
一度は見てみたかった「ばんえい競馬」を見に来た。
この日の朝、仮眠していた道の駅「ガーデンスパ十勝川温泉」にクマが現れて大騒ぎになった後、私は道の駅から「ウマ」を見に「ばんえい競馬」に向かったわけである。
本日のレースと出走馬を確かめると、「百姓貴族3rdシーズン記念」というレースに「スゴイ」という馬が出走するとわかった。
私はこの馬の名前にすっかりハマった。
調べてみたらこの馬は、2022年5月8日生まれ。牡の3 歳だが、戦績は特にスゴイわけではなかった。それでも、未勝利ではない。「ばんえい」で一勝し、これまでの生涯獲得賞金は114.2 万円だ。
「ばんえい競馬」では勝てば賞金はだいたい100万円ぐらい。中央競馬とは、賞金の規模が何桁も違う。
ただ、今日「スゴイ」に乗る?騎手は渡来心路。ばんえいで1025勝もしていて生涯獲得賞金は45,138.9 万円の凄腕だ。この人が騎手で勝てなければお前、あかんぞ、ということで、「スゴイ」の馬券を買った。
ちなみに、私は若い頃パチンコはしていたが、競馬も競輪も、その他ギャンブルはほとんどしない人間だが、今日は何十年かぶりで馬券というものを買って、気合を入れて「スゴイ」を応援した。
ばんえい競馬
「ばんえい競馬」は、帯広競馬場(ばんえい十勝)で開催している地方競馬だ。
最大1トンもの重い鉄ソリを体重1トン前後の「ばん馬」に引かせ、パワー・速さ・持久力を競い合うという、世界にも類を見ない過酷な?レースである。
かつて「ばん馬」は、北海道の開拓者が苦楽をともにし、彼らにとっては”家族”同然の存在だった。そして、開拓を支えた力強い北海道の馬たちの子孫が今、世界で唯一、ここ帯広でしか見られない『ばんえい競馬』の担い手として活躍している。北海道開拓時代に始まった農耕馬の力比べが、現代へと受け継がれ、今でも北海道遺産として人々に感動を与えているのである。


帯広競馬場には馬の資料館と、隣接して「とかちむら」がある。
「とかちむら」では、十勝のさまざまな「おいしさ」を味わえる。


直売所には、十勝の生産者から仕入れた新鮮な野菜や食材がずらり。デザートや豚丼などのご当地グルメの店舗が並んでいて、レースの合間合間に観客は「食の宝庫」を楽しめるようになっている。



ばんえい競馬では、重いソリを引きながら、馬たちが2か所の坂を含めた全長200mのコースを走る。そのばん馬の姿は迫力満点で目を離すことができないという。
しかし、私などは重いソリを引くのに疲れて立ち止まる馬が、シリを鞭でこれでもかとしばかれるのが気の毒で、目を背けるしかない。
スゴイは6着に終わった
さて、どこか長閑さを感じるパドックをまわり、「百姓貴族3rdシーズン記念」出走前の最終オッズで5番人気となった「スゴイ」。

いよいよスタートだ。

各馬スタートすると、たちまち砂煙が舞い上がる。
スゴイスゴイ、スゴイが、先頭を切って走っている。
いつも、スタートは良いのだとか。


最初の障害(坂)を越え、それでも先頭を走っている。
ところが、スゴイがスゴイのは、観客を沸かせる「必殺技」があること。
第二の障害の前で、怯んで立ち止まるというクセ、それが彼の必殺技だ。
学習能力が高いのか低いのか、鞭でしばき回されるのがわかっているはずなのに、1週間経つと忘れているのだろう、一つ目の障害はちゃんと超えるのだという。
そして、一つ目の障害でその大変さを思い出すと、もう一度は味わいたくなくなるらしいのだ。

この日も。
二つ目の障害(坂)の前で、先頭を走るスゴイは、やはりピタリと立ち止まった。
プロレスもそうだが、「必殺技」が出ると会場はわく。大爆笑である。
騎手が何発か、思いっきりシリをしばきあげるが、スゴイはスゴイ痛さを我慢して、なかなか動かない。
そのうちに、他の馬が次々に追い抜いていく。

流石にムチのあまりの痛さに耐えきれず動き出したが、時すでに遅し。
結果は6着だった。
前週は同じ展開で、3着だったらしい。
レースを終えたスゴイは、10数キロ南にある自分の家「ばんえい牧場十勝」に帰って、1週間骨休めをする。スゴイは、この1週間の間に、坂を登るあのしんどさを忘れてしまうのであろう。
「ばんえい牧場十勝」
この牧場ではたくさんの「ばん馬」を飼育していて、大きくて迫力のある馬たちを、競馬場よりより間近で見ることができる。
10万500平方メートルの広大な敷地に、1周400メートルの周回走路やパドック、見学用の馬房が点在。約100頭のばん馬が暮らす。
今年はここで生まれ育った12頭の新馬が、ばんえい十勝の能力検査に合格してレースに参戦している。
3つの牧場でばん馬たちを放牧していて、第1牧場では育成馬、第2牧場では繁殖馬、第3牧場では現役馬をそれぞれ繋養しており、ここでは馬たちは鞭でしばきあげられることもなく、のびのびと過ごしている。

ただし、第3牧場には練習場があって、ばんえい競馬本番と全く同様の障害が併設されており、ここで馬たちは練習させられはするので、1週間まるまる楽ができるわけではない。
道の駅にもクマが出現
私が仮眠していた道の駅「ガーデンスパ十勝川温泉」で食事をしていた女性がクマ1頭を目撃し、帯広署に通報。警察官が駆けつけて大騒ぎになった。
出現したのは、音更町十勝川温泉北14の道道帯広浦幌線で、この道の駅のすぐそばである。
クマは体長約1.2メートルで、道路上を池田方面から帯広方面へ走り去っていったという。人や周辺施設などに被害は確認されていない。町職員やハンターも出動し、周辺で警戒活動が始まった。
周辺の池田町千代田の同道道でも、前日の夕方、クマ1頭の目撃情報があり、両現場から近い音更町内の十勝エコロジーパークはキャンプ場を終日利用中止としたほか、園内の一部に立入禁止区域を設けている。
クマは、でかいのを知床峠近くで間近で見たし、これ以上人間たちの大騒ぎを見ていても面白くもなんともない。
私はウマを見に、ばんえい競馬へ向かった。
道の駅「ガーデンスパ十勝川温泉」
道の駅「ガーデンスパ十勝川温泉」は、十勝川温泉の中心地にある。



駐車場には未明に着いて、ほぼ他の車がいなかったのfで、数時間の仮眠をとらせていただいた。
トイレは綺麗で、よく手入れされていて、とても気持ちよく使わせていただいた。


休憩環境としては屋外、施設内ともに申し分ない。
もちろんまさか、クマが出るとはみんな思ってなくて、たまたま天気もあまりよくなかったので屋外休憩者があまりいなくてよかった。









北海道遺産であるモール温泉を、水着で満喫できるスパがあって。


十勝の美味しさを味わいつくす、4つのレストランがある。


クマを発見したのは、このレストランで食事していた女性だった。ちなみに、クマのように見えるがこのおじさんは人間である、念のため。




新鮮な農産物から、思いのこもった雑貨まで。
様々な商品でいっぱいの、おしゃれなマルシェもあって。



そして、十勝ならではの加工品づくりを体験できる工房まである。
たくさんの人が集い、にぎわう、十勝川温泉街の真新しいスパリゾートに、クマが現れたのだ。
いつも人を座らせてくれるイス、もとい、ウシのイスも目を丸くして、さぞびっくりしたことだろう。
