
「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又です。帝釈天で産湯を使い、姓は車、名は寅次郎、人呼んでフーテンの寅と発します」
寅さんの実家は門前町の草団子屋で、ご存知柴又「帝釈天」のすぐそば(という設定)だ。
街を歩いて最初に見える仁王門をくぐって寺の境内には(冒頭写真)右手に立派な大鐘楼があり、その手前には寅さんが使った産湯「御神水」がある。
広島県庄原市東城町と神石郡神石高原町にまたがる国定公園・帝釈峡にある「石雲山永明寺」は、この「帝釈天」をご本尊として祀る由緒正しい真言宗醍醐派の寺院である。
和銅2年(709)に行基が開基、盛時には子院七坊を有して栄えた。

「帝釈天」は富と力をもたらすとして、 古くからこの地の武士や農民、商工業者に崇められ、「帝釈天」が中国山地の中央に位置する全長約18キロメートルの峡谷「帝釈峡」の名前の由来ともなっている。
「石雲山永明寺」の、安土桃山時代風の豪華な彫刻が施された本堂は豪華絢爛と聞いていたのでぜひ観たいと思ったのだが、現在は残念ながら寺の内部への立ち入りができなくなっている。

立ち入り禁止の理由は「危険」とのことだが、おそらく建物背後に迫る切り立った崖からの落石が危惧されるからではないだろうか。
しかし、外観の随所に、その彫刻の「片鱗」を垣間見ることはできた。




「帝釈峡遺跡群」へ

広島県庄原市東城町と神石郡神石高原町にまたがる国定公園・帝釈峡。
ここは、国の名勝に指定される比婆道後帝釈国定公園の主要な景勝地である。
帝釈峡の周辺一帯には、石灰岩台地が深く浸食されて形成された「カルスト台地」が広がっていて、長年の浸食によって多くの洞窟・岩陰が残されている。これら先史時代の人類遺跡が我が国の代表的な洞窟・岩陰遺跡群「帝釈峡遺跡群」と呼ばれているのである。
具体的には、広島県庄原市・神石高原町・府中市、岡山県新見市にまたがる広大な地域に、50か所以上の遺跡が分布している。
帝釈峡は北部の上帝釈エリアと、紺碧の湖面上に真紅の橋が印象的な神龍湖を中心とした神龍湖エリアに大きく分けられるが、特に上帝釈峡エリアの観光スポット「雄橋」は圧巻だ。

「雄橋」架けたのは神か、それとも鬼か
「雄橋」は、隆起と浸食作用によってできた長さ90メートル、幅19メートル、川底からの高さが40メートルもある。日本を代表するだけでなくアメリカのロックブリッジと肩を並べると言われるほど世界的評価が高い。
広島藩編纂の地誌『芸藩通志』には、雄橋を「神橋(こうのはし)」として紹介。元は鍾乳洞だったが、巨大な岩盤の下部が長い年月をかけて貫通してできたと考えられている。
人々は「この橋を架けたのは神様または鬼だ」と言いつつ、東城と西城・庄原方面を結ぶ街道として人通りも多く、馬や籠も通っていて、備後路を往来する人々が使用していた形跡が今でも残っている。

雄橋からさらに先に「断魚渓」がある。
ここは約3億年前に形成されたと言われる、帝釈峡で最も急流の川幅が狭い場所。太古の時代に海底火山の噴火でできた周辺で最も古い地層とされ、サンゴやウミユリなどの化石が多数発見されている。
「断魚渓」という名は、魚が遡上できないほど急流であることに由来する。
「神龍湖」エリアへ
人造湖とは思えない自然と調和した景観の「神龍湖(しんりゅうこ)」。

「神竜湖」は、帝釈峡の中央部に建設された発電専用ダム湖である。
「帝釈川ダム」は2006年にリニューアルされた11000キロワットの水力発電を行う発電用ダムで、周囲約24kmのダム湖の形が竜に似ていることから「神龍湖」と呼ばれている。
独特の色をした湖面の上には、紅葉橋・神龍橋・桜橋という赤い3つの橋がかかり、湖面に浮かぶ水鳥たちと共に美しい景観に華を添えている。

道の駅「遊YOUさろん東城」は比婆牛と地酒の里
帝釈峡への拠点とした道の駅「遊YOUさろん東城」は、帝釈峡から北東方面に8km。
中国自動車道の東城ICから国道182号線を南に200m、広島県北東部の旧東城町(現庄原市東城町)にある。
人口が少ない一方で、帝釈峡などの観光名所が多数あるのが旧東城町の特徴。
特に紅葉の季節は絶景となる場所が多いのだ。


駐車場は、十分な広さがあるし、通路に余裕があって、とても停めやすい。

トイレはかなり渋め。



館内にもあって、こちらの方が少し規模が大きい。


休憩環境としては館内、屋外ともにのんびりできる。


私は吸わないが、タバコを吸う方はこちらで。できればみんなの健康のためにやめましょう。

軽く食事をしながらの休憩も。


この道の駅には「比婆牛」と「地酒」の2枚看板がある。
共に150年以上の歴史を持つ旧東城町の伝統の品で、「比婆牛」も「地酒」は本駅の物産館で購入することができる。
東城の地酒と比婆牛は物産館で
東城町の逸品、東城の地酒も、比婆牛も、物産館で販売されている。
東城町内には3つの酒蔵が残っているが、本駅の物産館ではこれら酒蔵の「菊文明」「比婆」「超群」「ひば美人」といった人気の地酒自慢の酒を幅広く扱っている。
販売されているサイズも一升瓶からワンカップまであるので、とても選びやすい。


物産館では「比婆牛」も買うことができるが、帝釈峡など近隣の特産品も販売している。
帝釈峡地区の蕎麦を使った「栄養そば」や「秘伝ラーメン」、「しその実きくらげ」「わさびしぐれ」「ラムケーキ」「洋酒ケーキ」、庄原市、および広島県の特産品も多数。
お土産のお菓子も、庄原市に生存していると言われる謎の類人猿「ヒバゴン」をモチーフにした菓子「ヒバゴンのたまご」から広島県を代表する銘菓「もみじ饅頭」まで、各種ある。


地元客も多数訪れるこの道の駅では、農産物販売も充実している。









比婆牛はレストランでも
「比婆牛」は、 日本最古の「蔓牛」と言われている「岩倉蔓牛」を祖とするものだ。「曼牛」とはおおよそ「血統」を意味すると考えていい。 頭数自体がとても少なく、市場へ流通することは極めて稀な肉で、「ここにこなければ、ほぼ食べることができない」と言って過言ではないようだ。
肉質は「深いコク、上品な香り、豊かな風味、やわらかな舌触り、繊細な味わい」で文句のつけようがなく、無駄な脂肪が少ないので健康食としても注目を集める牛肉であるという。
比婆牛は「ヒレステーキ」と「ロースステーキ」の2つ種類の牛肉を提供していたステーキレストラン「雄橋(おんばし)」で味わうことができていたが、この店は残念ながら2023年11月から休業中。


その代わりと言っては失礼だが、「レストランもみじ」があって、ここで「石焼きステーキセット」を楽しむことができる。
予算に限りがある場合は比婆牛肉を使った「比婆牛丼」なら2,000円程度である。




このレストランでは850円の「鶏唐揚げ定食」から「ハンバーグ定食」「ロースとんかつ定食」「エビフライ定食」など予算に応じた幅広いレベルの食事を楽しむことができるので、店に入ってからメニューを見て注文するのも安心だ。 定食メニューのご飯は全て東城町産のコシヒカリを使っていて、美味しい。

「そば処 天咲(てんさく)」
少し離れた所にある「そば処 天咲」では、石臼挽き、打ち立ての蕎麦を味わうことができる。


人気メニューは「山かけそば」。「かけそば」や「にしんそば」などもあって、うどん派の人は「月見うどん」「きつねうどん」などを。 比婆牛肉入りの「広島牛そば/うどん」もあって、安価で少しだけ比婆牛肉を味わいたい方にはピッタリだ。