
北海道旅の途中、京都の友人・丸山典久くんから電話があった。
「今、北海道にいるんでしょ?もし日高の方を通ることがあったら、ディマシオ美術館に寄ってみてはいかがですか?」と。
もちろん他に要件はあって電話をくれたのだが、彼が勧めてくれるのならと、道の駅「樹海ロード日高」から「かなやま湖」に向かう途中、その「ディマシオ美術館」に立ち寄った。
ちなみに冒頭写真は、かなやま湖畔で結婚記念写真を撮影中のカップル。前途に幸あれと願う!
さて 太陽の森 ディマシオ美術館は、2008年に廃校となった旧・太陽小学校をリノベーションし、2010年にオープンした美術館だ。館内にはフランス幻想画家の鬼才ジェラール・ディマシオが描いた高さ9m×横幅27mの世界最大の油彩画をはじめ、パステル画やデッサンなど代表作200数点が展示されている。
そして、先日恩師・田中勝さんに箱根のラリック美術館に連れて行っていただいたが、そのルネ・ラリックの作品180数点が小学校で使用されていたプールをリノベーションしたガラスの美術館に展示されていてびっくりした。ラリックは、19世紀末から20世紀前半にかけてアール・ヌーヴォーからアール・デコ両時代にわたり活躍したフランスのガラス芸術の巨匠である。
ギネス世界記録公式認定世界最大の油彩画
ディマシオ美術館は、北海道日高の雄大な山々、牧場に囲まれた大自然の中にあった。
「自然との共生」「自然とアートとの融合」が美術館のコンセプトだそうだが、美術館は本来、もうちょっと立ち寄りやすいところにあるべきだとは思うが(笑)まあ、大人の事情が色々あるということにしておこう。

丸山くんに教えてもらうまで、恥ずかしながらディマシオという作家も、その作品もまったく知らなかった。最近画家になった分際だが、この無知についてはそれまで絵を捨てて仕事ばかりしていた45年だったということでお許し願いたい(笑)
ジェラール・ディマシオは、幻想絵画の鬼才と言われ、代名詞の一つはギネス世界記録公式認定世界最大の油彩画である。
高さ9m、幅27mにおよぶこの超大作は、この美術館最大のウリで、ディマシオ1人の手で3年の月日を経て完成した作品なのだとか。
1997年にチュニジア政府の要請でカルタゴの大聖堂で初公開されたこの作品が、いま北海道の小さな村・新冠の、廃校になった小学校跡にあるとは、とても不思議である。

この世界最大の油彩画は、「The largest professional oil painting by a single artist(単一画家による最大の油彩画)」として、ギネス世界記録に公式認定されている。
宇宙の謎、神秘の美しさといったものがテーマか?

実は、この世界最大の油彩画は、1日に8回、その表情を変える。
油彩画の世界観に調和する?壮大な音楽が流れ、様々な色の光が当たったり、暗転し一部分にのみ光が当たったり。明るい光の元で普通に観る絵画とは違った雰囲気やストーリーを演出しようということか。
「大きいことはいいことだ by山本直純」とは思わない私だが、大きいと、こういうことができるんだなと。でっかい絵を描く一つの意味がわかるような気もするが、本人はこういう演出をどう思っているのだろうか?
また、ディマシオの作品には題名がないとか、どの作品にも破片のようなものが飛んでいるとか、ディ彼が描く眼には眼球がないとか、いくつかの特徴が指摘されるが。
どういう考えで、彼はこのような絵を描いているのだろう。
下記は館内掲示 ジェラール・ディマシオ自身の作品紹介からの引用である。
「私が表現したい人物は、時、場所、生活感を感じさせない。なぜなら、ある一定の時代だけにとどめるのではなく、広い範囲を表現したいからである。色彩が幻影に近く、人物を描くとその人物の周りの色がとけ込んでくる。そのような色彩の使い方によって空想か真実かを忘れさせてしまう。全体を柔らかく一つの色調(モノコミック)に合わせているので、それにより人物に空間を与えることが出来る。
もし、多くの色を使うと、空間が無くなり、表現する力が無くなり、絵は死に絶える。キャンバスは一つのものです……別々になってはいけない。長く引き延ばされた時間。永遠に、始まりも終わりもない。
そんな、ミステリアスを表現しようとしている。見た人が、自分の世界を夢見るのではなく……。」
凡人の私には、よくわからない。
鬼才として突き抜けた彼の世界とは全く違って、誰にもわかりやすいルネ・ラリックのガラスの世界を堪能してから、ディマシオ美術館を後にした。
何もないかなやま湖の秋
ラベンダーの時期には、鹿越園地に広がる湖と山を借景にした紫、青、緑の美しいコントラストの絵画のような景観を作りだすラベンダー畑を。
夏は美しい湖水面をゆったりと漕いで行くカヌー散策、湖と山々の絶景が広がるオートキャンプ場や湖畔キャンプ場でのキャンプ体験を。
そして冬は、完全に凍った湖上に穴をあけてのワカサギ釣りやソリ遊びを。
という「かなやま湖」の宣伝文句の中で、ぽっかりと何もないのが秋なのである(笑)。










ディマシオ美術館の絵画やガラス作品を満喫したあと、その秋のかなやま湖に来て、散歩した。
なんだか、たいして色づくことなく、葉っぱが散り始めている。
これはやはり異常気象のせいなのだろうか。

あ、新婚カップルに、散り始めなんて。前途洋々、嬉しそうに記念撮影しておられる前でなんて不謹慎なw。ま、いずれ落ちるにしても、あなたたちはしっかり色づいた人生を送ってから落ちてください(笑)
道の駅「樹海ロード日高」
日高地区は日高山脈の麓に位置し、森林が占める面積は約95%。ほとんど木ばかりの地域である。

国道274号を夕張方面に走って行くと、木々で覆われた樹海そのもの。道の駅「樹海ロード日高」は、札幌と道東を結ぶこの国道274号と、旭川方面と浦河方面を結ぶ国道237号の分岐点、峠への出入り口にある。
この国道274号が実際に「樹海ロード」と呼ばれていたことで、この道の駅に「樹海ロード日高」という名前が付いたそうだ。

駐車場は、広いというより、何箇所かに分かれていて、たとえば峠に突入する前にしっかり仮眠したい場合にはベストポジションを見つけることができる。





トイレはごく普通だが、しっかり清掃していただき、とてもありがたい。


ちょっとした休憩もしやすい。

日高町内名産品の案内やイラストマップがわかりやすく、開発局日高道路事務所が提供する日勝峠のリアルタイム映像が放映されていて、特に冬期間などは気になる峠の天気をここでチェックできる。
北海道の冬は、峠の通行止めが頻発するので、こうした道の駅の機能は必須である。

建物センター部分に設けられたオープンなベンチスペースで、ゆっくりと休憩できる。

道の駅の建物のなかには、お土産を扱うリカーショップやそば処がある。日本有数の清流、沙流川で育った山女魚や香り豊かな春菊を使った「やまべ天そば」が名物だ。太めの手打ち麺でこしがあり、歯ごたえが 楽しめるそばが売りとなっている。
また道の駅の建物に隣接して、和洋食のレストランや散髪屋など、色々な店がある。

峠の出入り口にあたることから、ここでいったん休憩や食事をするドライバーが多いようだ。
また、北海道のコンビニといえばセイコーマートがここにもあって、時間がない人はここで買い込んですぐに出発、どのようにも使える、便利な道の駅である。



雄大で美しい日高山脈の自然と登山と地質の博物館がある。
自然をテーマにした日高山脈ネイチャーセミナーを開催しているので、興味のある方はぜひ。
