
名勝「義経岩」のある、能登半島東岸にあって富山湾を望む「雨晴(あまはらし)」に行った。
「義経石」「義経岩」というのは、源義経にまつわる伝説や史跡に関連する石や岩のこと。
私の地元・兵庫県には小野市には、源義経が三草の合戦後に立ち寄りこの石に腰かけて休憩したと伝えられる「義経の腰掛石」があり、山口県山口市には、義経が平家追討の祈願をした際に船を寄せたという「汐待ちの石」が、京都府京都市山科区には、義経が腰をかけて休んだとされる「義経の腰掛石」がある。
ここ「雨晴」の「義経岩」は、源義経が奥州へ落ち延びる際、弁慶が岩を持ち上げ、その陰で雨宿りをしたという伝説から「雨晴」義経がこの岩の下で雨宿りをしたという伝説から「雨晴海岸」と名付けられたらしい。
すごいよなあ、源義経は。生きた後に、伝説や名勝がてんこ盛り。
私などが伝説や名勝を作ろうとして適当な石を見つけて腰掛けて休もうものなら、警察に「何をしている?」と職務質問されるだけだろうにw

「立山連峰」の壁、「義経岩」と「女岩」
能登半島国定公園内にあり、「日本の渚百選」、「白砂青松百選」、に選ばれ、「世界で最も美しい湾クラブ」にも加盟している雨晴海岸。
JR氷見線の雨晴駅から徒歩5分というアクセスの良さもあって、氷見方面に続く遠浅の海岸は日本海沿岸有数の海水浴場として知られている。
浜辺の波打ち際からまず目に入るのが女岩(めいわ)、右手に義経岩、そして海越しに標高3,000メートル級の立山連峰が。
冬から春、春から夏へ。
雪の残り方を徐々に変えつつ、立山連峰と富山湾の雄大な眺めはまさに絶景。
ほぼ一年中絵になる雨晴海岸だが、冬の朝はまた違った姿を見せるという。
陸上の冷たい空気が海に流れ込むことで発生する自然現象「けあらし(気嵐)」だ。一度は観たいと思っているのだが、相当の運が必要らしい。
跡を残すということ

ところで、上の写真の構図で横山大観先生が描き残した作品「雨晴義経岩」をご存じの方も多いだろう。



横山大観先生の絵の左後方に描かれたのは女岩(めいわ)は、現在の姿を写真でクローズアップするとこんな姿。岩の上に生えた木の高さと枝の広がりが、今までに経た歳月を物語っている。
このような絵を、私も描きたい。
小学校5年生の、太山寺(たいさんじ)での写生大会で、未完成のまま時間切れとなった際には悔しくて悲しくて友人の前で涙に暮れた、それほど、絵には執着があった私。
芸大にまで行ったが、飯を食うため日本画ではなくデザインを専攻。就職してからずっと家族を路頭に迷わさないために収入を重視。ずっと絵筆を持つことなく人生を過ごしてきた。
得るものがあれば失うものがあるのが人生だが、心のどこかには、素晴らしい絵を遺された先生のような生き方への憧れはずっとあり、だから私の人生の最後、足腰立たなくなった最晩年は、人生の師匠・田中勝さんの箱根の家の片隅にアトリエをお借りし、いま日本の津々浦々を旅している中で心に残る絶景を片っ端から日本画で描きまくり、絵筆を持ったまま息絶えたいと欲す、あ、そこで死んだら田中さんにご迷惑。
個展かなんか開いて、そこでコテンと死にたいと欲する今日この頃なのである。
同じ跡でもいろんな跡があるわいな
ところで大観先生も描いたこの岩の上には、義経神社が建てられており、「義経の腰掛」や「弁慶の足跡」とされる跡、芭蕉の「わせの香や 分入右は 有磯海」の句碑などが残されている。

そんな「跡」ならいいのだが。
今年の2月、この岩に黒のペンで書かれた落書きが見つかった。
落書きは縦15センチ、横20センチほどの大きさで、2つの丸の中に点が描かれるなど顔にも見えるようなものだったという。
カップルが、 踏切を手を繋いでわたった後、軽い気持ちで自分たちが来た跡を遺したのかもしれない。

人生いろいろ、人それぞれ。
残す跡にも、いろんな跡があるものだ。

絶景の道の駅「雨晴」
能越自動車の高岡ICから国道8号線→県道24号線→国道415号線を通って北東に14km、 富山県北西部の高岡市に「道の駅 雨晴」はある。
路面電車と並走する2kmを除けば道中は良くありがちな景色なのだが、 やがて右手に視界を遮るものがなくなると、広々とした海の景色が見えてきて、そこから更に800m程進むと道の駅に到着する。
駐車場の駐車可能台数は34台と小さく、平日でも混雑気味だ。

満車の場合は建物を挟んで北西の方向20m程進んだ先に第2駐車場があるので、 満車時はこちらへ。


トイレは館内。シュッとしたトイレだが、男子トイレ使用者のマナーはあまり褒められたものではなかった。


休憩環境としては、車さえ停められればバッチリ、最高に近いと思う。
というのも、国定公園に指定されている雨晴(あまはらし)海岸にある道の駅「雨晴」は、 雨晴海岸の絶景を鑑賞するために設置された道の駅なのだ。
1階に休憩所、2階に物産館と喫茶店、3階は展望デッキになっている。




道の駅の展望デッキから東の方角を見ると、まずは目の前には真っ青な、「あいがめ」色の富山湾が広がっている。 奥には壁のように立つ立山連峰。 その間に、名勝の「義経岩」や「女岩」などが景色に変化をつける、まさに絶景を楽しむことができる。



ベストシーズンは4月から5月頃。さっと雨が降った雨上がり、空気が綺麗になったあと快晴になり、空気がさらに乾燥してくれれば最高だ。

空気中のゴミや水分量が少ないほど立山連峰がくっきりと見える。
6月になって、梅雨時期に湿気が高くなるともうダメ。その姿が霞んでしまうのだ。 まあ、立山連邦の背景なしでも綺麗けど。
物産館はコンパクト
道の駅の建物施設は、おそらく観光船を模ったのだろう、真っ白な3階建てだ。


商業施設としては物産館と喫茶店があるが、どちらもとてもコンパクトなもの。
物産館では絶景の道の駅にふさわしく、雨晴海岸から見る立山連峰がデザインされた「うちわ」、「ペーパーウェイト」、「絵はがき」等々、雨晴海岸の絶景を楽しむ商品が多数ある。 また、雨晴海岸の図柄がプリントされた「雨晴海岸手焼きせんべい」も販売されている。まあ、実際に見ないと感動はないので、その素晴らしさを知らない人への土産なら、食べて消えようが関係ないのでいいと思う。


富山県全般の土産品では「氷見うどん」「清流利賀そば」「白えびラーメン」「富山ブラックラーメン」なども。夏に向けて「大門素麺」も売れていた。

「ピザトースト」2種組み合わせが人気の喫茶店

小さな喫茶店だが、メニューは豊富。 ピザトースト、スイーツ各種、パスタ、ご飯もの、さらには土日限定で、ご当地ハンバーガーが販売されている。

人気のメニューは、「ハニーレモン」「マスとほうれん草」「リンゴカスタード」「シェフの気まぐれピザ」の4種類がラインナップされた「ピザトースト」。 1枚350円だが2枚纏めると650円のサービス価格になる。
一枚では物足りないので2種類組み合わせたが、これなら4枚でもいけると思った(笑)。
ご飯ものでは「氷見牛入りハンバーグ・ロコモコ風」「白えびシーフードカレー」、富山麩を使った「雨晴麩っくらバーガー」「射水産マスバーガー」などが美味しそう。知らんけど(食べてないので)。

