
長野県上田市から千曲市に北上する国道18号線を走っていると、国道18号線を長野に向かって走っていると左側にピラミッドのような形をした山が見えてくる。
それが岩井堂山。地元では麓に自在神社があることで、「自在山」と呼ばれている山である。
町をはさんで流れる千曲川の左岸・村上地区は村上氏発祥の地だが、ここからも自在山はよく見える。
この山は、戦国時代以前には狼煙台として山頂部が使われていた歴史があり、また、北信濃一帯を治めていた村上氏の支城・出浦城が建てられている。村上氏といえば、有名なのは戦国時代にあの武田信玄を2度にわたって撃退した村上義清、信濃きっての名将である。
この山には自在神社が鎮座しており、中腹に本殿、麓に里宮がある。
自在神社の祭神は大己貴命(おおなむちのみこと)と村上義光公の霊を合祀したといい、村上氏出陣の時は神楽を社頭で舞っていた。この「太々神楽」が上平の人々によって山腹の拝殿にて伝承され、現在は里宮にある神楽殿で春季大祭に奏演されている。
その岩井堂山の麓、自在神社の神樂殿に向かった。
駐車場に車を停め、何百段あるのだろう、長い長い石階段を登ると、その背後に大きな岩を従えた自在神社の神樂殿が現れた。



参拝させていただいた後、北信州の大パノラマが360度見えるという虫倉山(むしくらやま)を目指し、長野市の手前から西に向かって走る国道19号を走り、大町街道に入って、さらに山道を北方面に向かった。
360度の大パノラマで知られる虫倉山
虫倉山は、長野県長野市の西側「中条地区」にあって、信州百名山の一つに数えられる。
山にはまず「日本百名山」があって、信州百名山なんて大したことない、虫倉山の標高だって1378m、周囲の山々に比べて随分低いじゃないか、と軽く思われがちだが、侮るなかれ。
この山は、眺望がすごいのだ。山頂からは360度のパノラマが広がっており、戸隠連峰や北アルプス、美ヶ原、さらには浅間山まで、長野県内の多くの山を眺めることができる。

私は登山はやめたので虫倉山へも車でのアクセスだが、道中に展望台やビューポイントがいくつもあって、景観を楽しみながらのドライブにもってこいの山でもある。
そんな展望台の代表格は、アルプス展望広場・夢の駅だ。

ここは、登山口から車で15分ほどの場所にある展望広場で、4月下旬から5月上旬ごろには菜の花が咲き乱れ、残雪の北アルプスとの景色はまさに圧巻。ゴールデンウィークだと、標高800mの青空をこいのぼりが泳ぐ光景がおまけについてくる。
ちなみにこの「こいのぼり」、端午の節句(こどもの日)のお約束であるが、ご存じのように子ども特に男の子の健やかな成長と立身出世を願う信仰に基づくものだ。鯉が激流を登って龍門をくぐり、龍になる「登竜門」の故事にちなんで、困難を乗り越えて立身出世する象徴とされてきたわけだ。
信仰と言えば、虫倉山にも山姥伝説に基づいて根付いた信仰がある。
虫倉山周辺の地域では、虫倉山に住む山姥(京から流れてきた由緒ある姫という説がある)を大姥(おおば)様と呼んで、信仰の対象としてきた。
昔話で山姥といえばたいていは怖い存在だが、虫倉山の大姥様は、川や池で溺れかかった子どもを助けてくれたり、日照りの時には雨乞いをしてくださったり。地元の人たちが信仰する心優しい山姥だという。「ぜひお目にかかってみたい」と、こいのぼりと素晴らしい山の景色を眺めながら、ついそんな気持ちになった。
信州むしくらの湯 やきもち家
「大西の棚田」「田沢沖の棚田」など、秋には黄金色に輝く絶景となる棚田も多く見られる、そんな日本の原風景のような景色が広がる中条地区で、「栃倉の棚田」からほど近い場所に、古民家を移築改修し営んでいるお宿「信州むしくらの湯 やきもち家」がある。

建物に入って、まず目を引くのは、大きな囲炉裏。

美味しいランチもいただける。

信州の郷土食といえば「おやき」だが、こちらでいただける「おやき」は、「西山」地域独特の、囲炉裏の灰で蒸し焼きにする「灰焼きおやき」だ。

宿泊はもちろん、日帰り入浴もできる。


立派な梁にかやぶき屋根、そして絶景を望む露天風呂。ここではほっと安らぐ時間をゆったりと過ごすことができる。
思いが伝わるロゴが印象的な道の駅
道の駅「中条」は、上信越自動車道の長野ICから県道31号線を西に20キロ、長野県北部の旧中条村(現長野市中条)にある。

道の駅の駐車場は狭くはないが、結構な台数の車が停まっていた。この道の駅、どうやら人気があるようだ。



トイレは、デザインもなかなかのもので、とても清潔に保たれている。素晴らしい。





休憩環境としても素晴らしいと思う。
特に、雨が降っていなければ是非とも屋外での休憩を楽しみたい。とても景色がいいし、空気が美味しいのだ。





冒頭のアイキャッチ画像は、実は道の駅「中条」のロゴマーク。
虫倉山、棚田、桜、菜の花、鹿など中条地域の里山風景で構成され、中条地域の豊かな自然環境や受け継がれてきた歴史、生産者や生産物があってこその道の駅という背景と、この美しい里山風景や営みを次世代に残していこうという想いを込めたデザインとなっている。


中条の特産物・梅、しそ、りんご、花などがいっぱい
そのロゴに案内されるまま、直売所から見て回った。
中条地区産を中心に、新鮮な野菜や果物、そして美しい花に溢れている。









物産館でも、「中条の宝コーナー」を設けて、中条地区ならではの商品を全面に打ち出している。コーナーでは「蜂蜜入り梅ジュース」「しそジュース」「りんごジュース」が特に目についた。







「野沢菜としその実ご飯」「しょうがご飯」「きのこご飯」「みょうがときゅうりご飯」「たけのこご飯」など、多彩な混ぜご飯の素シリーズはとても美味しそう。
中条の郷土料理の「おぶっこ麺」、そして道の駅オリジナル限定商品としては「きゃらぶきの浅炊き」「わさび海苔」「野沢菜七味味噌」「青唐辛子味噌」など。
もちろん「おやき」「笹おやき」、信州フルーツワイン、「信州そば饅頭」「信州笹団子」「信州そば串団子」等の長野名物も販売されている。



レストランは「食事処まめったい」。
中条地区の郷土料理「おぶっこ」は、 味噌ベースの汁の中に「おぶっこ麺」と呼ばれる平打ちの麺、大根、人参、高野豆腐、ネギ、竹輪、 牛肉を入れて煮込んだもの。信州産鶏を用いた「山賊焼」「信州豚軟骨煮丼」「三元豚の豚丼」「ソースかつ丼」「親子丼」「味噌ラーメン」「醤油ラーメン」「サバ味噌煮定食」「トンカツ定食」などいろいろなメニューがあるが、総じて価格はリーズナブルに感じた。