「奥津渓で納涼!」のあと、これ以上美肌になっても困るんだけど「奥津温泉」に入ってから道の駅へ(トイレ○仮眠◎休憩○景観○食事○設備○立地○)

岡山県屈指の名勝「奥津渓」は、奥津温泉の下流3kmに渡って流れる吉井川沿いの渓谷。

吉井川の源流と花崗岩が数十万年の歳月をかけて自然が形造った臼渕の甌穴群は「東洋一の甌穴」ともいわれる。
もともと奥津渓一帯は、アクセス等が悪く、一般の人々が知らない場所でしたが、大正3年に陰陽連絡道(現在の国道179号線)が開通。その景観が一躍観光地として脚光を浴び、昭和7年に文部省より「名勝地奥津渓」に指定された。

鏡野町羽出地区では花崗岩が侵食されて出来た地帯特有の細かい渓流が続き、小さな滝をいくつも見ることができる。「二軒屋の滝」付近の川ではオオサンショウウオの目撃が絶えず、周囲の甌穴群も見ようと、今や年間12万人を超える観光客が訪れる場所になっている。

夏は深緑と透明度抜群の吉井川に山頂から冷風が吹き下ろして絶好の納涼スポットになるということで、まだまだクソ暑い8月下旬、「奥津渓」を訪ねた。

町内越畑集落から香々美川沿いを北上していくと、水が綺麗な鏡野町の中でも特に透明度の高い水の流れと山林の緑が調和している。落差はないけれども水流が勢いよく流れ込む滝壺そばでは、最高の納涼が楽しめた。

「奥津温泉」の「花美人の里」へ

岡山県苫田郡鏡野町、奥津温泉郷に到着した。

国道沿いは殆ど人影を見ることはなかったが、ここでは何人かの湯治客とすれ違う。 この付近が街の中心地なのだろう。

美作三湯の一つ奥津温泉は江戸時代より開かれ、温泉街となってきたのは大正時代のこと。

この地の慣習「足踏み洗濯」が行われる露天風呂を中心に、川沿いにしっとり風情のある老舗旅館や民宿が立ち並んでいる。

目指す「花美人の里」は、“美肌の湯”を気軽に楽しめる日帰り温泉施設。奥津温泉街を見下ろす高台にあった。

無色透明でとろみのあるお湯が肌を滑らかにすると評判で、女性を中心に人気を集めているこの温泉、67歳にして肌スベスベ(笑)な私などはこれ以上美肌になっても仕方ないのだが、せっかく「奥津温泉」まで来たのだから、お邪魔することに。


奥津温泉 花美人の里の入口

奥津温泉 花美人の里の内装

さすが鏡野町最大規模の施設、でかい。

2021年4月のリニューアルオープンして、大浴場には新たにシルク風呂が加わった。

大浴場には広々とした内湯や露天風呂、ジェットバス、サウナなどを完備。

泉質はアルカリ性の単純温泉で、地下150mから毎分1,000リットルもの湯量が噴き出すその温度は40度以上あるそうだ。

風呂上がりに「7UP」というサインを見つけ、チクロ騒動以来のロングセラー「セブンアップ」が飲めるのかと近づいたら、イタリアンレストラン「7UP(ななあっぷ)」だった。
ここでは地元の契約農家から仕入れた新鮮な野菜や、季節ごとの山菜、川魚、ジビエといった郷土の旬の素材を活かしたランチメニューを提供しているという。

奥津温泉の歴史

400年余り前の戦国時代には、大嫌いな毛利、赤松、宇喜多、山名の諸将と、大好きな山陰地方の雄、尼子の諸将などの勢力争いが激烈を極めていたが、多勢の武将たちがこの湯で傷を癒していたようだ。

大坂夏の陣で千姫を助けだし後に悲劇のヒーローとなった石洲津和野城主・坂崎出羽守(天正時代は宇喜多左京亮詮家と名のっていた)もまた、創痍を入湯で癒したと伝えられている。

江戸時代、津山藩が藩主や家臣のために専用の湯場を作って一般の入浴を禁じるために鍵をかけたという「鍵湯」は、現在は旅館「名泉鍵湯 奥津荘」の浴場として利用されている。
「..透明な不思議と深い秋津の気配へひたれば、もろもろの悩みも哀しみも、人間の清浄な祈りとなって閑寂な四辺へ霧消してくれたものであった…」。

これは、奥津を舞台に書かれた作家・藤原審爾の小説『秋津温泉』の一節だ。

小説の中だけでなく、実際に奥津温泉で心和ませた文人墨客は多く、松崎天民や与謝野鉄幹・晶子夫妻、岡野直七郎なども奥津を訪れて歌や旅行記を残していて、与謝野夫妻の歌は河鹿橋西詰から下への遊歩道「歌の小径」で鑑賞できる。
版画家・棟方志功も老舗旅館「河鹿園」あるいは「奥津荘」に投宿し、両旅館にはその際の作品が現在も数多く残されているほか、「河鹿園」には志功の指導、設計で作られて、志功自身が命名した茶室「妙知庵」がある。

「足踏み洗濯」は古来奥津橋のたもとで行われていた奥津温泉ならではの風習だが、3月下旬~12月上旬の実演日にはAM9:00から約15分間、観光客向けに実演が行われている。

「足踏み洗濯」は、かつて熊や狼を見張りながら川に湧き出る湯で洗濯していた名残で、姉さんかぶりに赤い腰巻きという可愛らしい衣装で器用に足先で洗うしぐさは、別名「洗濯ダンス」。

ファイターズの「きつねダンス」、スワローズの「キャッツアイダンス」よりずっとかわいらしいし、風呂場で子どもに洗濯を教えるなど、仕掛け方を工夫したらブレイクすると思うのだがw

自然の宝庫 景勝地にある道の駅

道の駅「奥津温泉」へは、中国自動車道の院庄ICから国道179号線を北に30キロ。

施設の営業が終わりかけの夕方の駐車場は、とても空いている。

トイレは、いかにも道の駅らしいもので、ありがたく使わせていただいた。

施設内外ともに、休憩環境は良好。

原木椎茸、姫唐辛子などの特産品が並ぶ物産館

道の駅の施設は、物産館、農作物直売所、レストラン。

特産品としては、農作物直売所に並ぶ「原木椎茸」が筆頭格。

原木椎茸とは最も野生に近い栽培方法らしい。また奥津地方でしか栽培されていないという「姫唐辛子」もある。日本古来の唐辛子らしく、 独特の辛味が特徴のようだ。

物産館では銘菓「大風呂敷」が販売されている。

レストランのメニューはとてもオーソドックスなものだ。