
大学卒業を控えた冬、車で越前海岸を走った。
これからの社会人生活の、何がバカヤローなのかもわからず、友人と荒れ狂う海に向かって大声で「バカヤロー」と叫んで、学生生活に別れを告げた。
以来、北陸や東北各地への旅行で何度か越前海岸はカスっていたが、越前海岸をがっつり走ったのはあの冬しかなかった。
越前海岸は、北は東尋坊、南は敦賀の杉津にかけての海岸線で、真ん中の越前岬を西端に、緩い「く」の字形で日本海へ突き出ており、北端部には九頭竜川が流れ込んでいる。
冬と夏ではまるで景色も危険も異なる越前海岸だが、44年ぶりに快晴の越前海岸をドライブした。
雄々しい奇岩断崖の海岸美
リアス式海岸である若狭湾と違い、越前海岸は隆起海岸による雄々しい奇岩断崖が特徴だ。












「呼鳥門」や大断崖「鳥糞岩」
風と波の浸食作用が作り上げた自然の大トンネル「呼鳥門」などの奇岩断崖が続く海岸美は独特だ。

大きな岩が海になだれ込むようにせり出し、風と波の侵食で岩に穴がぽっかり開いた洞穴は、長い年月をかけてくりぬかれた自然の大トンネル。呼鳥門は越前海岸を代表する景勝地だ。

越前町の北端、呼鳥門のすぐ南にある高さ約100mの大断崖は、海からほぼ垂直に立つ断崖の先端が海鳥の棲息地。鳥の糞で白く染まるためこの名がついた。
夕陽百選「越前岬」
福井県嶺北地方の最西端は「越前岬」。越前海岸随一の景勝地で、高さ130mもの断崖がそそり立ち、荒々しい波が打ち寄せる。
奇礁が点在し景色がよく、日本の夕陽百選にも選ばれている。特に越前岬展望台からの眺望はすばらしく、東尋坊や敦賀半島を一望できる。

東尋坊と共に日本の夕陽百選に選定されている「越前岬」に沈みゆく夕陽は、まさに絶景だ。

夕日といえば越前町梅浦の旅情公園の、すぐ南側にまさに双子のようによく似た岩が海面から突き出していて、場所とタイミング次第だが、この二つの岩の間に沈む夕陽を見ることができる。
間欠泉「潮吹岩」

越前海岸の銭ヶ浜にある「潮吹岩」は、自然の偶然が造り出した間欠泉だ。
岩と岩の隙間に幾重にも波が押し寄せることで噴き出す潮は、穏やか過ぎても荒れ過ぎても見ることができない。
越前が誇る最高の海の幸「越前がに」

越前海岸は言わずとれたズワイガニの王様「越前がに」の一大産地。


漁港近くの海岸線にはズラリと魚屋、食処、旅館が立ち並び、越前がにシーズンとなる11月から3月にかけて多くの人で賑わう。
越前ガニの本場にある道の駅
越前海岸を走らずに道の駅「越前」に早くアクセスするには、北陸自動車道の鯖江ICから国道417号線→国道365号線→国道305号線→一般道を通って西に29kmのルートだろう。 ただ、鯖江ICと本駅の間には標高約500mの丹生山地があり、どうしても峠道を通る必要がある。
丹生山地を越える道路は国道365号線、県道4号線、県道19号線の3つあるが、ショートカットできるのは県道4号線。しかし道幅は狭く、急坂のヘアピンカーブが続く。急ぐからと県道4号線を飛ばすのは危険だと思う。
道の駅は、越前海岸と丹生山地に挟まれた狭い平地部分に建っている。
片側を見れば真っ青な海、逆の方角を見れば、切り立った崖だ。

道を隔てて海側に物産館、レストラン、温泉、温水プール、観光案内所などの各施設がある。

山側には海産物直売所、カニバイキングレストラン、越前ガニミュージアムの各施設があって、コンスタントに年間60万人以上を集める。
トイレはもちろん両側にあるが、山側のトイレは独立していて、もし駐車場で仮眠するならこちらが使いやすいだろう。



人気の理由は間違いなく越前海岸で獲れる海の幸で、特に越前ガニが道の駅の最大の目玉となっている。
海側は、レストランが人気
私はまず海側の駐車場に入った。




海側の物産館は、商品の数も種類も少なめ。 海産物直売所が山側にあるからだろう。比較的ゆったりと買い物ができる。
物産館の横にレストラン「かねいち」があって、越前ガニの旬の冬は1万円以上する「越前がに定食」を食べる人が多いそうだ。予算がない人はその3分の1程度の値段の「せいこかに定食」。 冬以外の季節には「日替わりお刺身ランチ」「甘エビのソース丼」「海鮮丼」「ソースカツ丼」等がある。
レストランの入り口付近では海鮮惣菜を販売していて、「エビ唐揚げ」「刺身各種」等は安いので、これらを車の中で食べると節約できる。
山側は海産物直売所とカニバイキング

道路を挟んで反対側の山側には海産物直売所と、カニバイキングレストランがある。 本駅を訪れる客の約7割は海産物直売所がお目当てであり、越前カニの旬の時期は特に大勢の客でごった返すという。








「越前ガニ」の旬の真反対の時期なので、売られていたのは格下の「紅ズワイガニ」ばかり。カニ以外にも「ホタルイカ沖漬け」「スルメイカ一夜干し」「カレイ一夜干し」等は、一年を通して買うことができる。
海産物直売所の2階にはレストラン「うおいち」が。
こちらはカニ付きのバイキングだ。 刺身、甘エビ、焼魚、天ぷら、カニ足など、60分食べ放題。 料金は越前ガニの季節は大人は1万円超。紅ズワイガニの季節は4000円程度。
次回は冬に腹を空かせて来て、1万円払って腹が裂けるほど越前ガニを食いまくりたい。カニは殻から身を取るのに時間がかかるから、事前になんか他のものでトレーニングしておかなくては。なんなら、殻ごと飲み込んで胃の出血も厭わない覚悟はできているZ!


