

「十勝千年の森」は、東に帯広があって西には占冠村がある、ちょうどその間の、清水町にある。
紙を大量に消費する十勝毎日新聞社が、その贖罪のつもりなのだろうか、植林で二酸化炭素を自然に還元しようと「1000年後の未来へ自然が残るように」という願いが込めて森づくりを始めたことが、この「十勝千年の森」の始まりである。
私もすっかり騙された?が、多くの人に「1000年間手付かずで続いてきた森」という誤解を招くであろう。
そんなよろしくないネーミングにも疑問を感じるが、とにかくこの森は、ありのままの大自然ではないのだ。
良いように言えば、「自然と、植林と、人が手を加えた庭の美しさとを組み合わせたつくりになっている」ということだが。
そういうと何やらいいもののように聞こえ、また、綺麗事を並べてはいるが、やっていることは庭に海外の植物を植えて北海道の生態系を壊そうとしていたり、アートと称して、元々ある自然石を掘り返していじってみたり。人間の庭いじりで自然を壊して「アート」とは、笑止千万。
はっきり言うと、ここは、観光客を呼び寄せたいがために「自然に手を入れて、自然ではないものにつくり替えている」場所にすぎない。
果たして生態系をいじられたこの「十勝千年の森」が、1000年後にどんな姿になっているか。
こんなことをしていて1000年後にまともな森として存在しているかどうか、甚だ疑問に感じた。


世界でもっとも美しい庭?とんでもない
十勝千年の森は2008年にグランドオープンし、400haもの広大な敷地にある5つのガーデンで構成されている。
世界有数のガーデンデザイナーであるらしいダン・ピアソンという人がデザインを手掛け、英国ガーデン設計コンテスト(SGD Award 2012)で大賞と国際賞を受賞したというが、イギリスのガーデン設計コンテストの「ネタ」に提供されただけではないか。
審査員から「世界で最も美しい庭」と評されて舞い上がっているようだが、だから「日本人はレーゾンデートルが弱く欧米に簡単に靡く」と馬鹿にされるんだよ。
外国人より、日本人の地元の人が、北海道の自然のことは知っているし、愛しているだろうに。
なんでわざわざ外国人に頼るかなあ。

人間がつくりたいように、自然を壊す
まず、入口に入ってすぐの場所にはかつてクマ笹が生い茂っていた。
それを「一切合切刈ってしまうと、土の中に眠っていた在来の植物たちの姿を見られるようになった」とスタッフは胸を張る。

「じゃあ、そもそもなんでそのくま笹の自然がダメだということになってそんなことをしたのか?」
と私が聞くと、スタッフの誰も絶句。
固まってしまって、答えられなかった。
木に囲まれた森から遠くが見えることがおかしい
エントランスに続く森を抜けると、大小13の丘からなるアースガーデンがある。
アースガーデンの奥に、日高山脈を眺めることができる千年の丘があるが、ここより綺麗に見える場所はいくらでもあって、甚だがっかりした。
大体、森から遠くが見通せるなんて、それこそがおかしなことなんだよ。

アースガーデンをさらに歩いていくとフォレストガーデンに着く。
フォレストガーデンは北海道の植生が自然に近い状態で残されている唯一の場所だそうで。
森のほとんどはミズナラで、木々からは鳥のさえずりや小川の流れる音が聞こえてくる。

欧米の植物植えて、生態系壊してどうする?
アースガーデンから橋を渡ってメドウガーデンへ。
ここは最悪である。
木道を囲むように十勝の在来種に加えて、気候が似ている北米の植物などが美しく植えられているというが、その発想と行いには首を傾げざるを得ない。
生態系に手をつけずの「ありのまま」が「自然」というものだろう。
自然および生態系を守る観点で、海外からの動物や魚の持ち込みが戒められる中、植物ならいいということはないだろう。
1000年後の森の姿は、それはもはや「自然」ではない。

メドウガーデンの先にあるファームガーデンでは無農薬野菜が栽培され、広い草原の中でヤギが放牧されている。



ウシもいっぱい。






なんで庭がアートやねん
HGSデザイナーズガーデンというのもあって、「北海道ガーデンショー」というのが2012年に「十勝千年の森」で開催された時の「アート作品」が見られると案内されている。

私も人生の最終局面で画家の端くれになったが、何でもかんでも「アート」という言葉を使って、ものの本質や存在意義を曖昧にしたり摩耶化したり美化したりするこの国の風潮は大嫌いだ。
画家は画家であり、庭師は庭師であり、それ以上でもそれ以下でもない。
元々この地に埋まっていた麦飯石(ばくはんせき)を活かした作品もあるというが、そんなもん勝手に掘り起こしてどうする?
埋まったままにしておけばええっちゅーねん!

「十勝千年の森」では、セクウェイツアーや乗馬体験などができるという。
しかし私はもうこの森のコンセプトにすっかり興醒めしている。
もはやそんなものはどうでもいい、勝手にすればいいだろう。

道の駅「自然体感しむかっぷ」
道の駅「自然体感しむかっぷ」は、北海道のほぼ中央に位置している占冠村の観光拠点。



西に行けば私が向かった十勝千年の森、トマム。北に向かえば富良野・美瑛(びえい)エリアへとアクセスできる、その起点としても利用されている。
駐車場は、非常に広い。

そして、この日は天気が良くなく、車はあまりに少ない。
そして、あまりに少ないと、かえって仮眠しにくい。
ある程度周りに人がいないと、気持ち悪いものなのだ。

トイレは、使いやすい、良いトイレだ。綺麗にしていただいており、とてもありがたい。


休憩するにはとてもいいだろう。間近に豊かな自然がある。


ここは便利なショッピングモール完備の道の駅で、夏・冬の温度差60度以上ある極寒地・占冠にふさわしく、入り口付近位は巨大温度計が立っている。
道の駅館内にはお土産品ショップのほか、レストラン、食堂などが軒を連ねており、食事やショッピング、ドライブの休憩などにもとても良い道の駅だと思う。
占冠村の自然と特産品がいっぱい
道の駅内の「しむかっぷ市場」では、7月~10月ごろまでトマト・きゅうり・なす・玉ねぎなど地元の農家さんの野菜を販売している。春には占冠村の特産品「山菜」を主としたお土産、夏にはメロンやとうもろこしも並ぶ。
元々林業で栄えた村であり、木工製品をはじめ薪・木炭の販売も充実していおり、占冠村産の鹿・熊・羊肉の加工品やお土産なども売られている。
鹿肉の生ハムやスモークは珍しく、お土産として人気があるそうで、最近は鹿のひき肉、ロース、ヒレ、モモなどが冷凍販売されていて、丁寧に下処理されてクセが無く、とても美味しいという。
販売される鹿肉は、一流の猟師によって食べやすく仕上げられている
また、占冠村産のイタヤカエデの樹液から作るメープルシロップ「トペニワッカ」がよく売れているそうだ。100パーセント国産のメープルシロップは大変珍しいらしい。
2022年には「はちみつ甘酒」を新発売。占冠産のシナの木のはちみつ、酒粕ともに北海道内で製造されたもので、老舗和菓子店とのコラボ商品である。
オリジナルデザイン可能な木工製品「ジップタグ」

木工製品でお土産におすすめのものに「ジップタグ」がある。価格も手ごろで、さまざまなイラストがデザインされているが、さらに無地の商品もあるのでその場で焼きペンを入れて、オリジナルデザインを施すことも可能。失敗は自己責任で。
鹿肉のタコス&ブリトーなどテイクアウト可能
道の駅「自然体感しむかっぷ」では何を食べればいいか。
ショッピングモール飲食店舗は、「ミルクキッチンふらいぱん」、「青巌峡そば」、「中華とおむすび 厨房 RonRon」、「八百熊カフェ」。
テイクアウト可能なグルメが特に充実しているようだ。
パンやおにぎり、中華の週替わり弁当、たこ焼き、たこせんなど、多彩なラインナップがあるが、メキシコ料理のブリトーはライスも入ってボリューム満点だ。鹿肉のタコスも捨てがたい。