
緑豊かな中国山地に囲まれた斐伊川中流に佇んでいて、静けさの中、相当にひなびた趣がある温泉。
と、こうくれば、まさに私ごのみ。ストライクゾーンど真ん中である。
「出雲湯村温泉」は、完本として現存する唯一の風土記「出雲国風土記」にも「漆仁(しつに)の川辺の薬湯」として記されている歴史ある温泉地で、その場所はヤマタノオロチ伝説が残る斐伊川の中流。大自然に囲まれた山あいの秘湯として、地元の人々はもちろんのこと全国の温泉愛好家からも親しまれている。
泉質は「一たび湯浴みすればすなわち身体和らぎ、再びすすげばすなわち万病消える」と残されているとおり、神経痛・筋肉痛・関節痛・慢性消化器病・皮膚病・やけど・あせも・冷え性・疲労回復などに幅広い効能があるアルカリ性単純温泉だ。
とりわけ木の温かみを感じる浴舎が風情を増す「公衆浴場 元湯 漆仁の湯」は、 出雲国風土記にも“漆仁の川辺の薬湯”と書かれるほど歴史ある温泉。さらりとした、くせの無い良質の湯を加熱・冷却・循環等のない正真正銘の源泉100%かけ流しで堪能することができる。
内風呂・露天風呂・貸切露天風呂のほか、足湯もある。
この温泉に、大いに期待して行ってみた。
出雲湯村温泉 元湯 漆仁の湯
松江道三刀屋木次ICより車で15分。



案内板がしっかり出ているので、見逃さないようにして。橋を渡って右に曲がると、木造で古瓦を使った趣のある「漆仁の湯」が見える。
漆仁の湯は1300年の歴史を持つ、出雲湯村温泉の元湯を楽しめる公衆浴場なのだが、10台ほどは停められる駐車場があって、ありがたい。
加熱や加水など一切なしの温泉かけ流しで適温は稀

早速、「漆仁の湯」の建物の中へ。

入浴料は、大人450円。安い!
券売機で券を買って、番台さんに渡すと、奥にある浴場へ。

ちなみに、外には足湯もあって、200円で利用できる。
足湯からは、1300年以上変わらぬ奥出雲の風景をよりダイレクトに楽しめる。

こちらは家族風呂。通常の浴場の方は内湯と露天に分かれていて、内湯の広さは家族風呂の5倍ほど、露天風呂は家族風呂の2倍ほどある。


泉質はアルカリ単純泉、41.5℃で、温泉の効能は、切傷、火傷、湿疹、あせも、婦人病、ヒステリーなどとされる。100%源泉かけ流しで、加熱や加水など一切なし。それでいて適温の源泉というのは、とても珍しい。
この温泉のあたり一帯は岩盤で覆われていて、お湯は岩盤のすき間から湧いている。
ご主人曰く「湯の道がちゃんとあるから、ボーリング(大地に穴を開ける作業)はしない方がいい」ということで、極力人工的なことはされていないという。
この、類稀な条件には、温泉協会の副会長が「日本一!」と太鼓判を押されたそうだ。

温泉に入ってから、足湯横のベンチに座って一休みしながらブログを書いて。
11時02分に長崎の方角に向かって1分間の黙祷を捧げてから、光明寺、それから龍頭が滝に向かった。
光明寺
大竹山の中腹に位置する「光明寺」は、奈良時代から平安時代に創建された出雲三十三観音霊場第七番札所の古刹。春には桜、秋には紅葉の名所としても知られる。

1000年以上前に鋳造(ちゅうぞう)され、明慶元年(1942年)に光明寺に懸けられたと伝えられる「朝鮮鐘」は、国の重要文化財に指定された寺宝だ。

また、境内の観音堂には県下最大といわれる十一面観音像が安置されており、人々の信仰を集め続けている。

龍頭が滝
「龍頭が滝」は、「日本の滝百選」にも選ばれている中国地方随一の名瀑である。
約40mの落差がある大迫力の雄滝と、複数の流れで構成された約30mの雌滝があって、それぞれに異なる魅力を感じた。


滝に続く渓流沿いには樹齢400年以上の杉木立を楽しむことができる。
また、雄滝の裏には100畳ほどの洞窟があって、滝を裏側から眺めることができるため、別名「裏見の滝」とも呼ばれている。
ダム湖「さくらおろち湖」の畔にある道の駅「おろちの里」

「漆仁の湯」「光明寺」「龍頭が滝」へのアクセス拠点としたのは道の駅「おろちの里」。
松江自動車道の三刀屋木次ICから国道314号線を南東に19km。 鬱蒼とした森林の中、ダム湖の「さくらおろち湖」が見えてくると道の駅「おろちの里」に到着だ。

周りには民家が一つもない、別世界。
そして、道の駅からはさくらおろち湖を一望することができる。


駐車場は、施設規模なりの大きさ。


トイレは、しっかり清掃していただいていて、気持ちよく利用させていただいた。




休憩環境としては、混雑もなくゆっくりできるという意味で、とてもいいと思う。


道の駅の施設としては、物産館、農作物直売所。 いずれもやや小規模だ。
レストランは、平成7年3月末で営業を終えている。

物産館で販売されているのは、旧木次町(現雲南市木次町)名物の「醤油」「わさび」、そして「桜」を使った商品が中心だ。


「十穀米」は道の駅オリジナルの商品だそうで、 総菜コーナーでは「仁多米の塩おにぎり」と「舞茸ごはん」が販売されていた。
物産館の一角に農作物直売所がある。



商品を提供している生産者は旧木次町、および旧吉田町の、15ほどの農家さん。品数はそんなに多くないが、とても美味しそうな野菜ばかりである。