
篠脇城は、岐阜県郡上市大和町にあった山城である。
下総国の名門・千葉氏の一族であった東(とう)胤行は、承久の乱(1221)の戦功により郡上郡山田荘を加領され、阿千葉城を築いた。
鎌倉時代末期(1310年頃)、四代目・氏村が篠脇城に本拠を移し、その後、東氏は8代二百数十年にわたりここで領地を治めた。
東氏は代々歌道に優れていたが、中でも九代・常縁は古今集研究の第一人者だった。ご存知「古今和歌集」は日本最初の勅撰和歌集。天皇の命令によって編集された(勅撰)もので、905年、醍醐天皇の命を受けた紀貫之ら4人の撰者により著されたものだ。
古今伝授とは「古今和歌集(古今集)」の解釈を中心に、歌学や関連分野のいろいろな学説を、口伝・切紙・抄物によって、師から弟子へ秘説相承の形で伝授することを言うが、常縁は連歌師・宗祇にその奥義を伝授したことで知られ、「古今伝授」の祖と言われている。
応仁二年(1468)常縁が関東へ出陣中に美濃国守護代・斎藤妙椿の急襲を受けて篠脇城は落城するが、このとき和歌書など東氏代々の書物も焼亡した。常縁は嘆き悲しみ、心境を歌にしたためた。
人伝てにその歌を知った妙椿は、感じ入って「自分に歌を10首詠んでくれれば城を返還する」と申し出た。ただちに詠歌を贈った常縁は、妙椿と対面して城と所領の受け渡しを行い、以後両者は歌人としての交流を続けたとされる。
天文9年(1540)に越前の朝倉勢が来襲したとき、当主・常慶は篠脇城で敵の大軍を撃退したが、城の破損が著しく、翌年に八幡赤谷山城に本拠を移して篠脇城は廃城となった。
見事な畝状竪堀(通称臼の目堀)
篠脇城は、栗巣川を見下ろす標高約523mの篠脇山に築かれた。

山の東西は深い谷で、背後の山脈につながる南側の尾根は細くくびれた要害である。
山頂部に三段の本丸、二ノ丸、腰曲輪が設けられ、周囲には三十条を超す竪堀(臼の目堀)を構えていたが、篠脇城といえばなんといっても全周にびっしりと張り巡らされたこの畝状竪堀が有名だ。
主郭を取り囲むように、放射線状に30本余りの竪堀が設けられたので通称「臼の目堀」とも呼ばれる。美濃の城郭でここまで巨大で整然とした竪堀群遺構がみられるのは篠脇城のほかには見当たらない。
また、昭和54年には城山の北麓から庭園遺構を含む館跡が発見されたが、これは貴重な中世武将庭園として国の名勝に指定されている。山麓居館の東氏館跡庭園もきれいな公園として整備されていて、桜も美しい。
この山城跡へは、古今伝授の里フィールドミュージアムを起点にして、つづら折りの道を歩くこと30分程。標高570mの篠脇山の山頂に、篠脇城跡の碑が現れる。

道の駅「古今伝授の里やまと」
「道の駅 古今伝授の里やまと」は、篠脇城からすぐ近くなので寄ってみたが、失礼ながら立地からは考えられないほど大きな規模で驚いた。
この道の駅に直接向かうには、東海北陸自動車道のぎふ大和ICから県道52号線→国道156号線→県道317号線を通って北に4km車を走らせる。はっきり言って相当の田舎なのだが、道の駅にはなんと物産館が2つ、食事処が4つ、農産物直売所にパン工房、温泉施設にホテル、立派な足湯(無料)もあるのだ。




また、 道の駅のすぐ隣には温泉施設「やまと温泉やすらぎ館」があり、温泉施設の中にも物産館とレストランがある。


温泉施設は道の駅の一番人気
この温泉施設は、道の駅の一番人気なので、先に人気の秘密に触れておく。
「あやめぐさ」と「後朝の恋」という2つの浴室に分かれていて、週替わりで男女が入れ替わりになっていること。
泉質はナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉だが体に負担が少ない低張性温泉であり、ゆったりと湯に浸かることが可能であること。
そして利用料金が内湯、露天風呂、サウナの他にジェットバス等のアクションバスが備えられている割にリーズナブルな700円であること。。
これらの魅力に、強烈な個性が2つ加わる。
一つは、「あやめぐさ」のジェットバス、「後朝の恋」のジェット風呂の、水流の強さである。 ジェットバスは何かに掴まっていないと流されてしまう。ジェット風呂は狭い空間にあるので流されることは無いが噴流をまともに受け止めると痛いほどの勢い。「噴流を肛門に押し当てると大変危険です」という注意書きは真剣に受け止めたほうがいい。
もう一つの個性も突き抜けている。「後朝の恋」にあるすべり台温泉だ。滑り台の斜度は約30度、長さは3m位だが、服を着ていれば摩擦のお陰でスピードは弱まるのに対してここを滑ると摩擦係数は裸なのでほぼゼロ。 たった長さ3mだが、湯壺の中に飛沫をあげてで突入するのだ。
この人気温泉施設に「道の駅ホテル」と言われる「フェアフィールド・バイ・マリオット・岐阜郡上」も加わって、多くの客が訪れて賑わっているのだ。
道の駅の駐車場は相当広いが、平日の上に、天気が急に崩れたにもかかわらず。
多くの車が駐車していて、まずそのことに驚かされた。


トイレは各所にあって、どこも綺麗にしていただいている。



休憩環境としては、大規模な施設なりに休憩スペースは多く設けられているし、それぞれの場所から眺められる景色も良い。













複数の物産館が多彩な郡上大和の特産品を販売
多彩な施設構成を誇る本駅だが、まずは物産館の紹介から行いたい。
品数が最も豊富なのは「湯多花の市」という物産販売施設。 およそ2000種類位の商品を扱っていて約8割は郡上地方の特産品というから、郡上恐るべしである。
中でも注目の商品は郡上の濁酒「山ノひゃくせい」。
第16回全国どぶろく大会で優秀賞を受賞した逸品である。






農産物直売所やコンビニのような物産館も
農産物直売所だが、こちらの野菜は、おそらく地元の方を含めて来客数が相当多いためだろう、人気の野菜はどんどんなくなっていく。

私も高校生が頑張って育てた野菜を一つ買わせていただいた。





「湯多花の市」から少し離れた場所には観光物産館「みちしる」がある。
コンビニ的で、買い物しやすい。



ここでは郡上市の観光名所「ひるがの高原」の牛乳を使った「ことといヨーグルト」「ひるがの高原ミルクドーナッツ」などが販売されている。 その他にも高鷲ファーム名物でフランス菓子の「カヌレ」、地産ジビエを使った「鹿フランク」等も販売されていて、コーヒーなども買って軽いおやつ休憩もできる。
温泉施設内にも「古今東西屋」という物産館があるので、ここでも買い物ができる。
「食」の施設も非常に多彩
飲食関連施設も充実している。「四季食彩レストラン おがたま」「おふくろの味 安食里」「麺処 なつつばき」「小昼処 かにはさくら」などが軒を連ね、 温泉施設内にも「レストラン山法師」がある。

「四季食彩レストラン おがたま」では、月替わりの「ヘルシーランチ」「おがたまランチ」、郡上名物の「鶏ちゃんランチ」「とんかつランチ「ハンバーグランチ」などさまざまなランチメニューがある。



「おふくろの味 安食里」は地元の主婦が運営する店だ。


定食メニューは「麦とろ定食」「安食里定食」「鶏ちゃん定食」「朴葉みそ定食」など6種類ある。
「麺処 なつつばき」はそばとうどんの店だ。


「小昼処 かにはさくら」は軽食を提供する店。かたや温泉施設内にある「レストラン山法師」は主に夕食を味わう店だ。 温泉施設内にあるが、入館料無しで食事だけの利用も可能だ。
「手作りパン工房 かなは草」やテイクアウトできる軽食コーナーも人気を集めていた。


