中四国最大級の末っ子の道の駅がたった数kmの至近距離に。親である観音寺市に見捨てられる道の駅「とよはま」と道の駅「ことびき」

愛媛県観音寺市に今ある道の駅「とよはま」と、道の駅「ことひき」とは、10キロほどしか離れていません。
そのちょうど中間点には「ちょうさ会館」という観音寺市の施設があるのですが、観音寺市はこの周辺の場所に、間近にある2つの道の駅に割り込むようにして、しかもなんと中四国最大級となる新しい道の駅「かんおんじ(仮称)」をおっ建てて、3年後の令和10年度中に開業する計画を進めています。

計画によりますと、「観音寺市豊浜町の国道11号に面したおよそ3.8ヘクタールに建設を予定。地元の事業者などの物販施設や飲食店に加えて、大型の野外遊具や雨天時でも遊べる屋根のついた広場などを整備して、子育て支援の機能を充実させる」とあります。

年間の来場者数は85万人を見込み、年間の売上高はおよそ8億2400万円、波及効果はおよそ12億3400万円と想定されています。一方、総事業費はおよそ75億1900万円。財源には国の交付金などを活用し、市の負担分は4分の1程となる見込みだとのことです観音寺市は、写真のように「金運の街」だそうです。さて、国の交付金すなわち我々国民の税金を呼び込むほどの金運、あるんでしょうか。

「四国の防災」と詭弁を弄する佐伯観音寺市長

すでに観音寺市は、新しい道の駅の基本計画案を発表していて、今後パブリックコメントや市民向け説明会で広く意見を聞いたうえで計画を確定し、運営事業者を選定して「公設民営方式」による整備を進めていくとしている。しかし、事業費の大半を国の交付金目当てに計画しているってことは、国民の税金を使うということではないか。当然国民の意見も聞く義務があるし、我々国民には、このような間違った計画に真っ向反対する権利がある。

佐伯市長は「平時の時には、市民の憩いの場所や市外からの関係人口を増やすための場所となり、災害が起きた場合には四国の防災拠点となるように計画を進めていきたい」と話す。はあ?ひょっとして南海トラフのことを想定しているとしたら、それはまったく違う。

なにせ観音寺市は瀬戸内海側に面している。市長は「愛媛県の」とは言わず「四国の」防災拠点と言っていて、それならばとんでもない被害が想定されている徳島県と高知県からはもっとも遠く、しかも交通手段的にもきわめてアクセスしにくい場所に「それ」をつくるのは、まったくもって「理に反する」と指摘せざるを得ない。もしそんな詭弁が国の役人や政治家に通じて交付金が満額おりるようなら、もうこの国はおしまいである。
この市長の頭の中にあるのは、「防災」ではなく「拝金」だろう。国の金を横取りし、そして「四国の防災」「市民の子育て」などと体の良いことを言っているが、その交付金などの一部で「私腹」を肥やすチャンスをうかがっているのかもしれない。佐伯市長に恨みがあるわけでもなんでもないが、そういう首長があまりにも多いので、疑ってかかってちょうどいいのだ。

50ページにも及ぶ基本構想の中にたった1ページだけ

私は、50ページもある「新・道の駅かんおんじ(仮称)基本構想」を見つけました。その中で、観音寺市自らがつくりたもうた「今ある道の駅」について触れられているのは、第27ページ。たったの1ページのみである。以下、原文ママ引用する。

「本市には既に、「道の駅ことひき」及び「道の駅とよはま」の2つの「道の駅」があります。

(1)道の駅ことひき・・・・・・・・平成6年(1994年)8月登録(既存施設を「道の駅」として登録)

市道立石1号線沿い市北部に位置しており、地域産品販売所や産直のほか、「世界のコイン館」や 「大平正芳記念館」があるほか、大正ロマン香る「ことひきカフェ」等、多彩な施設が整備されています。 周辺には、「銭形砂絵」のある琴弾公園や四国八十八箇所霊場第68・69番札所「神恵院・観音寺」等 もあり、四国外からの来訪者も多くなっていますが、既に運営していた施設を活用し、「道の駅」とし て登録したものであり、交通アクセスが脆弱です。また、瀬戸内海国立公園内に立地しているため、増 改築に制限があり、大規模な改修や拡張が難しい状況にあります。

駐車場売店喫茶・軽食展望地博物館等
108台約135m²約54m²世界のコイン館 大平正芳記念館
観光案内無線LAN公園EVスタンド

(2)道の駅とよはま・・・・・・・・平成11年(1999年)8月登録

国道11号沿い、市南部愛媛県との県境に位置しており、国道11号を往来するドライバーの休憩所 としての利用度が高くなっています。夕日が映える「道の駅」やTVアニメ「結城友奈は勇者である」、 金運アップスポット「黄金持ち」の聖地としても有名であり、観光客の来訪も一定数存在しています。 しかしながら、県境にあることから、市民の日常利用や市内の各種資源との連携等の点では課題が 残ります。」

駐車場売店喫茶・軽食展望台イベント広場
65台約113m²約182m²屋外 (500m²)
観光案内無線LAN公園EVスタンド

報告書の記載は以上、これがすべてである。

親から見捨てられ殺されようとしている2人の子

現在の経営状態、収支報告、今後の見通しなどについて、現状がわかる数字は一つもない。そして新しい道の駅による影響についても、まったく考察すらされていない。これを読む限り、2つの道の駅ともに、ただけなされているだけである。

これが、親(産んだ市)が、2人の子(産み落とされた2つの道の駅)に向き合う姿勢だろうか。この姿勢は、まさに「優生保護法」の誤った精神と同質あるいはそのものではないのか。

そして、下記のような、地方自治体のいい加減さが繰り返されていることに、一人の国民として強い怒りを感じる。

道の駅の「民業圧迫」を無視して商店を潰す観音寺市や京丹波町

道の駅が生み出すプラスとマイナスをトータルで考えたとき、私はマイナスのほうが大きいと考えている。私は、道の駅のトイレを使わせていただき、時には90分〜最長3時間の仮眠もする(ガッツリ車中泊はしない)。トラックの関係者が道の駅はありがたいのも良く分かる。しかし、マイナスはそれ以上に大きい。

もっとも重大な問題は、民業圧迫だ。私がこのブログでも糾弾し、直接クレームを入れている京都府の京丹波町という町には、たった一つの町の中に4つもの道の駅がある。この記事で糾弾しようとしている観音寺市政で新しくどでかい道の駅ができてしまうと、ほぼ1直線上10キロほどの間に3つも道の駅が並ぶことになる。

京丹波町も観音寺市も、道の駅の「せい」で、近隣の八百屋、米屋、魚屋、菓子店、土産物店、ドライブインを含めた各種の飲食店などがどれだけ潰れているかわかっているのだろうか。彼らの細々と苦しいながらもささやかな営みに、町と市が、道の駅という手段でトドメをさしているのは紛れもない事実なのである。

トイレ、駐車、車中泊無料も民業圧迫

トイレに行きたくなったから…という理由でコンビニやガソリンスタンドに入った経験は誰にもあるだろう。トイレを借りたあと、それだけで出るのは気が引けて、何か買ったり食べたり、ちょっとしか入らなくてもガソリンを入れたり置いてある自販機を使ったり。つまり、コンビニやガソリンスタンドの人たちにとって、トイレの無料開放は、ビジネスチャンスとして欠かせないものなのだ。

しかし、ただで、気兼ねなしに使えるトイレがあれば、そちらを使うこと人が多くなって、その分、コンビニやガソリンスタンドにこれまであったはずの来店機会が減るわけである。ましてや、道の駅で、ただでガッツリ車中泊をされた日にゃあ、ホテルや旅館はたまったものではない。民業圧迫を平たく言えば、道の駅ができたために職を失っている人々がいったいどれだけいるかということだ。

第三セクターの経営破綻に税金の追加投入

直接的な問題としては、第三セクターの経営破綻の問題がある。破綻すれば、さらに税金が使われる例は、たとえば京丹波町の「丹波マーケス」という道の駅で発生して裁判にもなっている。本件は非常に悪質で、もともと当時の町長一族が三セク会社の経営もテナント会社もほぼ独占してスタートするいうあり得ない公私混同があり、その結果事業不振による損失のうち町長個人が返済責任を負っていた6億円についてまるまる税金が追加投入された。

この「丹波マーケス」のほかに「京丹波 味夢の里」にも町長一族の公私混同・一族への利益誘導が絡んでいる。あとの2つの道の駅「和」と「瑞穂の里・さらびき」を含め、京丹波町の4つもの道の駅についての問題の詳細は、このブログ内を駅名で検索してぜひ一読願いたい。

国の交付金、すなわち私たちの血税が無駄遣いされている

そして、道の駅について監視すべきなのは、道の駅は「事業費」と称して国から莫大な交付金を受け取ってつくられるからである。すでに、道の駅には1000億円単位の国民の血税が補助金として使われている。補助金はさまざまな形で地方に下りていくので道の駅はその一例なのだが、税金の無駄遣い、使徒不明の象徴として、非常にわかりやすい。

道の駅事業における国の補助制度の活用状況。我々の血税が国土交通省だけでなく各省庁から道の駅に投じられている。 ※( )内数字はH27からR1までの補助金を活用した道の駅数(延べ数)

国交省以外では、農水省からの補助が目立つ。もちろん、農村保護は重要だ。しかし、農家の経営を強くする方法として、果たして道の駅を作ることが役立っているのか。農産物の販売コーナーはわざわざ道の駅という「新しい箱もの」を作らなくても、地元の商店やコンビニでできるはずだ。それを助けるために補助金を使うとすれば、いずれ廃墟となる建物を莫大な金をかけて建てるよりよっぽど安く済む。あるいはそれだけの金があればどれほど手厚い支援ができるかと言ってもいい。

百歩譲って、日本経済が右肩上がりで成長しているなら多少の大盤振る舞いも許せるかもしれない。しかし、このまま道の駅を金づるに狙う地方政治によるさまざまな「ロス(損失)」を許せば、必ずや日本の国家財政は破綻する。

可哀想な一人目の子・道の駅「ことひき」に行ってきた

道の駅「ことひき」は、名勝  琴弾公園内にあり、「世界のコイン館」「観音寺市総合コミュニティセンター」「大平正芳記念館」の4施設と、琴弾公園からなる道の駅です。

まず、琴弾公園に車を停め、トイレをお借りしてから、公園内をゆっくり散策。松林が見事な、素晴らしい公園だ。

4つの施設があるが来訪者は少ない

観音寺市総合コミュニティセンター(本館)には、市の秋祭りで奉納されるちょうさ(太鼓台)が展示されていた。

館内には観光協会事務局があり、観光客向けに多種多様な観光パンフレットが用意されている。

レンタサイクルもある。琴弾公園は広いので、散策に役立つことだろう。

コミュニティセンターには別館があって、これは大正3年に建築された建物。登録有形文化財に指定されているそうだ。

館内では「ことひきカフェ」を営業していた。中にいる人たちに笑顔は一切ない。それもそのはず、令和6年12日1日から当分の間、休業に追い込まれたのだから。

観音寺市は、並外れてお金大好き?

「世界のコイン館」には、125か国、約2000点のコインが展示されている。1万円札の切りくず1億円分や、世界一大きな石貨などおもしろい展示品もあった。お金が余程好きなんだなあ、と呆れた。

道の駅ことひき

「大平正芳記念館」は、観音寺市出身の大平正芳元首相の足跡をたどる写真や関係資料、愛用品などを展示しているミュージアムである。

「集」という名の喫茶店。ここにも客は誰もいなかった。

今ある道の駅の苦戦、観音寺市はどうして見捨てるのか?

ギフトショップでは、伊吹いりこ、讃岐うどん、名菓などのお土産品やご当地限定品などが販売されている。ここにも、私以外の客は見当たらない。土日には、地元の特産物やお総菜などが販売される「産直市」も開かれているというが。

館内にも、綺麗なトイレがある。

施設全体を見て回ったが、客は私以外にあまり見かけず、看板の一つであった喫茶店が閉店するなど、経営不振が随所に見て取れた。なんとかしなければ取り返しがつかないことになるのは容易に見通せるにもかかわらず、支援やテコ入れはない。

施設自体は既存のものであっても、それを利用してこの道の駅「ことひき」をつくったのは観音寺市である。なのに、飽きたら犬猫ペットを捨てるように早々にここを見捨て、新しい道の駅をすぐ近くにつくろうとしている。道の駅「ことひき」は、親である観音寺市によって息の根を止められるのだ。

可哀想な2人目の子・道の駅「とよはま」に行ってきた

道の駅「とよはま」は、観音寺市が新たに作ろうとしている道の駅のたった数キロ南、瀬戸内海に面していて、サンセットや瀬戸内の四季の移り変わりを楽しめる憩いの場となっている。国道沿いで車のアクセスも良く、トラックドライバーなど仕事中の休憩利用でも役立っているようだ。

駐車場にはEV充電スペース、24時間トイレ、自動販売機など、ドライバーに必要な設備がわかりやすく設置されている。

地元で3代続く魚屋さんの「おーしゃん食堂」

おーしゃん食堂は、地元で3代続く鮮魚店が営む海鮮食堂。瀬戸内海の鮮魚や旬の地産食材を使用した多彩なメニューが楽しめる。

中でも香川県の県魚である「ハマチ」をたっぷり使った「ハマチのづけ丼 志」は大人気。お刺身や天ぷらなどいろいろ召し上がりたい方には「おーしゃん弁当七福椀」がいいかもしれない。 

他にも、地元の新鮮なお魚を使ったお刺身や丼ものがメニューは多彩で、讃岐うどんも、お店の麺職人の手打ち麺。同じ麺職人が手がけた、手打ち麺の「銭形ラーメン」も大人気となっている。

物産館は盛り上げに必死

物産館では、訪れた方に地元の雰囲気を感じてもらえるよう、壁や天井、そして店内には地元のお祭り太鼓台やいりこ漁業の大量旗がいっぱい。めずらしいもん、うまいもんを取り揃えて販売しており、お土産の購入に迷ったときはスタッフがおすすめを教えてくれる。食堂で使用されている万能だしや、伊吹いりこ、えびじゃこみそなど“観音寺ブランド”の商品もオススメだ。

土・日、祝日には日野ら市(ひのらいち)が開催され、フリーマーケットや飲食屋台などが多数出店する。

黄金持ちの聖地

夕陽を受けて黄金色に輝くモニュメントは、黄金持ちの聖地。当駅売店で販売しているお札に願い事をかいて願掛けをすると金運アップ間違いなしだそうだ。

また、瀬戸内海を望む展望台には無料の双眼鏡が設置されていて、近くを通る漁船や島々をクローズアップできる。

この野外ステージでは、音楽やダンスなどのイベントが開催されている。

いい道の駅なのに、たった数キロ北に巨大な道の駅ができたら、ここに立ち寄る人の数が激減することは火を見るよりも明らかだ。

この道の駅にしても、作るのにおそらく7億円ぐらいはかかったのではないか(全国平均7億円)。そして、その7億円のほとんどが国費(交付金)でまかなわれているのに、どうしてその血税を使った観音寺市がこれほどないがしろにできるのか。どう考えても理解に苦しむ。

民業圧迫、そして、今ある道の駅すらも圧迫。国から交付金を引っ張ることがもはや目的化した、無責任かつ無能な観音寺市政は断固改めさせなければならない。