究極の古民家「藤田家住宅」から道の駅「大和路へぐり」へ(トイレ○仮眠△休憩◎景観○食事○設備○立地◎) 

信貴生駒の東に延びる山麓、生駒郡平群(へぐり)町を見下ろす高台の広い敷地。ここは応仁の乱で西軍を率いた山名宗全の邸宅跡だそうですが、そこに、整った「大和棟」の古民家が建っています。この藤田家住宅は、伝統的な町家としての姿を今にとどめる、国登録有形文化財です。通常は未公開ですが、不定期に家の中まで公開されることがあり、そのチャンスには見ることができます。

茅葺き入母屋造り構造の前身建物の古図写真

古図が残されていて、それによると、当初は元禄年間(1688~1703)に建てられた茅葺き入母屋造りでした。18世紀後半に「大和棟」に改築されています。その後2度(文化4年と明治末年)の改修を経て、昭和59、60年度に行われた半解体修理の際、初回改造時の構造に復元されました。

表門を構え白い長い塀を巡らせた大屋敷は「陣屋」をも彷彿とさせる大変立派なものです。

藤田家住宅

奈良盆地農村の民家を代表する「大和棟」

大和棟(やまとむね)とは、奈良県や大阪府、京都府南部などの地方で見られる、霧妻造民家の屋根の形式のこと。奈良盆地農村の民家を代表する形態といわれ、日本で最も美しい構成美の民家と評されることもある。江戸時代初期に奈良盆地で生み出され、昭和初期までは盆地から連なる街道沿道に大和棟の建物が軒を連ねていた。ちなみに「大和棟」という名称は大正期以降に民族学者によって唱えられたもので、それまでは「高塀造(たかへづくり)」と呼ばれていた。

平群 藤田家住宅2

母屋部分は急勾配の茅葺で、両妻に大屋根より高い瓦葺の小屋根の付いた袖壁(高塀)を建て、下屋部分は緩勾配の瓦葺とするといった特徴があるが、高塀部分が母屋の草葺屋根より少しく落ちた瓦葺とするものもあり、これを「歪み高塀(ひずみたかへ)」と呼ぶ。

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母屋は、桁行18.8m、梁間11.8mの大規模なもので、段違いの棟で、主屋の本屋根は切妻造茅葺、両妻は高塀造本瓦葺となっている。庇も瓦葺で、落屋根は中央部に煙出しのある切妻造本瓦葺だ。

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現状の建物は、外観が大和棟として最も整い、室内の意匠も抜群によく、最高の古民家だ。とりわけ入母屋造りの屋根が大和棟へ発展する段階を示すものとして非常に貴重らしい。外見の特徴としてはもう一つ、土間につながる内玄関以外に、代官などの賓客用として直接「みせのま」に続く外玄関がしつらえられている。

右手奥には貴賓室である上段の間が別座敷としてある。「みせのま」と「なかのま」間は竹製の欄間、敷居の一部は突き止め溝となっており、古式を残している。

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こんな家に生まれたかった、でも固定資産税と空調費が心配w

本屋根の下は居間や座敷などの居住空間、落屋根の下は勘定部屋(馬屋)、土間、釜屋などの作業空間となっている。主屋は切妻造り・段違い・茅葺及び本瓦葺で、西側の土間が広く、東側の居室部は「整形四間取り」を基本としていて、背面北側に一間幅の板の間2室がある。

平群 藤田家住宅6
平群 藤田家住宅4

内部の組物は巨材が用いられ、釜屋の梁にはなぐり刃が入り、上手の梁はウリムキに仕上げられていて、天井は松の根太組である。部屋の天井は全て竹が用いられた簀子天井で、座敷だけは竹を押しつぶしたひしゃぎ竹、他は割竹による簀子天井となっている。

平群 藤田家住宅3
平群 藤田家住宅7

6連の大きな竈。こんな釜屋、見たことないw

平群 藤田家住宅8

敷地内に、石段を築いた小山がある。山頂には屋敷神として祇園社が祀られているという。

所有者は藤田さん。あくまで個人の所有物

系図を遡ると、藤田家は武蔵国榛沢郡藤田庄(埼玉県本庄市藤田)に藤原氏の荘園があり、その荘官の出身。鎌倉期に武士化して上杉氏に仕え、藤田姓を名乗る。上杉氏滅亡後は甲斐武田氏に仕え、室町期に武田氏が滅ぶと大和に移り、山辺郡を本拠に筒井氏・藤堂氏に仕えた。元和(1615~1624)の頃に平群に転封され、帰農して庄屋を歴任した。

途中、300mほど南にツボリ山古墳があったが、そこは公的管理の遺産だが、藤田家はあくまで藤田家。個人所有であり、時折の公開も藤田家のご好意あってのこと。私はちょうど還暦の頃、古民家リノベーションも関わる仕事をしていて、いろいろな古民家を見てきたし、いつかは自分もリノベーションした古民家に住みたいと思ったこともあったが、こんな究極の古民家を見てしまうと、ちょっとした古民家への興味など失せてしまう。

古都華の聖地、道の駅「へぐり」へ

近くに、道の駅「大和路へぐり」がある。所在地は、奈良県生駒郡 平群町平等寺75-1で、国道168号線沿いにあって遠くからも見えるので迷いようがない。駐車場は3つもあって百数十台のが駐車が可能。

近畿圏で最も多い出荷量を誇るイチゴの産地として存在感を増している奈良県だが、なかでも、奈良県育成品種『古都華』の栽培面積が県内第1位を誇るのが、ここ平群町だ。

道の駅「大和路へぐり」では、糖度と酸味が絶妙なバランスの濃厚な味の古都華が楽しめる『古都華フェア』を毎冬開催し、古都華の聖地と称される「平群ブランド古都華」の魅力を発信し続けている。

「レストランhanana」では、毎年大人気の古都華パフェ(写真上:2025年1月10日〜/要ネット予約)や「とれたて市」では、古都華・農産物(新鮮な野菜や果物、花)の産地直売など盛りだくさんの内容である。

「愛と賑わいのあるふれあい広場」はすばらしい

道の駅「大和路へぐり」には、訪れる皆様が集い、親しみやすい潤いのある交流空間としての「ふれあい広場」がある。この広場は、「愛と賑わいのあるふれあい広場」として、2020年にオープン。斬新で個性的なテーブル、イス、パラソルが設置されており、道の駅「大和路へぐり」の直営店1店、テナント店7店が、飲食や物販などとても個性的な商品販売を行っている。

休日は、キッチンカー、簡易店舗も出店し、さらに賑わいを見せる。キッチンカー、簡易店舗等の出店者は、事前協議で慎重に検討され、営業承認審査会の承認された人たちだけが営業を許可されている。

ふれあい広場からは、東側の四季折々に変化する椿井城跡周辺の山々の緑と里山風景も見える。犬がきゃんきゃん吠えるとそれも台無しになるが、ふれあい広場は「訪れた皆様の飲食空間」ということで、ペット同伴不可。

賑わっているし、中にはうるさい人間もいるが、屋外なので声はあまり響かない。広場に隣接する花壇の花々を愛でるおとなしめの来訪者も多いので、賑わっている割には静かなように思う。

防災用多目的広場ではペットと遊べる

道の駅「大和路へぐり」は、愛犬家はじめペット同伴の皆さんへの配慮もちゃんとしている。ここは地域防災計画において「指定避難所及び指定緊急避難所」に指定されていて、災害時に道の駅に求められる防災機能を確実に発揮するため、令和6年3月、駐車場の南側に防災用多目的広場をつくったのだ。

ここには「防災対応カマドベンチ」が設置され、地域住民、来訪者の防災、減災の意識向上が図られていると同時に、来訪者とペット愛好家とのふれあい広場となるよう、日常はこの防災用多目的広場が開放されている。

できたてスイーツ工房 道の駅大和路へぐり直営店

平群ブラント古都華を1年中味わうことができる「できたてスイーツ工房」です。古都華ソフト、古都華シェイクなどを中心に、冬、春の期間限定の古都華ミニパフェ、古都華いちご飴など、大人気のスイーツを販売しています。スタッフの笑顔あふれる接客と真心を込めて特色のある平群スイーツを四季に応じてお召し上がり下さい。

ふれあい広場の個性あふれるテナント

道の駅「大和路へぐり」のふれあい広場では、個性豊かな専門店が、とても楽しい賑わいの場を創っている。

国産大豆使用の手作り豆腐を販売する「豆腐工房我流」のオリジナル豆腐は、少し硬い目のこだわりの豆腐。オーナー自らが毎日製造し、多種類の豆腐関連商品も販売している。

世界中のコーヒーを扱う「すぎた珈琲」では、世界各国のコーヒードリング20種類、豆も20種類以上販売している。

たい焼き、キャベツ焼きなどを販売する「フレンドリーたいやき」。使用する材料に拘り、美味しさが売りです。平群の名物になってきました。

老若男女を対象とした多様な靴下が目白押し。機能的な靴下も取り揃えている「くつ下の箱」。
奈良は古くから靴下の特産地であり、県内靴下工場から直接仕入れて販売しています。

「YOSHINO SEIKA」は、四季折々に館内「とれたて市」で販売されていない青果や果物を県内外の有名産地の生産農家から直接仕入れて販売している。

「たこ焼き 福八2」では、たこ焼きをメインに様々な美味しいコナもんを販売。

「mille fraise farm」の自慢は、いちご農家とパティシエの兼業を目指す店主の絶品パイ!”mille”はミルフィーユやたくさん折り重なったという意味、”fraise”はいちご、”farm”は農園。「いちごでいっぱいの農園」という名前のお店だ。

地元農家300軒が出荷する農産物は大人気

本体施設の物産館、農産物直売所の中に入るのが後になったが、先にトイレに。トイレは建物外の休憩スペースと、建物内との間の、ちょうどいい位置にある。

とれたて市に、地元農家300軒が出荷する農産物は、地元でも大人気。

平群町の農家約300軒が登録しているという直売所では、四季折々の新鮮で安心・安全な、野菜・果実をはじめ、小菊やバラなど全国的に有名な特産物が毎日入荷してくる。

特産品も実にたくさん揃っている。とても紹介しきれないが、地元の主婦たちが作った懐かしい味の農家ならではの手作り味噌はぜひ注目してほしい。

レストランは、地元の食材をふんだんに使用した「週替わりとれたてランチ」が一番人気。旬の野菜や果物、自家製味噌を使った自然派メニューが人気を集めている。サンドイッチやカレーなど定番メニューもしっかり取り揃えている。

「情報館も充実しているので、古都・奈良について知らなかったことを色々と知ることができそうだ。