
八ヶ岳南麓を含む北杜市は、標高400mから1,900mの高低差を活かした多彩な紅葉景観が10月中旬から11月上旬にかけて長期間堪能できるが、その紅葉は「渓谷美」「高原の大パノラマ」「湖面への映り込み」という3つの異なる紅葉タイプに大別される。
具体的には八ヶ岳南麓、そして茅ヶ岳、南アルプスの3つに大別され、それぞれ異なる地形的特徴により色づきのタイミングが変化するということだ。
そのすべてを欲張って無理をすると楽しむことを忘れてしまいそうなので、今日は道の駅「きよさと」から出発して、八ヶ岳連峰麓に絞って紅葉狩りをしていくことにした。
八ヶ岳連峰の山々の標高はもっと高いが、紅葉に関しては森林限界の高さ以下、標高約1,900mの清里テラスから実際は始まっていく。10月中旬には高原エリアでカラマツが黄金色に染まり始め、10月下旬になると中間標高の八ヶ岳高原大橋周辺でモミジとカエデが見頃を迎える。
そして11月初旬には川俣川渓谷の吐竜の滝やみずがき湖周辺で最も美しい紅葉が楽しめ、鏡面効果による湖面への映り込みそして最後は標高約400mの渓谷部まで、高度差による時間差で段階的に色づきが進行していく。
時期的にもベスト、天候にも恵まれて、その様子は実に素晴らしいものだった。

東沢大橋と八ヶ岳高原大橋の橋梁紅葉
道の駅を出て、まず向かったのは、川俣川渓谷にかかる2つのアーチ。
赤いアーチが美しい東沢大橋と、黄色いデザインの八ヶ岳高原大橋は、それぞれ異なる個性で紅葉との調和を演出する人気スポットとなっている。
ドライブルートとしても魅力的で、八ヶ岳高原ライン沿いの移動中に両方の橋を効率よく巡ることができる。橋梁と渓谷美が融合した景観は、他になかなかない、特別な紅葉景観だと思う。


八ケ岳大橋から八ケ岳連峰がこれほどしっかり見られるとは予想外。いくつものピークが実に綺麗に見えて素晴らしかった。
まず、八ケ岳大橋からの景色を堪能
いったん駐車場に車を停め、八ケ岳大橋を歩いてみた。

高所恐怖症だが、思い切って橋から見下ろすと、断崖の紅葉がすごい!渓谷を流れる川の名前は川俣川だ。


吐竜の滝と川俣川渓谷の幻想的な紅葉美

次に目指す「吐竜(とりゅう)の滝」は、八ケ岳高原大橋の周辺にある。
この滝は、絹糸のような細い流れが岩間から優雅に落ちて紅葉と見事なコントラストを成す名所。
渓谷の方へ下って森林の中を歩くが、駐車場から徒歩15分の散策路はよく整備されていてとても歩きやすい。
また、川俣川渓谷全体では東沢大橋への遊歩道も魅力的で、渓谷美と橋梁の組み合わせた絶景が堪能できる。ただし途中、通行止め区間があるので、そこは清泉寮側のルートへ迂回する。







このあたりの紅葉は、黄色、オレンジ、赤色、そしてわずかに緑がミックスされて、非常に美しい。
木々を見上げながら歩くと危ないので、相当ゆっくり歩いたが、吐竜(とりゅう)の滝が見えてきた。






駐車場位から歩いて10分で行ける道を20分かけて歩いて、吐竜の滝の正面に到着した。
滝壺近くでは午前中の順光が絹糸のような水流と周囲のカエデやモミジを美しく照らしていて、とても綺麗だった。
清里の絶景紅葉写真の鉄板スポット東大沢橋へ
渓谷の駐車場から上がって、整備されたロードをしばらく走って、東大沢橋傍の駐車場に到着。吐竜の滝からわずか10分だ。
ここは清里の絶景紅葉の写真によく使われているスポットで、美しい紅葉の山肌、八ヶ岳連峰、そして赤い橋が織りなす景観は、実に素晴らしい。

右側のピークが八ヶ岳連峰最高峰の赤岳。
橋を赤色にしたのは周囲とのコラボの景観も考えての事なのか、それとも「赤岳」に因んだのか。
赤い橋、オレンジ色の紅葉、そして美しいフォルムが連続する八ヶ岳連峰。感動的な景色だ。

とができ、展望台からの撮影では橋梁と自然の融合美を楽しめる。
清里テラスから望む八ヶ岳と秩父連山
次の目的地は、清里テラス。八ヶ岳連峰に近づきながら、どんどん登っていく。

清里テラスの駐車場に到着すると、ここからも八ヶ岳連峰の一部が見えている。

標高1,900mの清里テラスへは、この駐車場からパノラマリフトで約10分の空中散歩を楽しみながらアクセスする。


テラスからは、八ヶ岳連峰と南アルプスの山々、そして晴天時には遠く富士山まで望める。

秩父連山と、美しい紅葉のパノラマが広がる。


秩父連山の一番高いピークは金峰山だ。

みずがき湖の水面に映る鏡面紅葉の魅力
今日の紅葉狩りドライブの最後の目的地は、「みずがき湖」。
塩川ダムによって生まれたみずがき湖は、人工湖でありながら自然と見事に調和した美しい景観を誇ります。風がやむと湖面に山々と紅葉が映り込み、その対称美は神秘的な光景となります。
白いアーチ型の鹿鳴峡大橋との組み合わせが絶景フレームを演出し、湖畔からの撮影では橋と紅葉の両方を構図に収められます。静寂な時間帯に現れる特別な光景は、写真愛好家にとって格別の撮影スポットでしょう。

道の駅「南きよさと」
今日の旅の拠点とした道の駅「南きよさと」は、中央高速自動車道の長坂ICから県道32号線→国道141号線を通って北東に7km、 山梨県北西部の旧高根町(現北杜市高根町)にある。
旧町名の高根町と聞いても、現市名の北杜市と聞いても、多くの人はピンとこないだろう。
しかし「旧清里村」と聞けば、昔も今も変わらない日本有数の避暑地&観光スポットとしてその名を聞いたことはあるのではないだろうか。そしてその名が、清泉寮、萌木の村、清里テラス、吐竜の滝、絵本ミュージアムにオルゴール博物館といった、いろんな名所と結びつく人も多いと思われる。

ここは、こいのぼり号、ドッグラン、花の森公園など、色々と特徴のある道の駅だが、山麓エリアと山頂エリアがあって、両エリアをリフトカー「こいのぼり号」が繋いでいるというのが最大の特徴だ。



一見、小さな道の駅に見えるのだが、実はかなり大きく、施設も多彩で、楽しみの多い道の駅になっている。どちらのエリアにもトイレはちゃんとある。


道の駅「山麓エリア」
山麓エリアには物産館、農作物直売所、レストラン、ドッグラン、そして水鳥と鯉がとても元気な池がある。




農作物直売所の野菜や果物は、品添えもしっかりしていて、どれも美味しそうだ。




物産館では北杜市、および「シャインマスコット玉ゼリー」「金精軒の信玄餅」「ほうとう」など、山梨県の特産品を販売している。
北杜市の特産品を探してみると、市内の温泉施設「尾白の湯」の源泉を煮詰めて製塩した山塩を使った商品が展開されていて、「山塩たんたん」「山脈塩たんめん」「山塩プリン」「塩あん福餅」「塩饅頭」「山塩ポテト」「山塩ご飯のタレ」等が販売されていた。
道の駅の北方面にある「八ヶ岳」を冠した商品も、「八ヶ岳牛乳ケーキ」「八ヶ岳ミルクサブレ」「八ヶ岳焦がしバター」等、酪農製品を中心に多数ある。

物産館の入り口付近は軽食スタンドになっている。
ここでは八ヶ岳産のそば粉を使用し、日本名水百選の八ヶ岳南麓恵水で仕上げた八ヶ岳の新名物「そば皮おやき」が美味しそうだった。おやきの中には信州名物の野沢菜がたっぷり入っていて、小腹を満たすのにはちょうどいいだろう。

山麓エリアにあるレストランは、愛犬と共に食事を味わうことができるレストラン「八ヶ岳なんろく食堂」。 ここでは愛犬専用の料理も提供されており、犬と一緒に楽しく食事を味わうことができる。




(人間用の)人気メニューは「八ヶ岳南麓サラダ」が人気。
八ヶ岳で採れたロメインレタスを使ったサラダで、Sサイズ2~3人前と、Lサイズ3~4人前とがある。
カレーも名物で、「キーマカレー」「ほうれん草カレー」「合い盛りカレー」などが人気。パスタ類も、「ボロネーゼ」「リガトーニアラビアータ」「ベネチア漁師風イカ墨ソース」 「博多の明太を使ったクリームパスタ」など、いろいろある。
道の駅「山頂エリア」
さて、道の駅の山頂エリアは公園になっていて、「南八ヶ岳 花の森公園」という名が付けられている。
山頂エリアまでは、リフトカー「こいのぼり号(往復500円)」が連絡している。




歩いて登る遊歩道もあるにはあるが、「こいのぼり号」で行き来する人がほとんど。ということで、山頂エリアは入園無料になっていてはいても、実質上は入園料500円の有料施設ということになる。


山頂エリアに着くと、花、花、花の美しい光景が飛び込んできた。
ここが「花の森公園」、この季節なりの、様々な花が咲き乱れていた。



山頂エリアにも売店があり、石窯で焼いたピザ(土日祝限定)、手作りおやき、うどんやそば、ソフトクリームなどを味わうことができる。



私はこちらの、飲食スペース?で、山菜そばをいただいた。

このエリアでは、さくらんぼ狩り、ブルーベリー狩り、夏野菜の収穫などの収穫体験や、石窯ピザ焼き作り、ほうとう作り、ハロウィンかぼちゃのカービング教室など、各種手作り体験もできるようだ。

そして、私的イチオシは、山頂エリアの展望台からの景色。
正面(西方面:写真上)に南アルプス連峰、右手(北方面:写真下)に八ヶ岳連峰の山々が見える。
