幻のそば産地「左右高原」を訪ね、憧れの「そば信」で「3タテ」を喰らい、道の駅「長野市大岡特産センター」へ(トイレ○仮眠◎休憩○景観△食事○設備△立地○)

今年(2025)のプロ野球セ・リーグのペナントレースは、阪神と巨人が強い。
かつて東京ドームでコテンパンにやられていた阪神だが、今年は東京ドームでのカード初戦からなんと巨人を「3タテ」。さらに東京ドームで2勝して5タテとしたが、惜しくも「3タテ」の2セットとはいかなかった。

私は大の阪神ファンであるが、大のそば好きでもある。

1988年創業以来『挽きたて』『打ちたて』『茹でたて』の「3タテ」を貫く「そば信」に、同店創業前、中学、高校ともに信州の修学旅行で信州そばの美味しさに感動の涙を流した私は、まだ味わっていないくせに「信州そばの最高峰」と決めつけて憧れ続けてきた。
そして、光陰矢の如く過ぎ去って還暦を超えたある日。生産量が少なく希少なあまり「幻のそば」と言われる「左右(そう)高原」でとれる玄蕎麦が存在し、これこそがまさに蕎麦の最高峰であろうという新たな情報を知った。
今年の阪神も、左の佐藤(輝)、右の森下が打撃三部門を独占する勢いである。

「そう」、もとい「左右」がいいと、かつて王・長嶋のON時代がそうであったように野球も、そして「左よし右よし」の車の運転も、そして蕎麦はもちろん。

なんでも「ウマく」いくのだ。
お後がよろしくないようなので、67歳にして初めてその「左右高原」に行ってみた。

左右高原にいたのは羊だった

左右高原に言ったが、そばは生えていなかった(当たり前だが)。
その代わりに、左右高原には、顔が真っ黒な羊が生えて、もとい、生きていた。

「おい、オメエ〜たちが蕎麦を食い散らかして、そんでもって左右高原のそば生産量が落ちて幻のそばになったのか!?」

「うどんより黒い蕎麦の食い過ぎで、オメエ〜たちはそんな黒い手足になったのか?」
そう早とちったて言いがかりをつけかけたが、それは全くもって羊たちへの沈黙、もとい、濡れ衣だった。
この顔の黒い羊たちはサフォーク種。食肉用の品種だ。
羊は昔なら伸びた毛を刈られるだけで済んでいたが、今は人間に食われるためにここで放し飼いにされ、毎日「ウメェ〜」と言いながら懸命に生きているのだった。

嗚呼、ドナドナ……、この子たちの運命はいずれ……(涙)。

憧れの「そば信」へ

左右高原から向かったのは、『挽きたて』『打ちたて』『茹でたて』三たての店「そば信」。
店舗は、「道の駅 信州新町」の中にある。

店主は中村翔さん。物心ついた時から、左右高原でそばを提供する民宿を営む祖父母のそば作りを見て育ち、小学生の頃には大リーグボール養成ギプスをつけていたかどうかは知らんけど、早くもそば練りの手伝いをしていたという。


こだわりは何と言っても『挽きたて』『打ちたて』『茹でたて』の「三たて」だ。

近くの工房にある玄そば脱皮機で、皮を少し残すようにして剥いた実を店の石臼でゆっくり製粉。「挽きたて」のそば粉を手打ちして太めに切った「打ちたて」を、「茹でたて」で提供している。


店内は、蕎麦の子、もとい、芋の子を洗うような混雑ぶり。「補助席」まで埋まり、待ちの行列ができていた。下手くそな食レポをしなくとも、この繁盛ぶりが「味」を雄弁に語っているだろう。

芦ノ尻道祖神にお出迎えいただく道の駅

道の駅「長野市大岡特産センター」は、最初に行った「左右高原」と「そば信」のある道の駅「信州新町」とのちょうど間、長野県北部の旧大岡村(現長野市大岡)にある。

この道の駅は、1993年4月に第1回道の駅として登録された103の道の駅の一つで、登録時は当時の村名をそのまま使って「大岡村」という駅名だったが、2005年の市町村合併の際に「長野市大岡特産センター」に改称されている。

リニューアルは今日まで一度もなく、オープン時のまま33年目を迎えている。偉いっ!
ちなみに、道の駅の正面に「営業中」を訴えつつ迎えてくれるのは、長野オリンピックにも登場した(古っ!)「芦ノ尻道祖神」。この道祖神は、旧大岡村の集落を悪霊や疫病から守る守護神として崇められている。

駐車場、トイレ、休憩環境は?

駐車場は、大きさをどうこうではなく、がら空きである。

トイレは、しっかり清掃をしていただき、気持ちよく使わせていただける。もちろん「一歩前へ!」

休憩環境としては、もう十分すぎるぐらい。館内も外にも誰もいないから独り占めだ。

物産館(野菜特産物直売所)

道の駅の物産館では、フルーツジャム、フルーツジュースなど信州産のフルーツを使った特産品が目立っていた。農作物の種類はあまり多くないが、大岡特産の長芋には注目だ。

食事処

写真の機械による地粉を使った手打ちそば「ざるそば」の大盛りにおにぎりをつけて、完食。

十分美味しかったが、「そば信」の蕎麦をいただいたばかりだったので、どうしても比べてしまった。

「岩魚塩焼き定食」では、駅横を流れる犀川の幸を味わうことができる。