に分かれている。これを三塔と言い、東を「東塔(とうどう)」、西を「西塔(さいとう)」、北を「横川(よかわ)」と呼んで区分。東塔・西塔・横川それぞれに、中心となる仏堂「本堂」がある。

延暦寺最大の仏堂は東塔の根本中堂

東塔にある根本中堂の建物は国宝、廻廊は国重要文化財に指定されている。延暦寺最大の仏堂であり、延暦寺の総本堂にあたる。最澄が788年に創建した一乗止観院が元となっていて、「不滅の法灯」が安置されている。現在、根本中堂では2016年から始まった約10年に及ぶ改修工事が佳境。ちなみに工事期間中も参拝は可能だ。

1200年以上燃え続ける法灯はまさに不滅

不滅の法灯とは、1,200年もの間一度も消えたことがない灯明である。根本中堂の内陣にあり、僧侶たちが毎朝夕に菜種油を絶やさないように注ぎ足し、今日もその灯を守り続けている。不滅の法灯を供えたのは、もちろん延暦寺を創建した最澄である。

「末法の世を乗り越えて弥勒如来がお出ましになるまで消えることなくこの比叡山でお守りし、すべての世の中を照らし、すべての人々が救われるように」

最澄は、法華経の教えを表すこの光にこうした願いを込め、供えた。不滅の法灯は、まさに恒久平和を願う灯なのである。

法然・親鸞など各宗派の宗祖の木像が祀られ る大講堂

大講堂は、根本中堂の近くにある。大講堂も国指定の重要文化財。824年に創建され、何度も焼失・復興を繰り返してきたが、現在の建物は1963年に山麓坂本の讃仏堂を移築したものだ。
大講堂内部には、本尊である大日如来に加え、比叡山で修行した法然・親鸞など、各宗派の宗祖の木像が祀られている。また、外陣では釈迦をはじめ仏教・天台宗ゆかりの高僧の肖像画を観ることができる。

法華総持院東塔

最澄は、全国6箇所の聖地に宝塔を建立し、日本を護る計画を立てた。その宝塔を総括する重要な役割を担ってきたのが法華総持院東塔。ここが国宝的人材育成の旗印であり、象徴である。実は信長の焼討ち以前に焼失していたが、550年経った1980年に再建された。本尊には大日如来をはじめとする五智如来が祀られていて、塔の上層部には仏舎利と法華経がある。

合格祈願は文珠楼で

文珠楼(もんじゅろう)は、根本中堂前の高い石段を登った場所にある。歩いて本坂を登ってくるとまずこの門を潜ることになる。つまり比叡山の総門の役目を果たす重要な楼門で、ここが延暦寺の山門にもあたる。ここには知恵の象徴である「文殊菩薩」が祀られていて学業のご利益があるとされ、受験生の合格祈願などで賑わう場所だ。

西塔エリアの釈迦堂(転法輪堂)

最澄自作と伝わる本尊釈迦如来を安置することから釈迦堂と呼ばれている転法輪堂。ここが西塔の本堂にあたる。 どこか戦国時代の風情を感じられるのは、その時代を勝ち残った秀吉が1595年に三井寺より移築した延暦寺の最古の建物であるからだろうか。国重要文化財に指定されている。

にない堂(常行堂・法華堂)

同じ形をした2つのお堂が、廊下によって繋がっている。この個性的な建築物は、にない堂とも呼ばれているが、その由来は弁慶が両堂をつなぐ廊下に肩を入れて担ったとの言い伝え。 本尊はお堂ごとに異なっていて、正面向かって左の常行堂は阿弥陀如来。右の法華堂は法華三昧を修す普賢菩薩を本尊としている。

比叡山内で最も清浄な聖域と呼ばれるのが浄土院。延暦寺を創建した伝教大師「最澄」の遺骸が眠る御廟だ。

最澄が眠る浄土院は聖域中の聖域

大津市の延暦寺「聖域中の聖域」が年1回だけ開く 「最も大切な日」に訪ねると|文化|地域のニュース|京都新聞

浄土院の境内には同寺を開いた最澄が眠る御廟があって、聖域中の聖域とされるゆえ、通常は扉は閉じられたまま。最高位の天台座主ですら立ち入ることが許されない。扉が開くのは、年に1日だけである。

横川中堂は秋がいい

横川の本堂にあたる横川中堂。舞台造りの建造物で、船が浮かんでいる様に見えるその姿は非常に美しい。周囲は新緑の苔と青紅葉に囲まれていて、建物の赤と植物の緑が見事に調和。特に秋には赤紅葉が咲き誇り、いっそう美しい景観となる。

おみくじ発祥の地「元三大師堂」

横川中堂から5分ほど歩いたところに、元三大師堂がある。現代のおみくじの形を考えた「良源」の住居地と伝えられ、おみくじ発祥の地とされる。おみくじといっても、元三大師堂のおみくじは「運勢占い」のようなものとは性質が違う。お坊さんに各々抱える悩みを聞いてもらい、解決策を助言していただく。どちらかというと人生相談に近いものというから興味深い。

恵心堂は、恵心僧都「源信」の旧跡である。後の浄土宗や浄土真宗などの源となる日本浄土教の基礎を築き、日本宗教に多大な影響を与えた源信は、この恵心堂において『往生要集』や『二十五三昧式』などを著わしたとされる。

道の駅「妹子の里」の利用客数年間83万8千人は県内トップ

滋賀県の大津市から福井県敦賀市までを繋ぐのが高規格道路「琵琶湖西縦貫道(国道161号線バイパス)。 その琵琶湖西縦貫道の、大津市側から3分の1ほど進んだところ、和邇IC近くに道の駅「妹子の郷」がある。

比叡山は、道の駅「妹子の里」から西方面。近すぎて他の山や建物が邪魔になり今一つの景観だが、琵琶湖の対岸から仰ぎ見る比叡山は実に素晴らしい。

道の駅「妹子の里」は、和邇(わに)ICの下り線すなわち南行き大津方面に直結している。したがって逆の上り線からは、一旦、和邇ICで降りて一般道経由で本駅に向かう必要がある。有料道路だと料金が変わるという問題が生じるのだが、琵琶湖西縦貫道は通行料が不要なので上り線側からのアクセスでも金銭的負担はない。

道の駅「妹子の里」の利用客は、滋賀県内の道の駅の中でトップの年間83万8千人(2023年実績)。施設はこじんまりとした印象で、実際、道の駅のスケールとしてさほどでもない。やはり湖西における交通の要衝なのだろう。

道の駅の建物を挟んで北側に第1駐車場、南側に第2駐車場がある。駐車場は普通車87台、大型車28台分が用意されているが、第一駐車場の普通車の利用は特に多く、かなり混雑している。 駐車場混雑時に第二駐車場の利用をしてもさほどの不便はない。 第2駐車場は下り車線側からアクセスする場合、死角にあたるので比較的空いているのだ。

トイレもとても綺麗だ。気持ちよく利用させていただける。

施設内にもトイレはある。

休憩施設としても素晴らしい。屋内外ともに、ゆっくり休めるスペースがたくさんある。

近江牛、そして琵琶湖の幸

道の駅「妹子の里」の物産館は、スペース的にはそんなに広くない。 しかし商品が効率的に配置されていて、スペースの割には商品数は多く、尚且つ全てを見てまわりやすい。 また、道の駅「妹子の里」は高速道路のPA的役割に果たしているゆえ、 地元大津市の商品だけではなく、滋賀県全般の商品を広く扱っているのも特徴となっている。

そういう意味で面白かったのは、ラーメン滋賀県代表の「来来亭」と京都代表の「天下一品」のガチンコ対決。そこに「近江牛ラーメン」が割って入って、果敢に勝負を挑んでいた。

ラーメンに限らず目につくのは「近江牛肉コーナー」だ。 2010年代、ここは「近江牛一頭買いの店」で売り込んでいた道の駅で、現在その一頭買いのコンセプトはややパワーダウンしたとはいえ、それでも近江牛はやはり駅ナンバーワンのブランド商品だ。

道の駅 | 妹子の郷 | 物産館の近江牛コーナー

概ね高価だが、A4クラスの高級牛肉の切り落としが格安価格で販売されていた。

琵琶湖の幸も道の駅「妹子の里」の名物だ。 「淡湖の誉」と銘打たれた佃煮の詰め合わせ(わかさぎ佃煮/しじみしぐれ煮/小エビ飴煮/ちりめん山椒/小鮒佃煮)が販売されている。 蒼い琵琶湖を表現した新しい琵琶湖の特産品の「びわ湖ブルーバウム」も本駅の人気商品になっている。

あまり数は多くないが、地元の大津市の特産品もいくつか販売。 道の駅が位置する旧志賀町の歴史的偉人「小野妹子」を冠した「妹子せんべい」は旧志賀町の代表的な特産品。 せんべいの面に妹子がプリントされている。 大津市公式キャラクター「おおつ光ルくん」がプリントされた煎餅もある。 また大河ドラマ「光る君へ」登場人物の紫式部は大津市の出身。 「光る君へ」とのコラボ商品の「光る紫(漬物)」「柴芋タルト」も販売されている。

コンビニもある。自衛隊員が何人も、ここで昼食を買い込んでいた。

自衛隊員の方の利用が多いのは、この道の駅「妹子の里」が、滋賀県内湖西地方にある陸上自衛隊大津駐屯地と今津駐屯地、航空自衛隊の饗庭野分屯地を行き来するちょうど中間にあるためだろう。国土防衛のための日々の訓練、お疲れ様です!

ここのレストランでは近江牛いっとかんとw

本駅のレストランは、なんと言っても近江牛を中心としたメニュー構成である。
何を隠そう、最悪の心臓疾患「心筋梗塞」で死の淵を彷徨うまで、心臓冠動脈に牛肉による悪玉コレステロールを溜めてきたこの人生だ。

道の駅 | 妹子の郷 | 近江牛ステーキ膳

どうせなら、このステーキ膳をいっときたいと思ったが、やっぱり価格的にちょっと手が出なかった。「一人前近江牛ステーキ御膳」はA4・A5クラスの近江牛120gを陶板焼きで味わうメニュー。 近江牛を200gに増量すると値段はほぼ8,000円に跳ね上がる。

結局2,200円の「近江牛重」で手を打ったが、甘辛いタレに漬け込んだ近江牛がお重いっぱいに敷き詰められていて、十分満足できた。 牛肉に執着がない方は、同等の価格で 肉厚のうなぎを堪能できる「うな重」がいいかも。よりお利口な1,000円代のメニューとしては、「妹子膳(天ぷらと炊き込みご飯)」「ハンバーグプレート」「妹子の赤ハヤシライス」 「近江牛うどん」などがある。

レストランの入り口付近にはテイクアウトコーナーがある。 「近江牛重」などレストランメニューのテイクアウトもあるが、美味しそうな「柚子ゼリー」「ピーチゼリー」「こだわりプリン」などスイーツが多数販売されている。