
浦臼といえば、ワイン用ブドウ畑の作付面積で全国トップクラスを誇る「鶴沼ワイナリー」だろう。

しかし、浦臼には、ハゲがもっとひどくなるのかマシになる効能があるのかは知らないが、とても気になる温泉がある。
それは、鶴沼公園を一望できる道の駅つるはげ、もとい「つるぬま」を兼ねた、髪薄、もとい「浦臼温泉」だ。
札幌を北に向かって国道275号線が走っている。札幌市内中心部から雁来大橋を渡って、当別町、月形町を抜けたところが「浦臼町」。札幌駅からの走行距離は65km。ちょうど札幌と旭川の中間点である。




浦臼温泉は、北海道中西部の樺戸郡浦臼町、国道275号線沿いの鶴沼公園に隣接している。
道路の向かいは「食の駅」。
温泉に入らないなら、こちらに車を停めれば、いろいろ楽しめる。
龍馬の遺志を継いだ浦臼町の開拓
面積101.83㎢で樺戸連山と雄大な石狩川に挟まれた浦臼町は、いくつもの川や沼が点在するほぼ平坦な地形で、冬には降雪量は8m~9mに達するものの、冬を越せば北海道にしては高温適雨で農業に最適な環境となる。
そんな浦臼町の歴史は、明治20年(1887)、樺戸集治監の因人によって月形から浦臼、新十津川、雨竜を経て日本海に抜ける増毛街道の開拓から始まった。
明治24年(1891年)青木六蔵が、樺戸川駅逓取扱い人として来住。次いで友成士寿太郎が入植。さらに武市安哉、岩村八作、北越殖民社などが続いて集落が形成されていくが、坂本龍馬の意思を継いだ甥の坂本直寛もその一員だった。
倒幕を目指していた坂本龍馬は幕府崩壊の後に、武士を蝦夷地へ連れて行って、開拓と北方警備を担わせるという構想を持っていた。
龍馬の構想は生きているうちに叶わなかったが、彼の遺志を甥の坂本直寛が継いだのだ。
明治30年(1897年)、土佐(高知)で設立した入植者団体の「北光社」を率いて北見市で開拓を推し進めていた直寛は、翌明治31年(1898年)、武市半平太の親戚で盟友だった武市安哉の急死を受けて、武市が行っていた聖園農場の経営を引き継ぐため、一家と共に浦臼へ移住。以後、浦臼の開拓とキリスト教の伝道にその生涯を捧げた。直寛の兄で龍馬の養子となった坂本直が病死した後、妻・留と長男の坂本直衛の二人も浦臼に移住し、直寛と共に浦臼町の発展に尽力したという。
こうした経緯で、浦臼町には「坂本龍馬家の墓」の墓が建てられ、坂本家ゆかりの品々は浦臼町郷土史料館に収蔵され展示されている。
ちなみに帯広の銘菓「六花亭」の包装紙は、坂本直寛の孫で、坂本本家の8代目当主の坂本直行が描いたものだ。
こうして浦臼は明治32年(1899)に月形より分村。
以来、開町から126年の歴史を刻んでいる。
まっこと通好みの浦臼温泉ぜよ
開湯は平成2年(1990)。
浴室や客室からは鶴沼が一望でき、春は桜、夏はツツジ、秋は紅葉、冬は葉が落ちハゲる代わりに雪景色。四季折々に様々な表情が眺められ、温泉からの素晴らしい景観を誇っている。
浦臼町温泉保養センターでは日帰り入浴も可能。浴場内には…内湯、ジャグジー、サウナ、水風呂…。施設規模は小さく、浴場も比較的コンパクトだが、所謂通好み。
地元の方はもちろん、比較的通な観光客はここを見逃さない。
開業して35年、建物は改装されているため外観・館内ともに古さをあまり感じないし、館内設備は清潔に維持・管理されている。
しかし浦臼町は、念には念を入れ、老朽化している温泉保養センターについて改修か改築のどちらかを2025年度内に判断するという。12月まで実施する劣化度調査で躯体の状態を把握し、結果を基に整備方針を決めるそうだ。いずれにしても2029年度の着工を目指しているということで、この貴重な温泉の継続については心配ないようだ。
ハゲに効くかどうかは不明だが
毎分550リットルの自噴泉は、ほぼ無色透明だが硫黄臭があり白い湯花が浮かぶ。温泉の泉質はカルシウム・ナトリウムー塩化物強塩泉(弱アルカリ性高張性低温泉)。
地下水で割らなければ塩分が強すぎるほどナトリウム分の濃い泉質だ。
この濃い源泉を汲み上げた地下水で希釈するのだが、この地下水が飲みやすくて美味しいと評判。
脱衣所に地下水の蛇口が設置されていて、この地下水目当てでやって来る常連も多いという。
温泉の効能は神経痛、筋肉痛、関節痛、打ち身、冷え性、疲労回復、健康増進、火傷、切り傷、皮膚病、虚弱児童、慢性消化器病、便秘、慢性婦人病など。
カルシウム・ナトリウムー塩化物強塩泉の刺激はハゲに効きそうだが、毛が生えてきたというエビデンスはないようだ。
浦臼温泉に入って

玄関を入って左側にフロント受付があり、入浴券券売機がある。料金は450円と格安。


受付のスタッフは道の駅売店の仕事も兼ねているので、受付は無人の時間帯が多いようだ。入浴券入れの箱があるので、券をそこに入れて中へ。

主浴槽のほかに、ジャグジー、水風呂、そして、サウナもあって450円。
なんの文句があろうか。

しかも、窓の外には鶴沼が広がる。
お湯の色がエメラルドグリーンに見えるが、実際は、ほぼ無色透明。

営業していなかったが、鶴沼を眺めながら食事のできるレストランがあって。

営業していなくても、座るのは自由。
そこから、ゆっくり鶴沼の紅葉が楽しめる。

自販機コーナーあり

マッサージチェアあり

休憩用の大広間あり

一角にお茶の無料サービスコーナーがあって、これで450円とは本当に最高だ。

文句のつけようがないのだが。
ただ、浦臼町イメージキャラクターらしい「臼子ねぇさん」はかなり気持ち悪い。

臼の体?顔?に、ぶどうとワイン、♪永遠の32歳よ~♪って、チコちゃんのパクリだが完全に滑っているw

道の駅「つるぬま」


農業に適した気候に恵まれて、米・ワイン・ぼたんそば・メロン・ジャガイモ・牛肉・ミニトマトなどが作られ、浦臼町の特産品となっている。


そんな中で異彩を放つのが『キングオブフルーツ』とも呼ばれるマンゴーだ。
浦臼町にある「神内ファーム21」で育てられた正真正銘の北海道産で、「アップルマンゴー」という品種らしい。


食の駅には3店舗
温泉施設の、道を挟んで向かいにも非常に広い駐車場がある。


トイレも立派なもの。



休憩環境としては申し分ない。


食の駅には、あげいもなどを売っている出店のほかに、3店舗がある。
まず、幻のそばと呼ばれる「ぼたんそば」が食べられる「ぼたん亭」。

おやきや浦臼ラーメンが購入できる「甘い蔵」、そしてにんじんソフトやにんじんジュースを販売している「にんじん家族」。

3店舗と、多いわけではないが、どの店で何を食べるか大いに迷う魅力を各店舗が放っている。