
海上自衛隊「佐世保地方総監部」は、米軍佐世保基地との共存共栄を図りつつ、日本海から東シナ海までの警戒監視の要である。
そして、2018年からは陸上自衛隊の「水陸機動団」が相浦駐屯地に配備されたが、この陸上自衛隊・水陸機動団は、日本の離島防衛を担う専門部隊。陸上自衛隊で最も過酷といわれるレンジャー訓練が有名で、隊員たちはおよそ3か月、戦闘や偵察の数々の課題をこなし、終盤は睡眠や食事を削りながら山間部での潜伏訓練を繰り返す。
この体力と精神力の限界を超える訓練の、その全ての任務を遂行した隊員だけがレンジャーとして認められるが、2025年12月10日、今年もその訓練を終えた隊員たちが重さ50キロの背のうを背負っ戻ってきた。
「陸上自衛隊における最も厳しいといわれるレンジャー訓練において、見事任務を完遂して無事帰還を果たした第8戦闘隊の諸君に心から敬意を表したい」と、出迎えた水陸機動団・武者 利勝団長。
帰還式で、任務を完遂した22人の隊員に、精鋭の証である栄えあるレンジャー徽章が授与された。

その様子は地元のテレビ(NBC長崎放送)で詳しく報道され、私は佐世保で、その報道を見た。



佐世保は海上・陸上自衛隊最重要拠点の一つ
佐世保は、海上・陸上自衛隊の重要な拠点である。
佐世保に自衛隊(旧海軍鎮守府)があるのは、歴史的・地理的理由としては、軍港として理想的な地形、つまり天然の良港であったこと、そして何より中国大陸への近さ、つまり戦略的要衝であること、そして当時の燃料、石炭供給の利便性が重なったことで、明治時代から軍事拠点として発展してきた土台があったからだ。
だから引き続き戦後も、米軍の佐世保基地が置かれたため、海上自衛隊「佐世保地方総監部」が米軍基地との共存共栄を図りつつ、日本海から東シナ海までの警戒監視の要となってきた。
そして、冒頭に紹介した陸上自衛隊の「水陸機動団」(離島防衛の専門部隊)が2018年に相浦駐屯地に配備され、島嶼防衛の要としての役割を担う。
近年においては、中国の不穏な動きで安全保障環境は変化しており、特に南西諸島への対応に対応するため、陸海自衛隊の統合運用体制が強化され、佐世保の、防衛力「南西シフト」の重要性はますます高まっている。
エンタープライズ佐世保に入港
私が「佐世保」について初めて学んだのは、この大見出しが新聞一面に踊った、その新聞を読んだことがきっかけだった。
米第7艦隊の原子力空母「エンタープライズ」が、私が9歳だった1968年1月19日、佐世保に入港したのだ。
エンタープライズは「動く核基地」といわれた原子力空母。ほんの20年前に長崎の街を焼いた原子力を動力とし、当時常に放射能漏れの危険が指摘された巨大空母であった。
原爆の悪夢からまだ20数年、原子力空母など絶対に国内に入港させてはならない、ましてや長崎に!
原子力空母の入港は日本の国論を二分し、入港に反対する革新団体や学生は続々と佐世保に集結。
ベトナム戦争の最中だったこともあって、革新団体の猛反対には凄かった。全国からなんと6万人が佐世保に集結して、寄港阻止集会を開いた。
前年の羽田事件などで激しい闘争をした反日共系三派全学連は、ここでも警官隊と衝突を繰り返し流血の事態となったが、これらは「エンプラ闘争」、「エンプラ事件」と呼ばれるが、これらは反核運動でもあったが、同時に反戦運動でもあった。
エンタープライズは日本での給油を経て、いずれベトナム戦争の戦場に向かうはずだったからだ。
かくして北爆参加の戦闘機を満載したエンタープライズは、2隻のフリゲート艦を従えて入港し、佐世保港の真ん中に錨を下したのだった。
道の駅「させぼっくす99」
道の駅「させぼっくす99」は、平成27年(2015)秋に登録、翌年の4月にオープンしてちょうど10年。西九州自動車道(佐世保道路)の無料区間にある相浦中里ICを降りて直ぐの場所にある。

長崎県で2番目の人口があり都会のイメージがある佐世保市だが、道の周辺は田畑に囲まれた長閑な景色だ。
道の駅は 佐世保市、特に国立公園に指定されている九十九島の観光拠点としてオープンしたと聞く。
九十九島とは佐世保港の北側から25kmに渡り島々が点在する海域で、ここももちろん冒頭に紹介した陸上自衛隊「水陸機動団」の守備範囲だ。
この「九十九島」が道の駅名「99」の由来となっているが、実際の島の数は99よりも遥かに多く、208もの島が点在し、その密度は日本一である。


観光客に振り切った道の駅
駐車場は、人気の道の駅らしく、混雑気味。


トイレの便器の数からも、集客数が偲ばれる。



休憩環境としては悪くないが、この道の駅からの景色は特段いいわけではない。






道の駅の施設は、物産館、海産物直売所、レストラン。
地元の人が集まる農作物直売所が設置されていない、観光客向けに振り切った道の駅だ。

地元客の評判は今一つでも、遠方からの観光客にとっては、佐世保の魅力がギュッと詰まった施設となっている。

物産館では、長崎カステラをはじめ「長崎すいーと焼き」「長崎しょこらんだ」「ちゃんぽんせんべい」「長崎カリー」など長崎県の土産品は一通り揃い、佐世保名物も完璧に取り揃えられていた。
海亀の甲羅の形に名勝九十九島の大小の島をピーナッツで表した「九十九島せんべい」、佐世保市の観光名所・黒島天主堂がプリントされたクッキー」や「佐世保チョコクランチ」、佐世保グルメとして有名な「牛テールスープ」等々、これだけ揃うと土産物選びは難しい。




レストランで佐世保名物を満喫

中華の店「天津包子館」では定番の「ちゃんぽん」と「皿うどん」。 洋食の店「蜂の家」では長崎和牛を用いた「レモンステーキ」。和食の店「かけはし水産」では佐世保港で水揚げされた海鮮「づけ丼」と「東浜あじフライ定食」。 喫茶店「ミリタリー食堂」ではジューシーなパティとフライドエッグが人気の「佐世保バーガー」と 「護衛艦くらまカレー」。
「中華」「洋食」「和食」「喫茶」の4店舗が、それぞれ看板メニューを持って、道の駅のレストランとして佐世保グルメを網羅している。

