あと12年、完全復旧まで見守るつもりの「熊本城」で進捗チェック。道の駅「通潤橋」から(トイレ◎仮眠○休憩◎景観◎食事○設備○立地○)

2016年の熊本地震によって、私が大好きな熊本城の建造物は重要文化財13棟、復元・再建20棟のすべてが被災し、石垣は全体の3割に当たる約2万3600平方メートルが被害を受けた。

復旧は、2037年度までかかるという長い道のりとなったが、まず最優先されたのはやはり天守閣の復旧だった。

茶臼山全体を要塞化した城の最奥、一段高い所にそびえる天守閣は、大通りや市電、市役所など各所から眺められる街のシンボルで、存在そのものが街の歴史だ。市民の憩いの場、復興の象徴として復旧が急がれたのである。

そして2016年の熊本地震の被災から4年後、2020年の正月、一部復旧し、天守閣の特別公開が始まったタイミングで私はその進捗状況を見に熊本城を訪れた。
大天守・小天守の、あの堂々たる姿。見上げているうちに、涙が頬を伝った。

しかし九州から帰ると、大変なことになっていた。

コンサルで入っていた京都の宿泊業がコロナ禍に見舞われ、たちまち地獄に突き落とされた。復活した熊本城の大天守・小天守を見上げて流した涙とは、かなり違った種類の涙を流すことになった2020年の私であった。

復旧途上に地震が無情の追い打ち

熊本城は、慶長12(1607)年、茶臼山と呼ばれた台地に加藤清正が当時の最先端技術と労力を投じて完成させた名城。

以後、加藤清正から細川氏、宮本武蔵、谷干城など歴史に名を刻んだ歴史ドラマの主人公たちが420年近くにわたって歴史を紡ぐが、その歴史がいかなるものであったかや、この白自体がどれほど重要なものであるかについても、私なんぞがこのブログで改めて語るまでもないことであろう。

それより何より、熊本城の現在は、熊本地震から2037年度の完全復旧を目指しての途上にあるのである。国の重要文化財に指定されている宇土櫓続櫓もまた、2024年6月から石垣の解体工事が行われていた。

しかし半年後の2025年12月4日午後2時すぎ、宇土櫓続櫓での石垣の解体作業中に、石垣の内部に詰められている栗石の一部が崩れたのだ。

崩れた栗石の面積は約60平方メートルで、なだれのように崩れたという。

近くにいた10人の作業員にけががなかったのが幸いだったが、工事は一時中断を余儀なくされた。

そして、再開の目処は立っていない。

第3の天守といわれる現存多層櫓の宇土櫓の解体保存工事が始まったばかりの、今回の石垣崩れ。

11月に入って熊本では地震が頻発していたが、それはこの地では決して珍しくはないこと。そこが恐ろしい。

二の丸広場から石垣越しに天守閣と宇土櫓を見たい

今回、無計画に九州に入っていたので、そんなニュースを聞いてたまらず熊本城を再訪した。

前回訪れたのは2020年だから、5年ぶりの熊本城だ。

飲食店が集まる城彩苑から階段を上がると、5年前はなかった南口に券売所ができていた。

ここでお金を払い、階段を上がって、地上約6メートルの高さに設置された特別見学通路を歩く。

異なる時代の石垣が並ぶ「二様の石垣」や崩れたままの石垣を通路の左手に眺めながら、本丸御殿へ。

そして、御殿を抜けて天守閣前の広場に出る。

そして、二の丸広場を歩く。ここから見る石垣越しの天守閣と宇土櫓が、私は好きだ。

現代的な人工物がほぼ視界に入らず、おそらく築城時そのままの豪壮な姿は見飽きることがないからである。

馬具櫓や戌亥櫓も解体保存工事が進行中だが、くれぐれも工事中に大地震が起きないことを祈るのみだ。

道の駅「通潤橋」

道の駅「通潤橋」は、熊本城から国道445号線を東南東に40kmほど走った熊本県東部の旧矢部町(現山都町)にある。これだけの距離を走るのであれば他に道の駅もあるのだが、地震の被害が大きかった道だけに、復旧度合いを確認したかった。

国道445号線は、2016年(平成28年)4月に発生した熊本地震で最も被害を受けた道路の一つ。なんとか道は復旧していた。

人気の観光地「通潤橋」もまた、熊本地震により大きな被害を受けた。

農業用水を通す橋としては日本一の規模を誇り、橋の真ん中から豪快に放水する通潤橋は、熊本県を代表する観光地の一つである。

地震によって石材の一部が崩壊し、橋からの放水は長らく中止を余儀なくされていた。

幸い田園風景に調和した美しい石造りのアーチ橋の姿は健在で、道の駅「通潤橋」も、2024年にリニューアルしての再出発を果たしていた。

道の駅の駐車場は狭くもなく広すぎるもなく、とても利用しやすい。

トイレは出来立てのホヤホヤ、非常に美しい。最高。

休憩環境としても、とても良いと思う。

矢部茶・矢部米が二大特産品

物産館で大々的に販売されている商品は、矢部米と矢部茶。
矢部茶は、矢部町が発祥だが、今や推しも押されもしない全国ブランドになっている。

道の駅では高級品から廉価品まで様々な矢部茶が販売されており、矢部茶をブレンドした「矢部茶カステラ」も人気商品となっている。

矢部茶と共に人気なのが地産の米「矢部米」だ。

品種は九州地区で栽培が盛んなヒノヒカリで、かなりの高級品である。

レストランのメニューは豊富で、相当オシャレ。
時間の関係でいただけず、食レポできないが、かなりいいレストランという印象だ。