ピッツァにワイン→明石焼とおでんにビール→焼きそばに焼酎→仕上げはきしめん=明石の定番ハシゴ

故郷「明石」に帰ってきて、もうすぐ2年になります。
明石の魅力はたくさんありますが、この記事ではまだ明石の街を飲み歩いたことがないという左党の方に、「明石四大グルメ」をめぐる「ハシゴ酒」をご紹介します。
ご紹介する店に合うお酒がそれぞれあって、ハシゴすると相当酔いますから、必ず明石駅へは電車で。大阪方面からは新快速電車か、快速電車に乗ってください。舞子駅、朝霧駅を通過するあたり、海側に明石海峡大橋が見えてきます。

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夜、帰り道はこんな感じで、ライトアップされた明石海峡大橋が楽しめますよ。
反対の山側だが、非常に特徴的な建物「天文科学館」が見えてきます。

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この建物の上部の時計台部分は必ず見えるので、見えてきたら、電車は減速。明石駅に着きます。駅の南側に出て、海側に向かって歩きます。途中、有名な「ウオンタナ」がありますので、見物して歩いてお腹を減らしましょう。

「魚の棚」からさらに南へしばらく歩くと、明石港に面して、明石ナンバーワングルメの「Ciro(チーロ)に着きます。この店は事前に予約していないとまず入れないので、必ず予約をしてから行ってくださいね。

<四大グルメ1(予算3千円〜):Ciro(チーロ)>

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明石でおそらく知らぬもののない4大グルメのいの一番に紹介したいのがこの店。本場のナポリさながらに漁船が多く並んでいる明石漁港の目前に現れる青色が目印のイタリアンレストラン「チーロ【CIRO】」の正式名称は、TRATTORIA PIZZERIA【CIRO(チーロ)】。

本場ナポリで修業を積んだ職人が薪窯で焼き上げるピッツァはまさに絶品だ。

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美味しさの秘密は2つ。ピッツァを焼き上げる「薪窯」(写真下)、そして、目の前の「明石漁港」から直接仕入れる新鮮な魚のトッピングだ。

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薪釜は、イタリアから直接輸入したもので、本場の味を再現する為に妥協できないポイントだったそうだ。オススメは言わずもがな、本場の職人が焼き上げる本格ピッツァだ。「ナポリピッツァ協会認定試験」をクリアした店主のピッツァはやはり違う。

そして、地元明石、目の前の明石漁港で獲れた魚介類をたくさん取り扱っているのがチーロ【CIRO】ならではなので、ぜひ魚料理を楽しみたい。明石のタコやタチウオ、エビなど、明石で水揚げされた新鮮な食材をメインに、パスタやアラカルトなど本格的なナポリ料理が楽しめるが、その日の魚介の仕入れによって、店員さんと相談しながら調理法やメニューをお客さん自身が決めることができる。

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これは周囲のお店が仕入れないような、大きさや形も違う魚をざっと市場で仕入れ、人数によって使用する食材を選ぶようにしているナポリでの仕入れ方法と同じだそうだ。
料理に合うワインも、相談するとベストチョイスをしてくれる。

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<三大グルメ2(予算2千円〜):明石焼き&おでん(木村屋)>

明石と言えば明石焼き。明石焼きと言えば、大正13年創業の明石名物玉子焼きの老舗「きむらや」だ。

チーロから東に歩いてすぐ、自動車道路の横断歩道を渡ったところにある。行列ができていることが多いので、Ciro(チーロ)で満腹になった後、しばらく並んで消化を待とう。

「明石焼き」は、小麦粉とじん粉、卵とだし汁を混ぜた生地にタコを入れて焼き、つけ汁につけて食べる、ご存知明石市の郷土料理だ。見た目はたこ焼きに似ているが、たこ焼きはソースをかけて食べるのに対し、「明石焼き」はかつおや昆布のおだしにつけていただく。

おでんのタコも注文しないと後で後悔する(それほどデカくて柔らかくて美味い)。

おでん たこ

明石焼きの専門店だが、おでんも美味いのだ。特にタコは、足を1本そのまま煮込んでいるので、かなり大きい。まず、店に入ると明石焼き1枚を注文しておいて、焼いてもらっている間におでんとビールを楽しもう。

おでんは、タコ、豆腐。ジャガイモ、大根、卵、焼き豆腐、スジ肉の7品。そして、1人前20個ある明石焼きがテーブルに。生ビールは凍ったジョッキにキンキンに冷えている。この3点セットこそ、明石グルメの鉄板だ。

<三大グルメ3(予算1千円〜):焼きそば「江洋軒」>

もしお金が千円しかないのにお腹が空いているなら、この店。私が子どものころから、まったくといって変わらない「江洋軒」は、昭和23年から地元民に愛される、明石が誇る町中華だ。

きむらやから、明石銀座の車道の東側を北方面に歩くと左手に魚の棚(うぉんたな)が見えてきて、国道2号線にぶつかるその一つ手前に路地があって、ほぼその角に、このおじ(い)さんがいかにも難しい顔をして焼きそばを焼いているのが見えるだろう。
焼きそばを焼く

「焼きそば(これが名物)」450円「中華そば」450円「わんたん」400円「ワンタン麺」550円。

メニュー

大半の客は常連で、店に入ると同時に焼きそばか中華そば、あるいはその両方を注文し、数分後には450円もしくは900円を払って店を出て行く。客単価のあまりの低さと、しかしながら回転率のもの凄さに圧倒される。

でも、大酒飲みにもお勧めだ。1000円でべろべろになれる店を「せんべろ」なんて言うが、この店以上に「せんべろ」な店を私は知らない。

ドリンクメニューは、たったの3つ。

「瓶ビール」450円(中)か550円(大)、「日本酒一級熱燗」400円、「焼酎」はなんと200円である。
なので、ワインとビールを楽しんだ後の3軒目は、一杯200円の焼酎で行こう。

この200円の焼酎を頼むと、高齢の店員がペットボトルの寶焼酎を右手に、ビールグラスを左手に持ってずかずかやってきて、先にコップをどんと置いてから、「おっとっとっ」とこちらが言っても、どっとこぼれるまで焼酎を注ぎ込む。氷なんて混ぜものは入ってない。これ以上ないシンプルなコップには当然上げ底もない。溢れ出たあと、表面張力の限界までなみなみと注がれたストレート焼酎は、他店でホッピーや酎ハイなどに入っているアルコール量の4倍はあるだろうか。

これを3杯も飲めば、普通の店で酎ハイを12杯飲むに匹敵する酔いが得られるわけで、これで600円也。ストレートの焼酎をグラスに3杯飲むと胃が焼ける。わんたん400円をつまみにすれば、これで合計1,000円、税込超明朗会計だ。お酒が強くない人ならおそらくもう歩けない。ほんとうの「せんべろ」、正真正銘の「せんべろ」ここにあり、である。

「焼きそば」「中華そば」などをご飯(米)のおかずにするかどうかは、関西人かどうかを測る物差しの一つとされるようだが、ここには炭水化物しかないわけだし、ないものねだりしても仕方ない。それらを片っ端から腹に入るだけ食いまくって、そして飲み倒す店なのだ。

中華そばと焼きそばは必ず注文し、あとは焼酎でもビールでも、飲みたいだけ追加する、それがこの店の流儀である。

<三大グルメ4(予算〜1千円):都きしめん>

さあ、仕上げは「きしめん」だ。紅葉軒からは明石駅が見えるので、そこまで歩いて、駅の東の「ピオレ明石」東館内に入ると、そこに明石のソウルフードのひとつ「都きしめん」明石本店がある。

明石本店

1964年、明石市で創業した「都きしめん」を知らない明石市民はモグリと言っては失礼だが、おそらく最近の「明石ブーム」(泉房穂市長時代に急激に市政が良くなり暮らしやすくなった)で引っ越してきたばかりの人に違いない。

この店は店名のとおり、「きしめん」の専門店。2025年2月時点で、つまり61年かけて明石市内のみにたったの4店舗展開している、まことにのんびりした明石らしい発展ぶりだ。

これは余談だが、「都きしめん」の前身はスパゲティ専門店だった。当時「明石ステーションデパート(現・ピオレ明石)」の中には、うどんやそば、ラーメンなど、さまざまな麺専門店が軒を並べてたので、「ほかの店舗にないものを」と先代経営者が考えて始めたのが、たまたま「きしめん」だった。

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「明石本店」は、明るい色目の木を基調としたカジュアルな雰囲気で、女性比率、と言っても買い物ついでにふらっと立ち寄るおばさん、というよりもおばあさんの比率がかなり高い。

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いちばん安い「きしめん」がいちばん美味いかも。

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オリジナル麺は、つるりと軽やかなのどごしとモチッとやわらかな食感が特徴だ。

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麺にからんでちょうど良い味を醸す出汁は、やわらかなきしめんとの相性に徹底的にこだわった優しい味わい。「鰹節のカネイ」にブレンドしてもらった九州北部産のうるめ節入りのこだわりの合わせ出汁を、「ヒガシマル醤油」の薄口醤油で味付けするという(もちろんブレンドやレシピ詳細は社外秘)。

太るのが嫌で、麺類の出汁を残す方も多いが、ここの出汁はぜひ飲み干してほしい。

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シンプルな「きしめん」は税込561円だが、看板メニューは、写真の『かつおきしめん』(税込627円)。

きしめんの上に、こだわりのかつお節をふんわりのせただけだが、風味がそれだけで素晴らしくなる。出汁を吸ったかつお節、そしてうま味が染み出た出汁は、お互いに良さを引き立て合うので、私もこれが一番好きだ。

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単品の麺メニューが約15種類、さらにセットメニューが約30種類と、きしめん専門店なのにメニューは多彩。セットのイチオシは、新鮮なしらすが味わえる『きしめんとしらす丼のセット』。

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『カレーきしめん』も美味い。自慢の出汁をたっぷり使っているので、辛みが少なく、元の出汁とほのかなカレー味を楽しむことができる。

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もう一つのポイントは牛肉なのだが、その横に添えられている「うす揚げ」がいい仕事をしている。

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美味しいと思ったら、あるいは前の3軒でほとんど炭水化物を詰め込んでお腹いっぱいでギブアップなら、持ち帰り用のきしめんが店頭でも販売されているのでそれを明石の手土産に、電車に乗って帰りましょう。