人間はなんで働くの?-23  いやいや、お金に働いてもらうんです私は

働かなくてもお金がもらえるという夢のような話は、実際のところは夢でもなんでもありません。

バブルの時代を思い出せば、そんなことが実際にあったなあと懐かしいでしょう。あの頃、定期預金にお金を預けていると、そのお金が12年間せっせと働いてくれた結果、なんと預けた額と同じ金額を稼ぎ出してくれて、定期預金額は「倍」になりましたよね。

そう、あの頃は金利が6%もあったのです。
もちろん、今は金利も何もかもが全く違っています。しかし、今は今で、「不労所得」の仕組みを適切に構築すれば、本業以外のルートからさらなる収入を得られます。

お金に働いてもらって、それだけで生きている人は、世の中にたくさんいらっしゃいます。

写真は、日本に希少なIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)の目黒元之氏。お金についての、私の「師匠」です。今回の記事を皮切りに、顧客全員の資産形成を成功に導いている目黒さんの「失敗しない投資法」を随所に盛り込みながら、お金に働いてもらうということを追求してまいります。

目的Ⅻ 「お金に働いてもらう」。働かかないで、資産を「増やす」(自分軸)→Fuyasu Work

不労所得とは?働かなくてもお金は入ってくる

不労所得とは「労働の対価として支払われる賃金・報酬以外による所得」のことである。ストレートに言うと、「働かなくても入ってくる所得」だ。

ただし、何もしなくてもよいというわけではない。不労所得を得ようとするなら、まずは「お金に働いてもらう」仕組みを構築しなければならない。最初のうちはこの仕組みづくりに時間と労力を要するので、すぐにまとまったお金が入ってくるというわけにはいかないのが普通だ。

また、不労所得は稼げるケースと稼げないケースの差が激しいので、時間と労力に見合うだけの収入を得られるとは限らない。しかし、不労所得を得ること自体は決して難しくないので、きちんと知識を身につけたうえで実践すれば、十分な成果を出すことができる。

こうして、自分が働くのではなく、「お金に働いてもらう」ことで生活費を得たり資産を「増やす」したりすることを、私は「Fuyasu Work(増やすワーク)と呼んでいる。

不労所得を得る方法にはどんなものがあるか

不労所得を得るための方法は、いくつもある。

不動産の家賃収入(現物不動産投資)

よく知られているのは「不動産投資」だ。そのうち現物不動産投資とは、投資用物件としてマンションやアパートを購入し、それを入居希望者に貸し出すことで家賃収入を得るというものだ。不動産自体が非常に高額なので、不動産投資を始めるには比較的多額の自己資金が必要だと思われる。しかし、実際はローンを組んで不動産を購入するケースが多いため、物件価格の15~30%ほど用意して始める人も多い。

「正直不動産」は、嘘のつけない不動産営業マン・永瀬財地(山下智久)とカスタマーファースト命の月下咲良(福原遥)の名コンビが活躍するNHKの人気ドラマだが、楽しみながら不動産投資を勉強できるいい番組だ。

ドラマを観ているだけで、所得税や住民税、相続税を節税できるとか、家賃収入で年金を補えるとか、ローン利用で団体信用生命保険に加入できるなど、不労所得以外のメリットが現物不動産投資の魅力だということもわかる。

しかし、実際に不動産の運用がスタートしたら、家賃収入でローンの借入金を返済することになるから「利回り」が生命線、ドラマみたいに楽しんでばかりはいられない。

私は、経営コンサルタントとしての最後の仕事として、京都のインバウンドを狙った「ゲストハウス事業」を担当したが、引き受けた時すでに市場飽和によって想定利回り確保が困難になっていたが、最初は立て直す自信があった。しかし、コロナは全く予想していなかった。コロナで客数がゼロになっても、「サブリース」によって発生する家賃は変わらない。たちまち、立ち行かなくなった。

このように、空室や家賃滞納によって家賃収入を得られない、ローンの金利が上昇するかもしれないといったリスクもあるため、調子に乗ることなく、計画的かつ慎重に運用する必要がある。

株式、債券、その他金融商品への投資

「株式投資」は現物不動産投資より格段にハードルが低く、「不労所得」の定番だ。株式投資の利益は、配当金(インカムゲイン)と売却差益(キャピタルゲイン)の2種類だが、後者の売買で一喜一憂せず、不労所得を確立したいなら前者を狙うのが手堅いだろう。

配当金は株式を保有しているだけで得られるが、配当金が支払われるかどうかは、株式を発行した会社の業績や判断次第。業績や市場動向を踏まえつつ、しっかり利益が出ていて配当方針を明確にしている会社を見極めることが大切だ。配当金でそれなりの不労所得を得ようと思えば、一定以上の株式を購入する必要はある。

株式投資よりも、より多くの人がやっているのがよりローリスク・ローリターンの債券投資だ。

リスクを嫌ってのお金の運用方法として根強い人気がある。元本保証で一応ノーリスクと考えられる銀行預金は日本人が大好きで、かつて高金利時代にはリターンを得ることができたが、低金利の時代には、預けているだけでは物価上昇に追いつかず「目減り」してしまうのが現状だ。

投資は儲かる場合もあるが損失を出す場合もある

ようやく上昇し始めたが、まだまだ低金利と言われる時代においては、実にさまざまな金融商品が出回り、よりハイリスク・ハイリターンな投資を検討する人も増えるようだ。

国債や外貨預金、投資信託といった主に銀行で取り扱う商品の他にも、株式やFX(外国為替証拠金取引)、暗号資産など証券会社等が扱う商品や、先に述べた現物不動産投資以外の、金融商品として不動産会社が販売する不動産投資などがある。

2025年に入って、貸金庫から顧客資産を窃盗していた三菱UFJ銀行の元行員が逮捕された。在籍25年以上のベテラン行員・今村由香理容疑者(46=写真)は4年半の間、自身が管理責任者をしていた貸金庫から金塊や現金など、およそ14億円相当の金品を繰り返し盗み出していた。

盗んだ資金は競馬やFX(外国為替証拠金取引)などに充てられたが、損失はどんどん膨らみ、消費者金融にも借金を抱えるに至るが、彼女はFXだけで実に10億円もの損失を出したという。

FXは証拠金(元本)をもとに米ドル/日本円などの通貨ペアが、国内業者で最大25倍(個人口座)、海外業者だと1000倍程度のレバレッジをかけて取引することが可能で、極めてギャンブル性が高く、投資家の多くがこの「魔力」に引き寄せられては大負けして「退場」を強いられている。

大谷翔平選手の金を盗んでギャンブルで大負けした水原一平もそうだが、盗んだカネまでパーにしたら、人生、一巻の終わりである。

FX投資(配当、スワップ金利など)に限らず、さらに物価高によるインフレがもう少し進んでくると、金融商品はまた違った変化をしていくだろう。「お金は生き物である」と言われるように、不労所得を得る方法もまた、生き物のように変化していくのだ。

自動販売機の設置

街のあらゆる場所で見かける「自動販売機」も、不労所得を得る手段の一つだ。「置くだけ」で商品を24時間いつでも無人販売できるうえ、売上金の回収や商品の補充といった業務はすべて業者に任せられるため、大きな金額ではないにしろ比較的簡単に不労所得を得ることが可能だ。

同じような方法としては、駐車場・太陽光発電・コインランドリーなどもあるが、それらに比べて自動販売機は小さな空きスペースにも設置でき、設置費用も業者が負担してくれるから、気軽に始めやすい。自動販売機で稼げるかどうかは、なんといっても立地と商品ラインナップが左右する。駅前・商店街・オフィス街・学校や病院の近くなど、人通りの多い場所への設置、設置エリアの性質を踏まえた商品選択が成否を分けるが、自動販売機の周りにゴミが散乱しやすい、イタズラ被害に遭いやすいなどのデメリットもある。

これはイタズラではなく、設置者が書いたと思われるが(笑)

シェアリングビジネス

「シェアリングビジネス」とは、自分が持っている現金以外の資産を他人と共有することで、不労所得を得る方法だ。自動車を共有するカーシェアリングのほか、空きスペースやブランド品などを貸し出すというものもある。

資産さえあればすぐにスタートできるうえ、初期費用もほとんどかからないため、気軽に取り組める反面、稼げる金額は共有する資産の価値、あるいは需要によって変動するので、安定した収入が見込めるとは限らない。「長期的に不労所得を得られなくても構わない」「自分の資産を誰かに役立てて欲しい」場合には悪くない方法だと思われる。

アフィリエイト、ストック型のデータ販売等

「アフィリエイト」とは、自分のホームページやブログで商品を紹介し、その商品が購入されることで成果報酬が入る仕組みだ。これで報酬を得られる人はコンテンツの追加やメンテナンスを継続的に実施できる人に限られ(結局は働き続ける)、成果が出るまで時間を要する、つまり最初のうちは収入ゼロが続くことを覚悟する必要がある。

カメラや絵を描くことを趣味にしている場合、写真やイラストのデータを「ストックフォト・ストックイラストサービス」で販売する方法もある。これらは「不労所得」を得る方法とする向きが多いのでここでも採り上げたが、アフィリエイト同様、働いて「ストック」を作り続けないと収入につながらない。厳密に言うと、これらは不労所得を得る方法ではないと思う。

(つづく)

この記事は、連載第23回です。次回はFuyasu workの極意に迫っていきます。お楽しみに。