温泉成分が湯船の淵に堆積してエライことになっている「柿木温泉」へ。道の駅「かきのきむら」から(トイレ○仮眠◎休憩◎景観○食事○設備△立地○)

清流・高津川や豊かな緑に恵まれた島根県の西の端っこ吉賀町柿木村は、美しい自然と、有機栽培など自然農法が盛んなことで密かに知られている。

この村にある「柿木温泉」は、隣住民だけでなく遠方からもディープな温泉ファンが訪れる湯治場で、「はとのゆ」は気軽に使える日帰り温泉として嬉しい存在だ。

泉質は二酸化炭素ガスを1124.2mg/kg含む炭酸泉で、オレンジ色と柿色の中間のような色をした濁り湯。源泉温度30.6度の源泉を注ぎながら湯船の中で加温しているが、温泉成分が湯船の淵に堆積して、冒頭写真のようにエライことになっていた(笑)。

あまり知られていないかもしれないが、島根県は約60ヶ所に温泉が湧いている温泉の宝庫。しかも、玉造温泉、温泉津温泉、松江しんじ湖温泉など、泉質の良い温泉が多い。

柿木温泉はかつて弘法大師を祀る寺の住職が温泉を掘り当てたことから「弘法の湯」と呼ばれ、薬効が高いことから遠方からも湯治客が訪れていたが、現在は柿木温泉を楽しめるのはこの「はとの湯荘」だけとなっている。

柿木温泉「はとの湯」

立派な建物に入って受付でお金が払ってから、姫湯の奥、殿湯の暖簾をくぐって温泉へ。

脱衣場は広々と清潔。

洗面台の周りも綺麗に整えられていて、清潔感がある。従業員の方の清掃のおかげ、そしてマナーのいいお客さんが多いということだろう。

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インパクト強烈な浴室へ

茶褐色の鉄分をたっぷり含んだお湯は久しぶりだ。

柿色の温泉が浴槽からあふれ出ている。

足を入れると、あっという間に足先が見えなくなった。こ、濃い!

正面の岩の間から源泉が出ている。循環ろ過も行っておらず、100%の源泉が湯口から注がれている。

源泉は約30.7度なので、蒸気を利用して浴槽内で40度程度に加温しているとのこと。なので加水はしていない。

湯口の析出物もこってり。

出てきたばかりの源泉は無色透明でも、空気に触れると柿色に変わるという。

表面には油膜や白いポツポツしたものなどいろんな物が浮かんでいて、白いのはカルシウムだろうか。

とにかく温泉の濃さがうかがえる。

ちょっと舐めたがお味はエグミがあって金氣臭もしっかり感じられる。飲むものではないが、はっきり言って不味い!

浴槽のまわりの岩は析出物で鍾乳洞のようになっていた。

こうした温泉に慣れない人は、「気持ち悪い、不潔じゃないの?」と誤解するかもしれない。

洗い場はとても綺麗なので、逆に浴槽の鍾乳洞状態のインパクトが増しているw

道の駅「かきのきむら」

道の駅「かきのきむら」に南からアクセスする場合は、中国自動車道の六日市ICから国道187号線を北西に18km。北からアクセスする場合は山陰自動車道の須子ICから国道9号線→国道187号線を南に35km。どちらのインターからのアクセスでも、道中はほとんど山林の中。 過疎のイメージが強い島根県だが、その島根県内でも柿木村は特に人が少ない。

道の駅を訪れる客も少なく、コロナ禍前でも年間の利用客は4万人に達していなかった。 今も赤字経営が続いているらしく、吉賀町議会では毎年のように存続を心配する声が挙がっているらしい。

駐車場は、やはりガラガラ。

それでもトイレは清掃していただいていて、とてもありがたい。

休憩環境としては、私的には最高。

こういう長閑な景色を見ながら缶コーヒーを飲むのが、車旅中のドライバーにとって最高の小休憩だ。

有機農業にこだわる村

訪れる人は少なくても、柿木村は無農薬、有機農業にこだわり続けている村である。

道の駅で販売している農作物にはR1、R2、R3、V1、V2、V3のラベリングで、無農薬、有機農業をしっかりアピールしている。

まず「R」は米(rice)、「V」は野菜(vegetable)を表していている。

そして後ろに付く数字は「1」が2年以上農薬・化学肥料を不使用を。「2」が農薬・化学肥料不使用を。「3」が農薬・化学肥料を微量だけ使用していることを、それぞれ表している。

農作物が販売されている場所は物産館の中だが、 お米は物産館の入り口付近、農作物は物産館からレストランに向かう通路脇で販売されている。

お米は「柿木村の米」と「大井谷の棚田米」の2種類。

「柿木村の米」は2年以上、農薬と化学肥料を使わない水田で生育され、「R1」のラベルが貼られている柿木村自慢の品である。

野菜に関しては高原野菜を中心に、鮮度抜群のさまざまな野菜が並んでいた。

物産館では柿木味噌や高津川の鮎、わさびなど

道の駅では、旧柿木村、及び合併後の吉賀町の特産品を中心に特産品約80品目を販売している。
注目は「柿木味噌」。柿木村は無農薬、有機栽培にこだわりを持つ村だが、この「柿木味噌」も無農薬、有機栽培で育てられた地産の大豆を使用したものだ。

駅裏を流れるのは清流で知られる高津川。ここでとれる鮎を使った「高津川鮎飯の素」「高津川鮎の子うるか」なども人気商品となっている。

柿木村は梅とわさびの産地でもあり、「梅干し」「わさび焼酎」も美味しいと評判だ。

レストランは営業時間が短いが

「レストランごはん屋」は、11時開店14時閉店と営業時間が3時間だけ。一応、夜の営業(17時~21時)もあるらしいが、こちらは完全予約制。
道の駅の公式ホームページによると、麺類、定食、カレーなどを安価で味わうことができるとある。