「阿蘇パノラマライン」を「阿蘇山」の北麓から南麓へと縦走。道の駅「阿蘇」から(トイレ△仮眠✖️休憩◎景観◎食事○設備○立地○)

日本の山で最初に外国の文献に記載されたのは、実は富士山ではない。阿蘇山である。

ただ、阿蘇山は富士山のような単体の山ではない。一般的には巨大なカルデラの中の活火山群(阿蘇五岳)の総称と定義されるが、広い意味では外輪山や火口原をも含めた呼び名である。

そうすると、つまり阿蘇五岳を中心とした中央部の山々とその周辺に広がる外輪山までを含めて阿蘇山であると定義すると、外輪山は南北約25km、東西約18km、周囲約128㎞もあり、となるとこれは世界最大級の火山ということになる。

火口原には約4万人が生活していて、田畑が開け、国道・鉄道が通り、阿蘇市・高森町・南阿蘇村の3つの自治体がある。火山の中に3つの自治体があるなんてとんでもない火山、それが阿蘇山なのだ。

阿蘇五岳

この世界最大級の二重式火山「阿蘇」は火の国・熊本のシンボルであり、高岳を最高峰に根子岳、中岳、烏帽子岳、杵島岳と連なっている阿蘇五岳、ほぼ900mの高さで火口原を囲む外輪山等どれを取ってもそれらの景観は圧倒的だ。

阿蘇山の概要

阿蘇が現在の山容になるまでは古い活動の歴史があり、10万年前、阿蘇が現在ある場所には数多くの火山があって活発な活動をしていた。するとこれらの火山が一斉に噴火活動をし、火山灰、溶岩などを噴出。この活動が終ると大陥没がおこって、今の外輪山の原形が生まれた。そして、この巨大なくぼ地に火口湖ができ、立野付近で断層や侵食がくり返され、湖水はたまらず流れ出す。

こうして3万年から5万年前、東西方向に並んで、以下の阿蘇五岳の山々が出来上がったといわれている。

中岳

「阿蘇山を見に行く」といえば「中岳火口見物」を指す人が圧倒的に多い。
五岳のひとつ阿蘇中岳は現在も活動を続けていて、激しく噴煙を上げている。溶岩の岩肌がむき出しになり、火口壁のしま模様がきれいではあるが、地鳴り鳴動とともに激しく噴煙を噴き上げるその様子は、私にはあまりに恐ろしい。

活動を続けている現在の火口を囲むように東西400m、南北1,100mにわたって七つの火口跡があり、古くから激しい活動を続けてきたことを偲ばせる。

高岳

全体が丸みをおびた円錐形の山で、阿蘇の最高峰だ。

南西側は中岳と峰続きで他の方向はすそ野が長く、東側は根子岳に連なって、鞍部は「日の尾峠」と呼ばれる。そして北側は小堀牧・二塚牧・泉牧など広々とした美しい牧草地だ。

山頂部には東西400m、南北100m、高さ10~30mの壁で囲まれた楕円形の旧噴火口があり、平坦な火口底が広がっている。

山頂北部斜面は「鷲が峰」「虎が峰」の険しい岩場。西部から仙酔峡にかけての斜面は層を成した線状の溶岩流跡が見られる。 最高峰だけに山頂からの展望は雄大で、足下に根子岳をはじめ阿蘇五岳、南に祖母、北に久住の諸峰を眺めることができる。

根子岳

阿蘇五岳の中で一番東に位置する。

山頂部から深い谷が放射状に刻まれノコギリの刃のように鋭くとがった独特の山容を成していて、一目でわかる。

どの方角から見ても美しい円錐形をしており、全山が潅木に覆われて、秋は紅葉が美しい。

烏帽子岳

山頂部が狭くとがっているので、この山も一見してわかる。

山全体が草に覆われ、西には緩やかなすそ野を引いており、北斜面には草千里の側火山がある。

杵島岳

五岳の中で一番西側に位置する形の整った成層火山だ。

頂上に直径200m深さ50mの旧火口があり、西には爆裂火口、東斜面には「古の御池」という最長直径50mの楕円形をした旧噴火口があって、火口底は深さ50mある火山灰の平地になっている。

杵島岳と、その北側の寄生火山の往生岳も山体に放射状の谷が発達しており、とても美しい風景となっている。両山のすそ野は7合目付近で一緒になり、長くすそ野を引いて牛馬が放牧される見事な草原となっている。

九州随一の人気ドライブウエイ

阿蘇パノラマラインはこの阿蘇中岳の西側を縦断するルート。熊本県の阿蘇カルデラの中央に位置する登山道路の総称である。

あたり一面、晩秋の枯れススキの中、あるいは春夏には緑の草原の中を爽快に走り抜け、現在も噴煙を上げる中岳まで間近に迫ることができるとあって、九州随一の人気ドライブウェイとなっている。

北側から延びる県道111号阿蘇吉田線(通称:坊中線)、同県道111号で南側から延びる南阿蘇ルート、西側から延びる県道298号阿蘇公園下野線という3本の路線で構成されていて、全体の区間総距離はおよそ37kmである。

中岳火口に至る有料道路の阿蘇山公園道路(軽・小型・普通自動車1,000円)へのアクセス道路にもなっている。

JR豊肥本線の阿蘇駅前から出発すると、道はすぐに上りはじめる。

やがて中腹の牧場地帯を走るが、このあたりの眺めが美しい。

カルデラの中にある阿蘇市の町並みや内牧の温泉街、そしてそれを囲むようにそびえ立つ外輪山の全貎、その向こうには、くじゅうの山々がそびえる。

牛や馬がのどかに遊ぶ草原など、いつまでも見ていて飽きない雄大な眺めが広がる。

阿蘇中岳を望む、緑まばゆい草千里

おわんを逆さまにしたような火山の米塚(こめづか)がある。

ここを過ぎて森の中をしばらく進むと、やがて草千里の展望所に出る。

阿蘇パノラマラインのハイライトである草千里は、元々は千里ヶ浜火山の火口跡が緑の美しい草原となっており、広い駐車場がある。

噴煙を上げる阿蘇中岳はすぐ目の前だ。

草千里を越えると阿蘇山上広場に着く。

ここから阿蘇山公園道路で中岳の火口まで行けるが、火口周辺は警報が出ると規制されて立入禁止となる。このところ、熊本は地震が続いており、こう見えてとても臆病は私は、火口には近づかないで山を降り、南麓にある道の駅「あそ望の郷くぎの」から振り返って眺めを楽しんだ。

道の駅「あそ望の郷くぎの」

阿蘇パノラマウエイを南に降り切ると、熊本県北東部の旧久木野村(現南阿蘇村)の道の駅「あそ望の郷くぎの」に着いた。

駐車場に車を停め、走ってきた方向を振り返ると、阿蘇外輪山の素晴らしい風景が目に飛び込んでくる。

駅名「あそ望の郷」は、伊達じゃない。

ところで、この道の駅が一躍有名となったのは2016年4月に発生した熊本地震の時だった。

市町村指定の避難所に人が溢れる中、この道の駅が2次避難所として車中泊避難者の拠点となったのだ。 車中泊の車が300台収容の駐車場一面に並び、50帳のテントがはられて、水や食料、日用品の提供や炊き出しで車中泊避難者に対する支援が展開された。

その様子はテレビのニュース等でしばしば報じられたので、記憶しておられる方も多いのではないだろうか。

車中泊禁止の道の駅へ

地震から9年経過した現在、この道の駅は車中泊禁止を強く打ち出している。

車中泊禁止を打ち出している道の駅は他にもあるが、 殆どは立て看板で「施設利用以外の長時間駐車はご遠慮願います」と注意勧告する程度である。

しかしこの道の駅は施設内放送で車中泊禁止を通達するなど徹底している。

まあ、地震の多い熊本の、阿蘇の麓である。有事の際に観光客が邪魔をしてはダメなので、全面禁止でいいんじゃないだろうか。

駐車場は、ご覧のように満車に近い。

トイレは、そんなに大きなものではない。

休憩環境としては、抜群ではないだろうか。

阿蘇の特産品を網羅して販売

道の駅の施設は、物産館、レストラン、そば打ち体験施設、パークゴルフ場、ドッグラン、そして最近有名な山のそばにもれなくついてくるモンベル(笑)。

物産館では地産の野菜を売っているコーナー、熊本の特産品コーナーもあるが、「阿蘇土産品コーナー」がパワフルだ。

ここでは「阿蘇小国ジャージー牛乳ミルクブッセ/ラングドシャ」「阿蘇ウインナー」「阿蘇タンスモーク」「阿蘇気分爽快茶」「阿蘇百年蔵の醤油」 「阿蘇ミルクアイス」などの阿蘇ブランドがいっぱい。 トマトケチャップ、ウスターソース、焼肉のたれ、ドレッシングなども「阿蘇物語シリーズ」と冠して売られている。

レストラン、カフェ、蕎麦屋、屋台等々、熊本グルメを堪能

レストランでは、カフェテリア形式で田舎料理を楽しめる。 料理の種類は30種類以上あり、その多くは南阿蘇で育った新鮮野菜や畜産物を使ったもの。

そば道場や、カフェ、クラフトビールや串焼きの屋台など、熊本のグルメがいろいろ楽しめる道の駅となっている。