
恵山(617.6m)は、気象庁による常時観測対象の活火山である。
函館市街地から東へ約40㎞、渡島半島の東南端の太平洋に突き出た位置に、津軽海峡をその眼下に置いて聳え立つ。
二重式火山の火口原「恵山溶岩ドーム」西麓の爆裂火口では現在も盛んに噴気活動が続いているが、標高330mまでの賽の河原駐車場までは車で進入することが可能で、賽の河原と呼ばれる火口原や恵山展望台、岬展望台まで散策はできる。
賽の河原駐車場を起点にそれより先に登山をする場合はプラス徒歩1時間だが、入山にあたっては最新の火山情報のチェックが必要だ。活火山なので、常にモクモクと白い煙があがっており、 なんちゃって登山しかできない私などはそんな先まで行かずとも、ここで十分である(笑)。
恵山という名称の由来は、アイヌ語の「イエサンヌプリ」(溶岩が噴き出している山の意)、または「エ」(頭)と「サン」(前に出る)で、つまり岬を意味するなど諸説あるが、この煙混じりの景色を見る限り、前者であろうと思う(笑)。
現在も活発に噴気を上げて
恵山は、今から4万年~5万年前に海向山(かいこうざん)、椴山(とどやま)が誕生したのを契機に、2万年~2万5000年前の間に外輪山、8000年~1万年前の間に恵山溶岩ドームが誕生し、それらが複合した活火山となっている。
約8000年前の噴火で大規模な火砕流が発生して山麓に台地が作られるとともに、恵山溶岩ドームが形成された。この後、5000年前、3000年前、2500年前、600年前にも火山活動が起こっている。2500年前の噴火では、恵山溶岩ドームの山体崩壊により、岩屑なだれが発生した。
最近では、1846年に水蒸気噴火が起こっているが、この噴火では泥流が発生し、多数の死者が出ている。1874年にも水蒸気噴火が起こり、火砕物が降った。
その後、噴火は起こっていないが、恵山溶岩ドームの西麓の爆裂火口では、現在も噴気活動が続いている。
栄養分の少ない火山灰、津軽海峡で発生する霧の影響による日照不足などの厳しい環境から、標高が低いのにもかかわらず、2000m級の山でしか見られないような高山植物が60種以上繁茂しているのが特徴の一つで、特にエゾヤマツツジ、サラサドウダンなどのツツジ類は有名で、5月下旬から6月上旬の開花の時期には、山肌が赤く染まるので、また、その時期にも来てみたい。

高田屋嘉兵衛安置の十一面観音菩薩像
恵山は対岸の「恐山」と並んで、江戸時代から霊山として崇められていたが、それは恵山岬の沖が船乗りたちにとっては畏怖の場所でもあったことにもよる。
実は賽の河原には、箱館を拠点に北方交易で活躍した豪商・高田屋嘉兵衛(たかだやかへえ)が寄進したという十一面観音菩薩像が残されている。
高田屋嘉兵衛が開いた北方の交易ルートは、かつて箱館と表記した函館を出て、恵山岬の南を通って、襟裳、釧路、根室、さらには国後や択捉へと通じていた。
そのルートを、彼の持ち船の「貞宝丸」(1200石積み・16人乗り)が箱館から択捉・幌泉に向けて航行中、難所である恵山・水無沖で時化にあって難破、9人が亡くなるという海難事故が発生した。彼らの死を悼んで、嘉兵衛は1809(文化6)年1月、台座に「海上安全」、「高田船中」と刻んだ石仏を賽の河原に奉納して航海の安全を祈願したのである。
遠目に見る秋の恵山と恵山岬は穏やかだったが
私が訪れた恵山岬は、幸いにもとても穏やかだった。
近づいた時には噴煙を確認したのだが、遠目には噴煙も見えず、信じられないほど穏やかだった。
しかし、海に冬に荒れるとそれは恐ろしいことなのだろう、そしてひとたび噴火すれば、地獄絵図と化すのだろうと。














道の駅「なとわ・えさん」
「なとわ」とは、道南地方の方言で「あなたとわたし」という意味だそうな。
広域的観光ルートの拠点づくりとして国道278号沿いの海浜公園に建設された道の駅「なとわ・えさん」は、さしずめ「あなたとわたしの恵山」ということになる。
津軽海峡と恵山を一望できる最高のロケーションの海浜公園内にあって、地域の特産品の昆布製品を豊富に取り揃えた道の駅となっている。





駐車場は、そんなに広くないが、車も少ないので問題なさそうだ。


トイレはとてもコンパクト。


休憩環境としての目玉、展望デッキはまだ工事中だった。


事業者を一新、リニューアルオープン
物産館のテナントは、事業者の撤退によって昨年12月に閉店していたが、今季は函館で人気キッチンカーを運営する会社「セキュリスト」が新しい事業者となり、リニューアルされて再オープンした。
地元の名産品を揃えたショップと食堂が春に新装され、7月中旬にカフェもオープンした。ショップとカフェは「てつまる」という店名に変わったみたいだ。





ショップは、なんといっても地元名産の昆布類の品揃えが豊富である。
今後はジンギスカンや焼き鳥などを冷凍で販売する予定もあり、キャンプのバーベキューを手軽に楽しめるようになるという。
そう、ここは津軽海峡を一望する海沿いのキャンプ場として人気があるのだ。
カフェの「こんぶソフトクリーム」がパワーアップ
カフェはスイーツ中心の展開。
商品名を聞いて一瞬引きかけてしまうが、道の駅の名物の昆布を使った「こんぶソフトクリーム」が意外な人気商品。ツブツブとした昆布の食感が好評で、ヘルシーで美味しいのだと。
この商品がさらにパワーアップしたのが「プレミアムがごめ昆布ソフトだ。
昆布を溶け込ませたソフトクリームの上に、さらに粗びきのがごめ昆布をトッピング。しょっぱさと昆布のダシが、想像以上にミルクと相性が良いと人気だ。



飲食店もあり、店の名前は「ふわふわ亭」という。
畳敷の飲食スペースもある。


「わらしゃらんど」というファミリー向け屋内スペースがあって、ここには幼児向け遊具が設置されている。

