愛媛県最西端から九州を眺め発作的に「佐賀関」へ。道の駅「佐田岬半島ミュージアム」から(トイレ△仮眠△休憩△景観◎食事△設備○立地○)

2025年も最後の月に入った。
数日前だったか、すっかり恒例となった新語・流行語大賞が発表され、その一つに「二季」が選ばれ、改めて話題となった

四季のうち春と秋が駆け足になり、実感としては夏と冬の二つしかない―ということらしいが。

ただ、旅人の私としては、そんな実感はまるでない。
今年の場合、9月に北海道に入って秋を満喫してから、本州を次第に南下。東日本一帯の秋を、10月、11月と楽しんだ。

これだけでも秋は3ヶ月。そして12月に入ったが、秋はまだある。旅すれば、今年だって秋は4ヶ月もあったのだ。
たとえば愛媛県。いま車を走らせている「佐田岬半島」は、日本で1番細長い半島として知られ、瀬戸内海と宇和海に挟まれた変化に富んだ地形は12月に入ってようやく紅葉のピークを迎えている。

この半島の四国最西端には「佐田岬灯台」が立っていて、対岸の九州・大分県は「佐賀関」を間近に望むことができる。

佐田岬灯台からしばらく「佐賀関」を眺めていると、「ここ三崎港から出るフェリーに乗れば1時間ちょっとで佐賀関か」「久しぶりに、九州に行くことにするか」と、そう思えてきた。

佐賀関の被災者のお正月に少しでも役立てることは?

11月18日に発生した佐賀関の大規模火災は2週間以上を要してようやく鎮火したが、180棟もの家が全焼。

多くの方が避難所もしくは応急の住まいで新年を迎えざるを得ない。
私など微力なのは承知。

それでも、何か少しでも力になれないものか?

佐賀関地区への支援活動を行うための災害ボランティアの事前登録が11月26日から始まったので登録は済ませているが、その事前登録者は全体で454名、大分市内においては290名に達した時点で、現在事前登録は停止されている。
鎮火にも時間がかかり、当面プロによる復旧を急いでいる現状では、事前登録者への要請があるとしても、まだまだ先になるだろう。

今すぐ何かしら力になれるとすれば、それは義援金だろう。
神戸から大分までのフェリーは4万円近くかかるが、ここ三崎港から佐賀関までのフェリーは1万円。その差額を義援金に上乗せできる、そんなことがふと頭に浮かんで、発作的に佐賀関行きフェリーに乗った。

九四フェリー利用で3万円を捻出

国道九四フェリーは、四国愛媛県三崎港から九州大分県佐賀関とを結ぶフェリー航路。 佐多岬半島の先端、三崎から佐賀関までの31kmをわずか70分間、1万円で結ぶ、九州・四国間の最短航路だ。

いつもなら九州へは神戸から大分別府までの長距離フェリーで4万円近くかかるところを、3万円節約?し、義援金に上乗せしようと。

もちろん、ガソリン代など細かく差引計算すると1万5千円程度の差にしかならないのだが(笑)

落陽とほぼ同時に、佐賀関港に到着した。

大分市役所へ

大分市役所本庁舎1階案内所での義援金受付は、午前8時30分から午後4時30分まで。

思いつくままフェリーに乗ったので、佐賀関港への到着は夕刻。
別府温泉で一夜を過ごして、翌日朝一番で大分市役所に行くことにする。

ちなみに佐賀関支所は被災地に近く、少しでも混乱を避けるために募金箱の設置はされていない。

翌朝、市役所本庁舎1階にて、ささやかではあるが今できる範囲の義援金をお渡しする。

浮かせたフェリー代3万円を上乗せできてよかった。

目的を果たせば、あとは余計なことはしない。

もちろん現場や避難所に近づくなんて心無いことはしないで、市役所を後にした。

さあ、あとは折角来た九州。思い出も多い。
思いつくまま、九州の秋から冬への移ろいを楽しむことにしよう。

道の駅「佐田岬半島ミュージアム」

九州に行ってみようか。
そう思い立ったのは道の駅「佐田岬半島ミュージアム」だった。

この道の駅は、佐賀関に向かうフェリー乗り場の三崎港からすぐ近く、大洲・八幡浜自動車道の保内ICから国道197号線を西に18km、 愛媛県西端の旧瀬戸町(現伊方町)にある。

沿道の国道197号線は「日本一細く長い半島」と呼ばれる佐田岬半島の尾根部分を突き抜ける道。 道中は殆どが山林の風景だが、時々現れる左右両側に広がる海の景色が実に素晴らしい。

しかしここにも、原発をめぐって揺れている現実がある。

やがて道路に刻まれた溝と車輪によって産み出される「みかんの咲く丘」のメロディー道路を過ぎると、道の駅の看板が見えてくる。

駐車場に車を停めるが、トイレが見当たらない。トイレはミュージアムの中にあった。

綺麗だが、トイレがすぐに見つからないのは、道の駅としては不便である。

物産館がほぼない、珍しい道の駅

この道の駅は、2023年8月に大規模リニューアルし、以前の「瀬戸農業公園」から「佐田岬半島ミュージアム」へ。佐田岬半島ミュージアムを中心とした展示施設が中心の道の駅となっている。

道の駅の施設としては、博物館、喫茶店、藍染/シーグラス体験施設。

物産館が存在しない道の駅は珍しい。

厳密にいえば博物館1回に「ミュージアムショップ」と呼ばれる小さな物産館は存在するが、 そこで販売されているのは「佐田岬半島手拭い」「佐田岬半島地図扇子」「サダンディーのぬいぐるみ」など博物館関連、郷土ゆかりの記念品的なものに限られる。

食品系の商品は、屋台風の小さなお店に、みかんと瓶入りなどの加工品が少々。

展望広場からの景色は抜群

博物館はほぼスルーしたが(笑)、屋上に上がっての景色はたっぷり楽しんだ。

細長い佐田岬半島に位置するこの道の駅からは2つの海が見える。

北の方角には、瀬戸内海、つまり伊予灘が。南の方角には太平洋、宇和海が見える。

建物の2階から外に通じる扉を開けると、そこには「スマイルパーク」がある。

この公園は旧道の駅「瀬戸農業公園」の時代から存在したものだが、ミニチュアの風車小屋がとても可愛い。