
ラッセンよ〜り普通〜に〜、温泉が〜好〜き。
そんな私だって、どんな温泉でも、温泉ならいいと言うわけではない。
誰にだって、自分好みの温泉というものがあるだろう。
たとえば私の地元、兵庫県には「有馬温泉」「城崎温泉」という絶対的な存在がある。
どちらもクオリティが非常に高いので、冬はカニもあるので城崎へ、夏場はさっと行き帰りできる有馬温泉へ、みたいな棲み分けをできたらそれに越したことはないのだが、どちらも人気がありすぎて。
混雑しているし、値段もちょっと、いや相当、てか、ものすごくお高いし。
お高いということは、可処分所得が少ない私などは、この2大巨頭温泉には頻繁に脚を運ぶ気にはならない、というかなれないというか。正直言うと、「滅多に行けない」わけである。
しか〜し!
わが兵庫県と隣接する大阪府、京都府には、有馬、城崎ほどの絶対的存在はないが、両府の府境に近接していくつかお安い温泉がある。
「湯の花温泉」「るり渓温泉」が京都府に、「能瀬温泉」は大阪府にあるのだが、それぞれ互いに車では1時間も離れていないし、日帰り入浴で利用した場合、3施設とも1000円前後と実にお手頃なのだ。
50円100円の違いだが、これら3つの温泉は、温泉は温泉でも、全く異なる特徴を持っていて、その値打ちや満足度は、そこに行く目的や好みによってとんでもない違いを生じる。
この記事は、地域的に互いに近い3つの温泉を同じ日にハシゴして、同じ温泉でもいかに違うものかを実体験をもとに詳細にお伝えするものである。
自分にはどんな温泉がいいのか、参考にしていただければ失敗した甲斐がある。
「るり渓温泉」最悪の3つの理由
最初に断っておかねばならないことは、たとえば「最悪」とか「最高」とかいう評価は、あくまでも私の価値観に基づく、個人の感想である。
温泉に何を求めるかによって、他の人は同じ温泉に全く別の評価をする可能性があるのは当然だ。
例えば「るり渓温泉」は、私にとっては「最悪」だが、ファミリーで楽しみたい人には「最高」な場合があるというように。
私にとってさらに致命的だったことは、温泉地に一つだけ、どでかい施設があって。
つまり来てしまったら、しまった!と思っても他に選択肢がなかったことだ。

京都市内や大阪からも車で1時間ほどのアクセスで、かなり昔ではあるが「満足した」記憶があったので、何らの下調べもせずにやってきたのが失敗だった。
[京都るり渓温泉 for REST RESORT]は2025年4月に[レジャー&スパリゾート ASOBIYUKU 京都るり渓温泉](京都府南丹市)として大規模リニューアルして、私の記憶とは全く違う代物になっていた。
「るり渓」という地名から辺境の美などを妄想し、勝手に膨らんでいた期待は、駐車場の車の台数を見るだけで一気に萎んでしまった。


1「京都るり渓温泉」の進化の意味がわかんない
2025年4月、新たに「SPA AREA(るり湯)」と「RIVER SIDE(WOODMAN LOUNGE)」の2エリアが加わり、屋外レジャーエリアには「LEISURE AREA」のふわふわドーム・ネットアスレチックとPLAYING FIELDの2つの新パークが仲間入り。ますますファミリー層、そして温泉&ハイキングなどを楽しみたい大人世代が大満足のスポットに進化したというけれど。
私に言わせれば、こんなの退化でしかないね、退化!
私にゃこれらのすべてが必要ないし(笑)、私がかつて満足した、鄙びていた[京都るり渓温泉]の方がずっと良かった。第一、混み過ぎだよ混み過ぎ!私ゃゆっくりしたいんだよ。

2 新たなエリア登場!てか、全然必要ないんだけどw
施設を楽しむための攻略法として、まずは4つのエリアそれぞれの特徴をチェックしておくべしと言うけれど。
その4つのエリアとは、グランピング施設や今回リニューアルされた貸切風呂旅館など宿泊施設が並ぶ「GRAX AREA」、るり湯で癒され室内遊びやフードパークが楽しめる「SPA AREA」、ドリンク片手にボードゲームで遊べるプレイラウンジがあり今後VILLAが新設予定の「RIVER SIDE AREA」、そして、高原BBQやアスレチックなどレジャー要素が一挙に揃う「LEISURE AREA」の4つだ。

これらは、私にとってははっきり言って全て「無用の長物」。
エリアは、「温泉施設」一つでいいしw
3 しかも温泉&温泉プールはカップルやファミリーが芋の子を洗う

日帰り利用者として温泉に浸かれればいい私に関係があるのは「SPA AREA」だけ。
そして、そのメインとなるのは、天然温泉大浴場「るり湯」。
そこは、水着で入る温泉には露天風呂やサウナ、ジェットバスなど、私にとっては余計な温浴施設を展開しており、しかも混浴でファミリーやカップルで一緒に楽しめるのが嬉しいって、私はそういうの、まったく望んではいないし!
25m大型温水プールは、大きな窓から自然光が降り注ぎ開放感は満点!って、この施設紹介写真と違って、実際は「芋の子洗ってる状態」やん。
これが混浴の水着温泉だが。この写真みたいに空いてりゃまだマシだけど、行ってみたら私が入れるスペースなかったよ。
1人でゆったり寛げる陶器のつぼ湯は露天エリアにって、これも無人時に撮ったこの宣伝用写真とはまったく違って、人ばかりじゃん。
どの壺も待ち客がいて、全然空きそうにないしw
結局ここは巨大な温泉施設というより、キャンプ、グランピングなどを楽しむ、ファミリーユースの巨大なレジャー施設。
友人たち、家族、団体でキャンプなどを楽しみにくる人たちのために、温泉も用意しているだけだ。
だから、温泉でゆっくりしたいと思って来ても、落ち着いて湯に浸かってなどいられない。
土日などは芋の子を洗う、まさにその芋の子にならなくてはならない。
また、平日に行けば混雑は多少マシなのだろうが、風呂自体がスーパー銭湯の浴槽となんら変わりなく、風情も何もあったものではない。




「るり渓」という、辺境の美など期待していようものなら、その真逆のシステマチックな施設とのギャップは半端ないし。「普通に風呂に入るのに、私、なんで遠路はるばる「るり渓」くんだりまできたのだろう、と、意味不明を感じ、さぞ虚しい思いをすることだろう。
「湯の花温泉」はマルチユース
さて。
るり渓温泉でさんざんな思い?をしたあとは、来た道を戻って、湯の花温泉へと向かう。
湯の花温泉には、他に選択肢のないるり渓温泉と違って、何より複数の施設が存在する。
選択肢がない「恐怖」を味わった後だけに、比較検討した上で自分にぴったりの施設が探せる湯の山温泉は、それだけでもまだマシ、なんて思ってしまうが、「マシ」という言葉は失礼かもしれない。
何せここは、歴史も定評もある「京の奥座敷」なのだから。
目的がなんであれ、そこそこの満足をもたらしてくれる温泉街と思っていいだろう。
傷ついた戦国武将が入った湯
目的といえば、戦国時代、傷ついた武将たちが刀傷を癒しに訪れていたそうで。
今の湯の花温泉は、「戦国武将が湯治に訪れていた」という古文書に基づいて調査が行われ、源泉が再発見されたものだという。
泉質は単純弱放射能選泉(天然ラジウム温泉)だ。
湯の花温泉では食事を予約するとどのお宿も日帰り入浴可能だが、日帰り入浴だけを利用できる宿は【おもてなしの宿 渓山閣】と【京都 烟河】の2つだけと聞いて、先に「烟河」さんに行ってみると、2021年2月から日帰り入浴のみは中止しているとのこと。
なんだ、結局は日帰り入浴のみで利用できるのは渓山閣のみ、湯の花温泉もまた選択肢なしってことでつ(笑)。
おもてなしの宿「渓山閣」で日帰り入浴
「渓山閣」は、創業58年を迎えた老舗。2013年よりプロが選ぶ日本のホテル・旅館100選「料理部門」に連続入選しており、料理が自慢の旅館なのだが、日帰り入浴の場合料理は関係なし(笑)。




露天風呂(上)と、内湯(下)。
お風呂ではとてもゆっくりできた。


近くには『温泉スタンド』なるものがあって、家でも温泉が楽しめるって。
専用コイン(100円)で200㍑持ち帰ることができるというが、誰が200キロの湯を車に積んで持って帰るかね、タイヤがパンクするよ。
京都と大阪の府境を超えて能勢温泉へ
最後に訪れたのは、能勢温泉。
ここも温泉地に一つの施設しかないが、こちらはおひとり様が十分にゆっくりできる。
つまりはるり渓温泉の対極にあるのが能勢温泉だ。
温泉(風呂)の規模は大きくないが、露天風呂を含め、温泉としてのしつらえがとてもいい。
何より、圧倒的に空いている。
老夫婦がお湯、もとい水入らずで、あるいはおひとり様が、ゆっくりするのに最適だ。
大阪の北のてっぺん大阪府能勢町は晩秋が最高
能勢町の風物詩として知られるのは、11月頃になると窯から白い煙がたち昇る、炭焼きの風景だ。
クヌギの若木を材料に、約500年の伝統技術によって炭窯で焼いた炭が、「能勢菊炭」。切り口が菊の花のように見える木炭で、火力が強く香りもいいため茶の湯に最適とされ、茶道の所作のひとつである炭点前(すみてまえ)に使われる。
炭焼き農家はかつて40軒ほどあったが、今では数少なくなっている。
紅葉の盛りに立ち昇る白い煙の風情、11月に再訪したい。
菊の花ような美しい切り口であることから「菊炭」と呼ばれるようになった。
菊炭そっくりの能勢菊炭石けん。炭で洗浄し、配合された日本酒で保湿力を発揮するという。
菊炭や菊炭石けんは道の駅「能勢くりの郷」や「田尻農産」で購入できる。
能勢温泉は私のストライクゾーンど真ん中



「能勢温泉」は、里山ののどかな風景に囲まれた源泉100%の天然温泉の宿である。
さらりとした肌ざわりの天然ラジウム温泉で、心地よい風を受けながら湯に浸かれる庭園露天風呂が好評だ。


こちらが露天風呂。



こちらが内風呂。


内風呂のうち、小さいほうの浴槽は源泉。
加温していない、温水プール並みの温度なので、相当長湯しても大丈夫だ。
能勢温泉は、ちゃんとした旅館の日帰り入浴で、土日休日は1,100円。
安くはないが、泉質の良さと静けさに、私は大満足だ。
「るり渓温泉」→「湯の花温泉」→「能勢温泉」。
京都と大阪の府境を跨いで近接する3つの温泉をハシゴしたが、もし逆の順番で回っていたら、最悪な思いで家路についていたわけで。
せめて「最悪」→「普通」→「最高」と、尻上がりに満足できる順番で回って、本当によかった。