
はわい温泉は、鳥取県北部の旧羽合(はわい)町、東郷湖の西岸に湧出する温泉だ。
江戸時代、地元の人が鳥取藩主へ湖中の泉源利用を願い出て以降、地元の人に愛され続けてきた。
旧羽合(はわい)町は、かつて「日本のハワイ」としてマスコミに何度も取り上げられた町で、気候的には本場のハワイとは似ても似つかぬのに、ハワイ州と姉妹都市提携を行ったり、町内にヤシの木並木を作ったり、「日本のハワイ」としての町づくりを懸命に行っていた。
しかし、2004年10月に近隣町村と合併して湯梨浜町が発足。 合併時の約束事として旧町村名は住所に残さないことが決まっていたため、旧羽合町が推し進めてきた「日本のハワイ」づくりの意気込みはいったん挫かれてしまったようだ。
ええい、ややこしいな、私は「米国のハワイ」には40年前に一度行ったっきりだが、飛行機アレルギーを克服して決死の思いで行っただけに、あの「常夏」のインパクトは忘れない。
今回敢えて真夏を選んで「日本のハワイ」にきて思ったことは、名前が同じことで「寄せる」よりはむしろ米国ハワイにはないところを狙って観光地化した方がいいんじゃないか、ということだ。いい悪い別にして、気候がまるで違うし、冒頭の写真のような立派な西瓜も米国ハワイでは作りようがないのだから。
どうして「はわい」、ホワイ?
東郷町、泊村、羽合町とが合併して生まれた町が、鳥取県湯梨浜町。
そのうちの旧羽合町の地名が羽合と書いてはわいと読む。安易にハワイに寄せたくてはわいになったのではなく、もともと「はわい」。れっきとした地名だった。
ちなみに現在の湯梨浜町という名前は、湯(温泉)、梨(21世紀梨)、浜(海岸)の三文字を組み合わせたものだ。


硫酸塩泉の湯は東郷池の湖底から湧き出ていて、その多くは湖畔に浮かぶように、大小様々な旅館が立ち並んでいる。







「はわい温泉」では、昼間、35度を超える中で温泉に入る気が起こらなかったが、お腹が空いたので、「湖屋」というお洒落なカフェで、ピザを食べた。

値段は十分に高かったが、先日平尾さんに「世界一のナポリピザ」をご馳走になったその余韻が残っていて、その圧倒的クオリティには比べるまでもなく(笑)。
それでもトマトソース・ニンニク・辛サラミ・青唐辛子・モッツァレラの「旨辛のピッツァ」は、湯梨浜の食材を使ったオリジナルとしてよくできていると感じた。
お腹を満たした後、神社巡り

まず、東郷池北東の静かな山中にある一ノ宮「倭文(しとり)神社」へ。
「倭文」は「しずり」「しどり」「しとおり」とも読むらしいが、いずれも絹織物のことを指すという。織物の神「建葉槌命(たけはづちのみこと)」と「棚機姫命(たなばたひめのみこと)」を祀った神社である。
本殿は1818年に再建されたものだが、平安時代後期には伯耆国一宮だった由緒ある古社。大正時代には随神門右手の丘から高さ1.5m、直径15mの経塚が見つかり、そこから出土した埋葬品はすべてが国宝に指定されいる。
また、かつては女性の下照姫を主祭神としていたことから、安産の神や女性の守り神としても信仰されており、美しかった下照姫にあやかって女性が当社を参拝すると幸せが訪れるともされているようだ。
木立に囲まれた神社は、猛暑の中で気温が一段低く、雰囲気はとっても厳かだった。

ここからすぐの場所、東郷池のほとりに「宮戸弁天」という巨岩と木々に囲まれた神社がある。
ここは先に訪れた「倭文神社」のご祭神・下照姫命にゆかりのある場所で、昔は東郷池の周りに7つの弁天様が祀られていたのだそう。倭文神社の七弁天のひとつといわれ、当神社のご祭神、下照姫が釣りを親しんだところといわれているが、祠が残っているのは、現在この『宮戸弁天』だけである。
ご存知「弁財天」は元インドの神で、日本では芸事の神様として広く知られている「弁天さん」だ。





日本のハワイの道の駅って、ややこしや〜
道の駅「はわい」は、フラガールの「スパリゾートハワイアンズ(福島)」に比べると、ハワイらしさは中途半端。

施設入り口付近の「日本のハワイ」と書かれた顔出しパネル、喫茶店メニューの「ロコモコ丼」がハワイらしさを演出しようとしてはいるが、 ハワイの陽気なイメージは「スパリゾートハワイアンズ」に遠くおよばない。
冒頭に触れたが、中途半端に米国ハワイに寄せるのではなく、梨や西瓜をはじめとする果物・野菜の王国としてアピールするのが私はいいと思うが。知らんけど。
もう一つ、「はわい」を名乗ってややこしいと思うのは、実はここからはわい温泉にアクセスしにくいからだ。
鳥取県から山口県までの日本海側を繋ぐのが山陰自動車道。道の駅「はわい」は、この山陰自動車道の泊東郷IC-はわいICのちょうど中間点にある。



高速道路から直接アクセス可能なハイウェイ・オアシス的な道の駅なのだが、逆に一般道からのアクセスはできない。そのため、この道の駅からはわい温泉に行こうとすると、かなり遠回りをすることになるわけで。
この点でも、ややこしや〜なのだ。
果物、野菜、そして海の幸がいっぱい
鳥取県の特産品で最も知名度が高いのは「梨」だろう。
道の駅「はわい」でも、8月上旬から11月下旬まで、様々な種類の梨が販売されている。 全国生産量の7割を占める「二十世紀梨」を始めとして、「豊水」「秋月」「かおり梨」「新興梨」等、 道の駅で買い求めることができる梨は15種以上もある。
そして、西瓜、メロン、桃、ブドウ。果物も野菜も実に立派な大きさの、美味しそうなものばかり。










道の駅「はわい」は、そこに「ハワイ」があると期待すると残念な思いをするが、そこに新鮮な野菜、果物で溢れていて、これらを目当てに訪れると、とても満足できる道の駅である。