「三段峡」へ。道の駅「来夢とごうち」から(トイレ○仮眠△休憩○景観◎食事○設備△立地○)

「三段峡」とは、広島県の北西部に位置する安芸太田町を流れる柴木川の上流にあり、1953年(昭和28年)には国の特別名勝に指定された由緒ある峡谷です。全長16kmにもおよび峡内には、100mもある絶壁に囲まれた「黒淵」や、切り立った断崖の上を猿が飛び交ったことに由来する「猿飛」など数多くの名所が存在します(写真は猿飛に向かう道中の絶壁)

また、三段峡には非常に多くの植生物が生息しているので、危険な真冬以外はオールシーズン様々な絶景を楽しむことができます。

ダイナミックな渓谷の世界!広島「三段峡」へようこそ!

未踏の峡谷であった三段峡に1917年(大正6年)に初めて足を踏み入れたのは写真家の熊南峰です。彼はその峡谷のあまりの美しさに魅了され、峡谷の景観を保護し来世へ継承したいと考えました。観光地として開発しなければ自然保持はできるでしょうが、文化的価値を見出して継承することは人間にしかできません。

熊南峰は小学校教師の斎藤露翠ら地元住民の助けを借りながら三段峡の自然保持と文化的価値の継承に勤めました。そして1953年(昭和28年)に三段峡は特別名勝に指定され、1969年(昭和44年)には三段峡を含む西中国山地地域が国定公園に指定されたのです。発見されてから2017年(平成29年)に100周年を迎えましたが、地元の人たちの自然環境保全の努力によって美しい景観はしっかり保たれています。

三段峡が三段峡である所以

熊南峰は美しい峡谷を伝えるために、その名称を考えた。「松落葉集」の一節に「山に三峨のごときものあり、水に三峡のごときものあり」とある。彼は三段峡の源流をなす十方山、臥竜山、深入山を三峨に、横川川、八幡川、柴木川を三峡に見立て、さらに三段滝、三ツ滝によって地形全体が三段を形成している点をふまえて「三峨・三段・三峡」から一文字ずつ抜き出し、「三段峡」と名付けたのである。

中国電力の水力発電基地として

中国地方では江の川 につぐ大河川である太田川は、その源を広島 ・島根県境の西中国山地に発 し、広島県を東南に流れ、大小30も の支流をあわせて広島湾に注いでいる。太田川の支流の一 つであり、中流に三段峡を抱く柴木川は、上流部 は山県郡芸北町の八幡高原台地を流れ、中流は名勝三段峡として急流瀑布とな り、下流は勾配がゆるく両岸がひらけ、山県郡戸河内町において太田川本流に合流している。

中国電力の柴木川第一発電所 は、この柴木川の下流すなわち三段峡への登り口に位置し、上流の樽床ダムに貯められた水を約6,735mの導水路を用いて発電 を行ない、柴木川調整池に放流している。

この柴木川第一発電所のある柴木川流域は、中国地方でもっ とも雨量が多く、年間平均降雨量は2,200mm以 上に達する。また、柴木川の急勾配を合わせて電源開発 にはきわめて有利な条件を備えている。

しか し、このような地点が長く総合開発に着手されなかったのは、三段峡発見者・熊南峰らによる強硬な名勝三段峡の現状変更拒否と無関係ではなかった。

中国電力は粘り強く地元民と話し合いを続け、落とし所を探った結果、柴木川発電所の建設が実現することとなる。柴木川第一 ・第二の両発電所建設 を皮切りに、昭和37年3月の太田川発電所完成まで、10年の歳月をかけて太田川水系の総合開発は完成した。開発の前後を比較してみると、発電所出力99,000
KWで あったものが213,000KWへ、年間発生電力量は5億2,200万KWHで あったものが9億9,000万KWHとほぼ倍増。水の利用率も飛躍的に向上し、用水確保がさらに進み、灌概用水はもとより、広島・呉地区への上水 ・工業用水 としての貢献が多大なものとなった。

道の駅「来夢とごうち」

道の駅「とごうち」は、この柴木川の下流、勾配がゆるく両岸がひらけ、太田川本流に合流している旧戸河内町(現安芸太田町)にある。

中国自動車道の戸河内ICがすぐそばに見える。

駐車場は狭い。駐車可能台数は28台。

国道191号線を挟んだ反対側にJAの大きな販売所があり、200台以上が駐車できるその駐車場を利用してくれと言わんばかりの狭さである。施設から見て奥に、三角三つの屋根が目印のトイレが。

施設とは独立しているので24時間利用は問題ないが、前の道路の通行量から考えると仮眠には決して適していないだろう。

コンパクトであるということは、ちょっとした休憩には好適だと思う。

大型駐車場へ向かう案内標識がちゃんと出されて、道の駅とJAとの間で正式に共用関係にあるようなので、写真下の大きな駐車場を利用する方が何かと良さそうだ。

たとえば東横にはJAの農作物直売所があるので、 新鮮な農作物を購入したいなら、ここを利用する方が良いわけだ。

こちらの駐車場にもトイレはあって、不便はない。

JAの販売所の隣はコンビニである。立ち寄る目的がどんな目的でも不便はない、そういう意味では素晴らしい!

私にとって日本一おいしい干し柿

さて、安芸太田町の特産品と言えば「祇園坊柿」であろう。祇園坊柿は実が非常に大きく、それでいて実の密度が濃い。 1個300円を超える高級柿だ。 旬の季節であれば農作物直売所で祇園坊柿そのものが販売されるだろうが、それ以外の季節も祇園坊柿を使った特産品は多いので、お土産に不自由することはないだろう。

祇園坊柿を使った商品は「寒天ゼリー」「ようかん」「干し柿餅」「ワッフル」「柿チップ」など多種多様だ。

祇園坊干し柿

中でも「祇園坊干し柿」は、干し柿というものの最高傑作ではないだろうか。私の母の故郷も山深く柿が名産で、私が子供のころには庭に干して甘くなった干し柿によく勝手にパクついて怒られたものだが、この「祇園坊干し柿」に半世紀ぶりぐらいにかぶりついた瞬間、子ども心に最高の幸せを感じた、あの「甘い昔」を思い出して涙がこぼれ落ちた。

食事は総合レストランか向かいの各種飲食店かそれともコンビニか

本駅の「食」の施設は、建物の2階にあるレストラン「来夢」である。

定食、丼物、カレー、麺類、喫茶など、一応なんでもある。おそらく道の駅の施設に含まれはいないだろうが、道を挟んで向かい側に「牛串の店」「ラーメン店たまがわ」「食事処さいさい紀行」「おふくろ弁当」といった飲食店が並んでいるので、目当てのものがあるならその「専門店の味」に期待するのもいいかもしれない。せっかく遠いところまで来て、いつも利用しているコンビニに行くことはないかもw