比較的気軽に年中食べられるベニズワイガニを食べに、道の駅「能生」へ(トイレ○仮眠△休憩◎景観○食事◎設備○立地○)

糸魚川市の能生は、ベニズワイガニの産地として有名だ。
新潟県のベニズワイガニ禁漁期間は1月から2月末。1月に入ると禁漁期間に入るため、年末に食べ損ねると翌年春までしばらく食べられない。
と言うことで、カニ大好きな私は、花見を兼ねて能生にやってきた。

ベニズワイガニのいいところは、「ズワイガニ」「タラバガニ」「毛ガニ」など高級食材とされているカニの中でも、比較的手軽に購入できることだ。回転寿司のネタやカニクリームコロッケなど加工品としても流通しているので、日常食べる機会が多い。

実は、紅ズワイガニとズワイガニは別の種類の生き物である。生息域も大きく異なり、ズワイガニの生息する水域が300~500mに対して、紅ズワイガニは800~2000mの深海のため、異なる漁法でそれぞれ水揚げされるのだ。

生物学上は紅ズワイガニもズワイガニもズワイガニ属なので見た目は似ているものの、味や値段、食べられる時期なども大きく異なる。

ベニズワイガニについて

紅ズワイガニは島根県~北海道までの日本海沖で漁獲されます。その中でも主な紅ズワイガニの産地は以下の3県です。

1位2位3位
鳥取県2,738トン北海道2,188トン新潟県2,088トン

引用:農林水産省ホームページ「海面漁業生産統計調査」

能生があるのは新潟県、トップ3に入っている。

ズワイガニは産地によって「松葉ガニ」「越前ガニ」「加能ガニ」など呼び方が異なるが、ベニズワイガニは、基本的に産地による呼び方の違いはない。一部例外として兵庫県の香住港で水揚げされるベニズワイガニだけは「香住ガニ」と呼ばれているが。

紅ズワイガニ表裏

紅ズワイガニの特徴

ベニズワイガニとズワイガニは似ているが、見分け方は簡単だ。

まず、カニの中にはタラバガニなど脚が8本のカニと10本のカニがいる。ベニズワイガニはズワイガニ属のカニなので、脚は10本。そして、その脚が太短い足の私と真逆、細く長いのが特徴だ。

紅ズワイガニとズワイガニの一番わかりやすい違いは「色」だ。もっともわかりやすいのは加熱前の状態で、ズワイガニは色が黄褐色なのに対して、紅ズワイガニは全身が加熱前から赤い。

加熱して初めてズワイガニも赤く変色するので見分けが難しくなりますが、紅ズワイガニは全身が赤いのに対し、ズワイガニのお腹の部分は加熱後も黄褐色のままなので、加熱後も腹を見ればわかると言うわけだ。

紅ズワイガニの気になる味は?

ベニズワイガニは比較的安価なので、味はどうかと言うのが気になるが、その味の特徴は、甘みがとても強いこと。食レポで言い古された言葉だが、ジューシーなのである。

様々な商品に加工されるように、いろいろなレシピに応用できるのが紅ズワイガニの魅力となっている。ただし、ベニズワイガニは水分が多いため、鮮度の落ちが早いという難点もある。鮮度が落ち、時間が経過すると黒変といって殻の色が黒く変色する。ベニズワイガニはカニみそも濃厚で絶品だが、鮮度が落ちて甲羅のみそが流れてしまっている場合は、味噌汁や鍋の出汁としては使用するなど、その特徴を知っていれば問題ない。

もちろん活や生の状態で流通している新鮮な物は、焼きガニやカニ鍋にすると最高だ。

ベニズワイガニの獲れる時期と旬

ベニズワイガニには、禁漁期間が定められている。禁漁期間は地域によって異なるが、それぞれの地域での禁漁機関は、2〜3ヶ月程度。驚くのは新潟県の禁漁期間は1月からの冬の時期だが、ベニズワイガニの水揚げ量日本一の鳥取県では、7月と8月が禁漁期間で9月~翌年6月までがベニズワイガニのシーズンと言うことになる。

いずれにしても他の種類のカニよりも禁漁期間が短いので比較的漁獲量も安定していて、加工品も含めると年中を通して楽しめるというのがベニズワイガニのいいところだ。

紅ズワイガニの旬

厳密に「旬」はいつかと言うと、一般的には11月~2月の間、新潟県の場合はこの期間は禁漁なので、春もしくは年末ということになるだろうか。

ベニズワイガニが生息するのは深海で、四季がないため味の違いはあまりないけれども、鮮度が落ちやすいため寒い冬の時期の方が鮮度が保たれて美味しく食べられるようだ。

ベニズワイガニの相場

ベニズワイガニの相場はズバリ一匹(一杯)1,000円~6,000円。ズワイガニ(松葉ガニ)の相場は1匹(一杯)12,000円~28,000円なので、まるで値段が違う。

ではベニズワイガニは、ズワイガニよりそんなに美味しくないものかというとそうではなく、この価格差は漁獲量の影響が大きい。もちろん足が太いズワイガニの方が食べ応えはあるし、少し美味しいことは事実だが(笑)

農林水産省が公表している2018年のズワイガニの全国漁獲量は4,165トンなのに対して、紅ズワイガニの漁獲量は14,093トンとズワイガニの約4倍。安定して漁獲されるため値段もズワイガニと比べて安く、安定しているのだ。

道の駅最大のカニ屋台が自慢の道の駅「能生」

さて、そのベニズワイガニがたらふく食べられる道の駅「能生」は、北陸自動車道の能生ICから県道88号線→国道8号線を通って北東に3km、 新潟県西部の旧能生町(現糸魚川市能生)にある。
道の駅周囲の景色はとても素晴らしい。

駐車場は、人気の道の駅だけに広くとってあり、平日にきた私は何の問題も感じなかったが、ひょっとすると週末は満車になるぐらいの大きさだ。知らんけど。

トイレをしっかり済ませて、今からカニを手で食べるから、手洗いをいつもより入念に。

館内、館外とも休憩環境としても申し分ない。

特に、海側の広場は散歩していて気持ちがいい。

道の駅「能生」には、物産館、4つのレストラン、カニ屋横丁、鮮魚センター、コンビニが揃っている。

しかし、なんといってもここは能生漁港に隣接した道の駅であり、漁港に水揚げされた新鮮な魚介類が道の駅の直売所に運ばれてくる。そして道の駅としては最大のカニ市場を有しており、漁船ごとに7つの店舗が軒を連ねて道の駅を盛り上げていて、多くの人がこの「かにや横丁」を目当てでやってくる。

「かにや横丁」と「カニかに館」

かにや横丁では、漁船ごとに出店。7つの店が競うように自慢のカニを販売している。


購入したカニは、道の駅構内にある「カニかに館」でその場で食べることができる。

この「カニかに館」は利用無料の施設で開放されていて、テーブルと手洗い場が常設されており、汚れを気にせず買ったカニを存分に味わうことができる。

もちろん、レストランではそれなりのものが食べられるが、それらはやはり割高。カニを食べることだけが目的の場合は、この「カニかに館」で腹が裂けるまで食べるのが、コスパ的には最強である。

鮮魚センター

カニ屋横丁の横には鮮魚センターがある。

ここには3つの魚の専門店が軒を並べている。

獲れたての旬の鮮魚はもちろん、寿し、焼き魚も販売。 浜焼きコーナーもあり、焼きたてのいか焼きや焼き魚を味わうこともできる。

レストランで獲れたて海鮮料理を味わおう

道の駅のレストランはとても充実している。

駅施設の1階に「リーフキッチン」と「ミルキーウェイ」、 2階に「味千汐路 番屋」と「海鮮丼・定食 凪(なぎ)」。合計4つのレストランが存在する。

「ミルキーウェイ」は一般的な料理も提供しているが、その他の3店舗はほぼ海鮮メニュー。 潔く、獲れたての日本海の幸一本で勝負している。

2階にある「味千汐路 番屋」と「海鮮丼・定食 凪」はどちらも本格的な海鮮料理を提供するレストランだ。

「味千汐路 番屋」では主にカニを使った料理を提供している。 「カニちらしセット」「刺身とカニ天ぷら定食」「カニづくしセット」が人気メニューになっている。
「海鮮丼・定食 凪」のメニューは、カニを含めた海鮮料理全般。 「本日の海鮮丼」「本日の地魚丼」が名物になっているようだ。 この2つのメニューは、ネタの組み合わせを希望できるというのをウリにしている。

1階の「リーフキッチン」は2階のレストランに比べるとちょっとだけ廉価な海鮮メニューが主体。もう一つの店「ミルキーウェイ」は、喫茶を兼ねた軽食堂だ。

物産館

物産館では海鮮系だけではなく、新潟県全般の特産品が販売されている。

「柿の種」は、今や全国区のお菓子だが発祥は新潟県だ。 様々なメーカーの柿の種が販売されている。 「笹串だんご」や「カニ味噌」も、色々な種類がある。「青さ味噌汁」「南蛮えび煎餅」「ホタルイカの煮物」も売れ筋商品だ。

そして、新潟といえば日本酒。定番の「雪中梅」「越乃寒梅」「加賀の井」「景虎」ほか、たくさんの地酒が販売されている。

越山丸の展示やマリーンミュージアムも

道の駅の海岸沿いは能生海洋公園と呼ばれ、様々な彫刻作品が置かれている。

東の方向には船が見えてくる。

この船は「越山丸」と呼ばれ、県立海洋高校の実習船として昭和55年まで使われていた。

現在は老朽化のため入船不可だが、以前は船の中に乗り込んで、実習生の部屋や調理場などを見学することができたようだ。

ここからもう少し歩くと、マリーンミュージアム海洋という施設がある。

道の駅 | 能生 | マリンミュージアム海洋

ここには、鯨の標本、漁の道具などが展示されているが、このマリーンミュージアム海洋は団体のみ入場可能で、前日までの予約制になっているので注意されたい。