
唐古・鍵遺跡は、弥生時代前期(約2,300年前)に成立し、古墳時代前期(1,700年前)までの約600年間続いたと考えられる集落の遺跡です。奈良盆地のほぼ中央、奈良県磯城郡田原本町大字唐古および大字鍵に位置し、直径約400mの範囲が居住区で、その周りには幾重にも「環濠」が巡っていました。内濠は幅10m・深さ2mを測り、外方には幅5m・深さ1.5mの濠が幾条もつづく。城砦と見まがう姿の集落の総面積は約42ヘクタール。
この遺跡面積は近畿地方最大ですが、これに墓地等の関連遺跡の推定範囲(北の清水風遺跡から東北の法貴寺遺跡)を含めれば面積は100ヘクタールにもなり、佐賀県吉野ヶ里遺跡や一支国の原の辻遺跡(長崎県壱岐)、奴国の須玖遺跡群(福岡県春日市)、伊都国の三雲遺跡群(福岡県前原市)などに並ぶ規模です。
唐古・鍵遺跡は、昭和11年の第1次調査で多量の土器・石器・木器が出土し、その成果は弥生時代研究の基礎となりました。そして、昭和52年の第3次調査からは継続的な調査が続けられ、多数の絵画土器や青銅器鋳造施設の発見など重要な成果が相次ぎましたが、発見のたびにその重要性はますます高いことが確認され、1999年1月27日には国の史跡に指定されています。


列島における初期水稲農耕の具体的な姿
唐古・鍵遺跡は弥生時代遺跡の白眉とされるが、最大の理由は、弥生時代の社会が水稲耕作に基づいた社会であることを実証した遺跡であるからだ。1937年の唐古池の発掘では、弥生土器・炭化米とともに多数の木製農耕具を検出することに成功した。
これは、列島における初期水稲農耕の具体的な姿を明らかにするものだった。6年後の1943年には静岡県の登呂遺跡で水田と集落が確認され、弥生時代の農耕集落の全体像が知られることになったのである。
母なる村として鋳造技術の革新も
唐古・鍵遺跡は、周辺にある小・中規模の集落遺跡に対して「母村」と呼ばれ、地域社会の中心集落であったと見られている。その理由は、遺跡の規模が単に大きいだけでなく、出土遺物が他に比べて非常に多様だからである。
母村としての集落内では、様々な手工業がおこなわれていたことがわかっている。唐古・鍵遺跡の手工業は、土器・石器・木器などの生活用具の生産から、銅鐸などの青銅器の鋳造までと幅広い。特に銅鐸の鋳造に関しては、第3次調査(1977年)で石製と土製の二種類の鋳型が発見されている。
以前より銅鐸の鋳造法については、石製鋳型から土製鋳型による鋳造へ変化したものと推定されていたが、その両方の鋳型が唐古・鍵遺跡から現実に出土したことで、弥生時代の先端技術ともいえる「鋳造」が、中期末から後期初めに革新されたことが明確になった。
日本各地とも交流
手工業による製品は周辺集落にも供給され、中には遠く離れた地域との交易品になったものもあったらしい。というのも、その見返りにもたらされたと思われる遺物が発見されたのだ。新潟糸魚川に産するヒスイを用いた勾玉に代表される装身具や、吉備・東海・近江地域・河内地域の土器、さらには鯛やアカニシ貝などの海産物などである。
こうした日本の各地から運び込まれたものの出土は、2,000年前の弥生時代にはすでに地域を超えた大きな範囲での交流が行われていたということを示している。つまりこの遺跡が当時最先端の技術を持ち、近畿地方のリーダーのような役割を果たすだけでなく、そして遠距離の交流によって弥生時代社会の中で存在感と地位をより高めていったと考えられるのだ。
唐古・鍵遺跡史跡公園と、隣接する道の駅「レスティ唐子・鍵」
遺跡の地下に眠る遺構を末永く保存して次世代へ引き継ぐため、また、この遺跡を通して多くの人に歴史の面白さやこの地域の魅力を伝えるために、遺跡の一部が史跡公園として整備された。2018年4⽉のことだが、3日後には唐古・鍵遺跡史跡公園と隣接して道の駅「レスティ唐子・鍵」がオープンした。ここでは物品や飲⾷の販売、多⽬的室や屋外イベント広場の運営のほか、様々なイベントも開催している。特徴的な寄棟造りの⼤屋根は国道24号線からもよく⾒え、⽥原本町のランドマーク的存在になっている。

行き方だが、西名阪自動車道の郡山ICから国道24号線を南に5km。インターからの道中は住宅7割、田畑3割だが、道の駅から南側は住宅や商業施設が並んでいる。 国道24号線は京都・奈良・和歌山を結ぶ関西の主要道路で、整備状況が良いため渋滞は少ないが交通量は多い。 道の駅「レスティ唐子・鍵」は、国道24号線利用のドライバーにとっては貴重な休憩所である。

平日でも、駐車場は混雑気味。

施設の中に入らなくても休憩スペースは結構ある。


駐車場に面している方のトイレ。とても綺麗に清掃していただいている。



情報提供スペースも充実。



ここで特産品の大まかなプレゼンがされている。
館内にもいくつかトイレが。

1階「交流エリア」
1階の館内には、⽥原本町内の新鮮な野菜、果物、花などが販売されている。










農産物以外に、唐古・鍵遺跡ならではのものから奈良県全般の特産品まで、非常に多くの特産品が販売されていて、食関係では「柿の葉寿司」「焼き鯖寿司」「大和牛釜飯」等、奈良県ならでは名物が人気を集めていた。



物産館の横に「Kagi Bakery」がある。 このベーカリーで製造直売する「⻩⾦の⽣⾷パン 極」や、奈良県産の果物やお茶などを使った季節のジェラートは、かなり人気があるようだ。
自慢の品は黄金の生食パン「極」。 高級カナダ産小麦を100%使用し、バター、生クリームを配合。更に蜂蜜を加えて独自の製法で焼き上げてある。 その他に「極コッペパン」「フランスドッグ」「焼肉ドッグ」などもある。
2階「体験エリア」
屋外テラスと吹き抜け空間に⾯した「からこカフェ」は、オムライスとにぎりたてふんわりおにぎりが二大看板。手頃なものでは「奈良カレー」「まぁるいきつねうどん」など、デザートでは、シャインマスカットがトッピングされた「シャインパルフェ」や「やきいもブリュレ」などがある。





歴史交流スペースでは、唐古・鍵遺跡や⽥原本町ならびに県中南和地域の観光情報を発信しています。
多⽬的室は地域の交流拠点として、セミナーや物品販売、企業・社会活動などに活⽤できるレンタルスペース。⼟器作りなど弥⽣時代の体験学習も⾏っているそうだ。
休憩スペースもゆったり。


3階「展望エリア」
展望エリアからは、⼤和⻘垣・⼆上⼭の眺望や史跡公園を⼀望でき、⽥原本の豊かな景観を楽しめる。


