京都ラーメン第3回「とんこつ・塩味系」のトップ3は「元祖らーめん大栄」「大栄ラーメン本店」「池田屋 一乗寺店」

私がラーメンを食す、そのパターンは2つしかありません。
一つは、昼メシとして。もう一つは、梯子酒のシメ。大体、半々だと思います。
この写真のように目の焦点が明らかに怪しくなったら足は自然にラーメン店に向く。そのように私の脳内はプログラムされています。ある意味、安全です(笑)

さて 今回の記事では「京都ラーメン」を、下記の5系統に分類し、系統ごとにご紹介していますが、上のような眼になってからの梯子酒の締めは1か2の系統に限ります。
3と4は絶対ランチか夕食向きで、酔って行くのはダメです。道路にお好み焼きを焼くだけだから(笑)。
1、濃口醬油味系・・・1位 新福菜館(昭和13年)、2位 第一旭(昭和31年)、3位 大豊ラーメン(平成組)
2、背脂こってり醤油系・・・1位 ますたに(昭和24年)、2位 ほそかわ(昭和60年)、3位 ラーメン中村屋

3、とんこつ・塩味系・・・1位 元祖らーめん大栄、2位 大栄ラーメン本店、3位 池田屋 一乗寺店
4、鶏こってり白湯系・・・1 天下一品(昭和46年)、2位 麺屋 極鶏、3位 天々有(昭和46年)

5、味噌味、つけ麺、その他・・・1位 恵那く(えなく)、2位 吟醸らーめん 久保田、3位 新新亭 

今回「京都ラーメン」連載第3回で語るのは、「とんこつ・塩味系ラーメン」です。

実は、この呼び方が適切かどうか、あまり自信がありません。

しかしこの系統は、「豚骨ラーメン」と言う、ある意味王道・全国区で激戦が繰り広げられている系統で、とりわけ京都市南区の「ラーメン大栄本店」と河原町通丸太町上ルの「元祖らーめん大栄」とは「大栄」という名前が一緒ですが、「我こそは本家」とばかり互角の名勝負が長年にわたって展開されてきました。

ラーメン大栄の創業者の甥っ子さんが、本店および同業者のもとで修行後、創業者の遺志を継いで河原町通丸太町上ルに構えた店が「元祖らーめん大栄」。

かたや「ラーメン大栄本店」は、創業者が引退後、フランチャイズ展開をやめた後に残った店です。

どちらも譲れないメンマ、もとい、メンツをかけたガチンコの競い合い、高め合いは、客にとっては嬉しい限り。そして、「豚骨ラーメン」は、全国的にはどんどん美味しい店が参入してくるメインストリームでもあります。

とんこつ・塩味系

元祖 らーめん大栄

「元祖らーめん大栄」は、京都市上京区出水町にある。

京阪電車「神宮丸太町」から徒歩5分程度の場所だ。

元祖ラーメン大栄は1998年オープンで、今年で創業27年。ようやく「元祖」に相応しい年季となってきた。フランチャイズではなく、創業者の甥の方が創業者の元で修行されてラーメン大栄の味を守り続けている、だから「元祖」を名乗っている。

こちらの「元祖らーめん大栄」が「本家」だ、いや、18年も歴史が古い「ラーメン大栄本店」こそ「本家」だ、という議論は、双方のファンの主張は平行線。時につかみ合いの喧嘩に至る「危険な火種」であり続けてきた(笑)。

私が軍配を挙げたのは「元祖らーめん大栄」。理由は後で述べるが、ここの看板メニュー「チャーシューめん(しょうゆ/みそ)」を食べたことがある人なら賛同いただけると思う。

この店では、「しょうゆ味」と「味噌味」の選択はもう好みでしかない。どちらも抜群にうまい。店内で注文を聞いていると両者互角。双方ともに看板メニューで、スープの味はもう好みなのだ。なんなら、両方頂いとく?みたいな。

「元祖」が「元祖」たる生命線とも言えるスープは、京都産の新鮮な豚肉と豚骨だけで仕込んだ非常にシンプルなものである。キラキラと輝いていて、見た目はかなり透き通っている。動物的な臭みはなく、醬油のコクもよく馴染んでいて、飽きのこないスッキリとした味わいのスープに仕上がっている。「元祖らーめん大栄」のスープは、いわゆる「京都系醤油ラーメン」に共通する澄み切って上品な味わいと、豚骨と豚肉の素材の味を、見事に調和させることに成功したスープと言えるだろう。
あとはこれに、醤油味の場合は特性醤油ダレを入れるか、味噌味の場合は特製味噌を入れるかだ。

醤油味を選択した場合、一見すると第一系統の「第一旭」のスープに酷似している。

しかし「第一旭」が濃口醤油ダレのエッジを効かせているのに対して、「元祖らーめん大栄」のそれはやはり「豚骨」のエッジが効いていて、両者にはその違いが明確に存在する。

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麺は、創業当時からの特注麺だ。

ラーメン大栄と同じ近藤製麺のストレート細麺を使っているが、スープとの相性を重視したオリジナルだ。適度な歯ごたえと、スープをしっかりと絡める表面の質感にこだわりつつ、あくまでスープとの相性を徹底的に追求して開発された。

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麺は非常に口当たりがよく、スープはもちろんチャーシューとの相性もよく、どんどん箸が進む。

茹で加減はやや硬めの絶妙なところで提供してくれるので、食べるのが少々遅めの人でも、最後の一口まで理想的な食感を保ってくれるだろう。

麺量は多めだが、細麺ですすりやすく、非常に食べやすい。

そしてトッピング。「チャーシュー」「九条ネギ」「もやし」の定番3点が麺の上に載っているが、「元祖らーめん大栄」のラーメンと言えば、なんと言っても山盛りのチャーシューなのである。「元祖らーめん大栄」ではしょうゆ味であれみそ味であれ、ここではとにかく「チャーシュー麺」だと推すわけだが、理由は、チャーシューが抜群に美味いからに決まっている。

この山盛りのチャーシュー!鉢一面に2重・3重に盛られている。新鮮な生豚肉を強火で一気に煮込むことで余分な脂や臭みが削ぎ落されているため、チャーシューは旨味が凝縮されて柔らかい仕上がりになる。

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私の学生時代からのグルメ師匠である榎本信之氏(京都デザインセンター前社長)は、三重県(熊野)に別荘をお持ちだが、ここ「元祖らーめん大栄」が三重県のブランド「伊賀乃もち豚」の霜降スペシャルを使用していることをご存知なのだろう、この店を高く評価しておられる。

カウンターのすぐそばにスライサーがあり、注文を受けてからスライスする。チャーシューは、オーダーが入ってからスライスされるため、しっとりとした最高の状態でラーメンの上に置かれるのだ。

こうして提供される「伊賀乃もち豚」の霜降スペシャルチャーシューは、程よい厚み、確かな肉厚の食感。そして濃厚な脂が口中に広がって、後味までが濃厚なうま味が本当に素晴らしい一語である。

ラーメンの並であっても、下手すると普通の店のチャーシュー麺以上のチャーシュー量。チャーシュー麺ともなれば、はっきり言って、下手な豚しゃぶ専門店で高級豚しゃぶを注文した感じだ。このレベルのチャーシューを、そうした豚しゃぶ店でいただくと何千円もするだろう。

それがたった1,100円でこんなにおいしいチャーシューを、一杯のチャーシュー麺としていただけることは本当に信じがたい。

ということで、チャーシューは鉢一面に、九条ねぎはどっさりと。そして、ねぎの下にはシャキシャキのもやしが隠れていて、脇役としていい「仕事」をしている。

シャキシャキと言ったが、例えばいわゆる「二郎系」ラーメンのもやしは量はすごいがボイルしていて食べやすいがクタクタ、その点、「元祖らーめん大栄」のもやしと九条ネギは新鮮で、だから歯ごたえがある。それが食べ応えのあるボリュームで定番トッピングされているだからたまらない。

特に醤油ラーメンだと、九条ネギの風味をさらにしっかりと感じられる。

私は、「元祖らーめん大栄」をこのカテゴリーでの一位としたが、全てのカテゴリー通じての1位メニューを挙げるとすれば、ボリューム、美味しさ、コスパすべてで抜きん出た「元祖らーめん大栄」の味噌味チャーシュー麺である。迷いなし。

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最も上質で美味しいこの芸術的チャーシュー麺をまだ味わっていない人は、一度味わわないまま人生を終えると、天国に行ってからきっと後悔すると思う(大袈裟か!)

オプションのトッピングだが、まず調味料から説明しよう。

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卓上調味料としては、テーブルに置いてあるのは胡椒、辛ニラ、紅ショウガが置いてある(無料)。要望すればニンニクも無料でもらえる。ニンニクは、上写真右のように、すでにペースト状になっている。

「元祖らーめん大栄」ならではの「香味ニラ」(写真上)は、このニラだけでご飯が何杯でもいけてしまうほど美味い。味はかなり辛め、濃い目に作られているので、ラーメンには最初からドーンと入れすぎないように。

まずは少量、物足りなくても少しずつ入れるのが、美味しくいただくコツとなる。

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辛味やニンニクの風味をたすと、また違った味わいになる。スッキリしたスープに、辛味とニンニクの風味が加わると、一転して力強い味わい一変する。だが、それは何度も通える「通」だから言えること。ラーメンの味変で使われる場合は、くどいが、少しずつ。

できるなら最初は入れないほうがいい。

少量入れたつもりでも、せっかく絶妙なスープの味全体が辛めに変わって、取り返しがつかないことになる。それだけは避けてほしい。

繊細で甘みのあるスープを堪能したい方、特に初めての方は、最初はニラを入れずに半分ぐらいはいただいて、フィニッシュが近づくぎりぎりまで我慢して入れないことをお勧めする。

そのほか有料のトッピングには、メンマ、キムチ、卵などがある。

最後に。「元祖らーめん大栄」では、「炒飯セット」も超オススメだ。

「炒飯セット」は通常のラーメンと炒飯のセットで1100円。

ラーメンをチャーシュー麺などに変更すると200円だけプラスになる。

チャーハンは、上の写真の色を見ていただくだけで想像できるだろうが、とてもやさしい味わいだ。素材の風味がひきたっている素晴らしい炒飯で、ラーメンとの「相性」というものが、抜群にいい。

なので、香味ニラはラーメンスープの味変に使うのではなく、チャーハンの横に乗せて、チャーハンと一緒に楽しむのがいいかもしれない。

ただし。ラーメンのボリュームがかなりあるので、女性やお子様が両方食べきるのは厳しいかも。それでも来店者の3割ぐらいは「炒飯セット」を注文しておられる。

それだけでもこの「炒飯セット」の人気がわかる。

ラーメン大栄本店

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京都駅の南側、京都市営地下鉄「九条駅」から徒歩圏内(5〜6分)にあって、平日の昼間でも行列ができる人気ラーメン店が「大栄ラーメン 本店」だ。私は「元祖らーめん大栄」に軍配を挙げたが、「ラーメン大栄本店」命、という人もたくさんいらっしゃる。

「ラーメン大栄本店」は、「元祖らーめん大栄」の創業より18年も早い。1980年に京都の南区で創業され、いまもなお京都人の胃袋を満たし続けている。私自身、1980年に創業したばかりの「大栄ラーメン本店」に訪れてから、定期的に通い続けてもう45年にもなる(写真の革ジャン半ケツリーゼントが1980年当時の私)

創業当初から変わらない味を守り続ける一方で、時代のニーズに合わせた改良も重ねておられる、その姿勢がまた素晴らしい。その結果、今では観光客も地元民も虜にする独特のラーメンが日々提供されているのだ。

店舗横に4台分の駐車場も用意されていて車での来店も可能だが、満車になっていることも多いので、その際はあきらめて近隣の有料駐車場へ。

ラーメン 大栄 本店 / 京都グルメガイド

年季の入った建物に入れば、こんな感じ。外観よりずっと明るく清潔感もある。

「ラーメン大栄 本店」のメニューは、いたってシンプルだ。

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ラーメンの味は、「元祖らーめん大栄」と同じ、しょうゆと味噌の2種類だ。サイドメニューがかなり違う。焼豚やキムチ、メンマなどがあるが、炒飯などはない。

ラーメン 大栄 本店 / 京都グルメガイド

まず看板メニューの豚骨醤油チャーシュー麺について。(味噌チャーシューもしばしばいただいてきたのでそれは後ほど)

清湯スープにネギともやし、薄切りのチャーシュー、麺は近藤製麺の中細ストレート、という定番のスタイル。「元祖らーめん大栄」のそれとも、一見さほどの変わりはない。

ラーメン 大栄 本店 / 京都グルメガイド

スープは豚骨だが獣臭さはなく、塩気が効きつつもコクや旨味を感じる昔ながらの京都のラーメンだ。「元祖らーめん大栄」とは似ていて当たり前、源流は創業者の大将なのだから。

トッピングの量が多いこと。そして普通のラーメンでも一般的なチャーシュー麺と同等くらいのチャーシュー量であることも、似ている。もちろん卓上のニラを投入して味変ができることも。

ラーメン 大栄 本店 / 京都グルメガイド

麺も、近所の老舗「近藤製麺」の中太麺を使用。「元祖」と微妙に違うが、こちらももっちりと弾力のある麺で、スープとの一体感が素晴らしい麺である。

美味しく綺麗に早く茹で上げるために独自の平あみを用い、羽釜で麺を泳がせるテクニックは、麺のおいしさをさらに引き立てているのだろう。

ラーメン 大栄 本店 / 京都グルメガイド

「元祖」の方に軍配をあげた理由をここで言っておくと、「ラーメン大栄本店」に私は1980年から通い続けているからわかるのだが、日によって塩分がきつかったり、逆に妙に薄かったりと、味のムラがあること、そして、チャーシューはやはり「元祖らーめん大栄」の方が明らかにうまい。
この2点以外は、「元祖」と「本店」とはほぼ互角である。

次に「味噌チャーシュー麺」について。

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上写真で、味噌ラーメン 並である。チャーシューメンではない。一般的なラーメン店では、チャーシー麺のねぎ大盛りみたいなボリュームだが、大栄ラーメンではこれが普通の味噌ラーメン並である。

鉢一面のチャーシュー、もやし、九条ねぎがたっぷりのっているのは醤油ラーメンも同じである。

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味噌の風味、旨味が効いた豚清湯スープ。

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豚と味噌、旨味の重なりを味わえるスープだがほんのり酸味も感じ、スッキリとした美味しさに仕上がっている。

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チャーシューは豚ロースを使用。ほどよい厚みですが柔らかく、スープともよく馴染み最後まで美味しくいただける。チャーシューが10枚以上入っていて食べ応え満点。大栄ラーメンでは並だが、他店のチャーシュー麺よりも断然ボリューミー。「元祖」のチャーシューが凄すぎるだけで、普通のラーメン店のチャーシューよりは、ずっと美味しい。

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瑞々しい九条ねぎもたっぷり乗っていて素晴らしい。

スープを吸った九条ねぎは、より甘味が際立ってラーメンの味をさらに美味しく感じさせる。

無料トッピングには、ニラとおろしニンニク。ラーメンに加えると風味が一変して、また違う美味しさになる。私的には、味噌ラーメンで味変する方が楽しい。このあたりは「元祖」も同じだ。

ラーメン大栄本店の味変アイテム

さて、最後に一つだけアドバイスを。
私自身、若い頃は何度もいただいたものだが、この店の「大盛り」、あるいは「チャーシュー麺」、または「ネギもやし盛」は、かなりの大食いの人以外はやめておいた方がいい。

食べ切れなくて残す人もいるが、これは店の人に失礼だし、何より勿体無い。

今から、私が味噌チャーシューメンの大盛りを食べた時の画像をお見せする。

ラーメン大栄本店の味噌チャーシュー麺大盛り1

これがみそチャーシューメンの大盛りだ。先程までの画像と、レンゲの大きさは一緒なので、その大きさを想像してほしい。大盛りは、巨大なすり鉢のような器でラーメンが出てくる。普通のラーメンならスープも麺もまるまる2杯は軽く入るだろう。

ラーメン大栄本店の味噌チャーシュー麺大盛りスープ
ラーメン大栄本店の味噌チャーシュー麺大盛り麺
ラーメン大栄本店の味噌チャーシュー麺大盛りチャーシュー

で、チャーシューは何枚入っているか?掘っても掘っても、まだある。

大きいのが20枚、小さいのが30枚ぐらい?ひょっとすると合計50枚くらい入っているかもしれない。

ラーメン大栄本店の味噌チャーシュー麺大盛り横から

だいぶ減ったが、この巨大な丼の上半分がチャーシューだった。麺よりチャーシューの量のほうが多いかもしれない。

ラーメン大栄本店
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池田屋 一乗寺店

67歳にもなって「二郎系」ラーメンを支持するのはどうかとも思うが、ここはひとつ、「池田屋」に一条寺ラーメン街道を代表してもらう。

二郎系ラーメンとは、釈迦に説法だろうが、今紹介している京都ラーメンの第3系統の「豚骨醤油ベースのスープ」にニンニクが効いたボリューミーなラーメンで、東京都港区三田の慶應大学前に創業された「ラーメン二郎」という店と、その暖簾分けした店舗群、そして、それを再現もしくは真似した店舗群を言う。

ラーメン「池田屋 一乗寺店」は、京都のラーメン激戦区・一乗寺にあるいくつもの「二郎系」を代表する超人気ラーメン店だ。

私は京都との縁が深く、学生時代には祇園と桂、40歳代にな河原町二条、50歳代半ばからは一乗寺に、それぞれ2〜6年、計15年間市内に住んで、酒場で飲んで仕上げにラーメン店に通った。

このうち「ラーメン街道」で有名な一乗寺のラーメンでは、ここ「池田屋一乗寺店」と、次回紹介する「極鶏」、次々回に紹介する「恵那く」がトップ3だと思っている(極鶏、恵那くは系統が異なるので次回以降のご紹介となる)。

そんな池田屋のラーメンだが、これだ。

これが、1000円する料理の盛り付けか?(笑)
濃厚スープに虹色の光を放つドロドロの油が浮かび、肉の切り方も雑で、見てくれは極めて悪い。と言うよりえぐい、えぐすぎる。
それより何より、いかにも体に悪そうだ。見るだけで気分が悪くなる人もいるかもしれない。

しかし、濃厚スープがまとわりつくボリューミーなコシのある極太麺を掘り出してかぶりつくと、これが最高に美味いのだ。

麺は、割り箸ほどもある太さ、さぬきうどん?いや、独特の食感だ。硬すぎず、柔らかすぎず。太麺の「芯」というほどでもないが、ほどよい硬さが残って、とにかく食感が抜群である。

大きな豚も池田屋の名物で、柔らかくて食べやすく、見てくれが悪いだけで味はもちろん絶品だ。

私は慶應大学前のラーメン二郎本店にも何度か行ったが、チャーシューは池田屋が上だろう。

総合力でも間違いなく本家「二郎」とガチンコ勝負できる、京都代表の二郎系だと思う。

スープは微乳化していて、ほどよい豚感と、塩味と微かな酸味。見た目ほどの重さがなく飲みやすいスープだ。

「二郎系」というと塩っぱいと言う先入観があるだろうが、ここはそれほどでもない。一乗寺には「ラーメン二郎」も「一乗寺駅」の前にあって、食べ比べればわかるが、「ラーメン二郎」の方がスープは塩辛い。

もやしは柔らかく、クタクタに煮ているから食べやすい。もちろん私はシャキシャキのもやしが好きだが、クタクタはクタクタなりの意味があるのだろう。

ほろほろの柔らか肉、やっぱり美味い。

これで、麺量は小サイズですから〜〜、残念!
小でも一般的なラーメンの2倍ぐらいあって、食べ応え十分すぎる。大ぶりの豚もルックスに反して最高に旨く、豚増しにすることも多かった。

使用後(上)と使用前(下)

自販機のこの張り紙でわかるかもしれないが、「一乗寺」は学生の街である。そして池田屋は、腹を空かせた学生さんが列をなして並ぶ店である。
ありつくまでが実は大変なので、そのことを、あらかじめ言っておかねばならないだろう。

※2023年11月時点

麺量=プチ200g ・小300g ・中400g ・大500g  ・つけ麺300g ・汁なし300g

①ラーメン

メニュー価格備考
ラーメンプチ950円
ラーメン小1000円小ラーメン
ラーメン中1050円
ラーメン大1000円大ラーメン
つけ麺1100円夏季限定
汁なし1100円

※つけ麺・夏期限定・5月中旬〜9月末

②有料トッピング

トッピング名価格備考
生卵50円別皿
生姜50円別皿
チーズ50円別皿
フライドオニオン50円別皿

※有料トッピング・店内の貼り紙に掲載・現金払い

上記を参考に、まず食券を買う。

中にするか…小にするか…迷ったら小さめを。

それから店の外に大抵並んでいるその最後尾に行くのだが、列が長い場合店員さんに「ここで待ってたらいいのですか」と聞いたら、「1時間半くらい後ですがいいですか?」と言われることもある。

自販機に「勝手にどっかに行くな」と書いてあるが、呼び出しベルをもらったらどっかに行ってもいい(笑)。あまり遠くに行ってベルが鳴らないと困ると思うだろうが、だいたい、言われた待ち時間からさらに待つことが多いので大丈夫だろう。

例えば、有名なセレクトショップ「けいぶん社」なら、ベルがなってからでもすぐ戻れる。

最後に。
ラーメン池田屋は、2011年3月に京都一乗寺にオープンしている。店主は高齢だった。そんな同店の従業員として勤務していた人が、店主の勇退にあたって事業の譲受を持ちかけられ、今は店主が変わっている。加藤くんだ。加藤くんの店は、2023年2月に以前の店をリニューアルしてオープンした。

加藤くんはちょっと暗くて覇気がないように見えるが、腕は確かだ。真面目だし。
ぜひ、よろしく!!


(つづく)
この記事は連載第3回です。いよいよ次回は「天下一品」の登場!
あの「こってりスープ」で天下をとるずっと前、店を始めた頃の、全然「天下一品でなかった」ことから書きます(笑)。