
山梨県と長野県の県境付近を走る国道20号線。
富士見町の甲信国境には川が流れていて橋が架かっているが、ここから北にしばらく走ると瀬沢という地名となる。
ここは標高差があるところで道路がS字カーブに曲がり始め、しばらくその道を登っていくと『瀬沢古戦場』の碑がある。
この碑がある場所は『血河原』とという物騒な名前がついていて、瀬沢の戦い=瀬沢合戦は、血河原合戦とも言われた。余程たくさんの犠牲者が出たのだろう。
瀬沢の戦いとは、武田信玄が晴信と名乗っていた時代の天文11年(1542)3月9日、林城主小笠原長時、諏訪頼重、北信葛尾城主村上義清、福島城主木曽義昌の連合軍と富士見町瀬沢で戦って晴信が勝利した戦いだが、この戦いで瀬沢=血河原は両軍兵の血で赤く染まった。
富士見町全体が、血ではなく紅葉で赤く染まって

富士見町は今、八ヶ岳から降りてくる紅葉で、街全体が赤く染まっている。
これが、瀬沢の戦いで染まった血の色だと思うとゾッとするが、今、私が目の当たりにしているのは落葉による赤い絨毯。
平和であることにホッとする。


奥の赤い絨毯と手前の黄色い絨毯が合わさった、オレンジ色に見える絨毯。

そして、こちらは鮮やかな黄色の絨毯。
富士見高原リゾートの入り口、ちょうどペンションビレッジへの入り口のところには、黄色い絨毯が見事なイチョウの林がある。

瀬沢合戦=血河原の戦いに信玄の真骨頂
晴信が戦った相手の一人、諏訪頼重は、1540年武田信玄の妹禰々と結婚し、信玄とは縁戚関係にあった。ちなみにもう一人の敵、木曽義昌も信玄の姉真理姫と結婚するが、それは1555年のこと。瀬沢合戦当時は縁戚関係にはなかった。
この合戦で、敵の諏訪頼重はトヤヶ峰に、血河原には敵の連合軍の一角、小笠原長時が陣を張った。
晴信は、躑躅ヶ崎の館の堀を掘って篭城作戦をとるという噂を流して敵陣を油断させ、一気に敵陣を攻めて大勝した。
勝因はあと2つある。
まず、信玄が、鎧兜を白く塗り、白い衣装を集めさせて兵隊に着せたこと。
次に、火の中に石を入れて強く熱し、熱くなったその石を布で包んで兵士のお腹に入れさせたこと。
瀬沢合戦は新暦の2月、極寒の中。石焼き芋作戦、湯たんぽ同様の絶大な効果だった。
雪の中の行軍でも凍え死ぬことがないようにし、なおかつ雪の白さの中での白装束。目立たぬように、凍えぬように行軍させて、勝利を手繰り寄せたのである。
極寒の雪中戦闘へのこの対応、武田信玄恐るべしである。
連合軍は、休息してから甲府を攻めようと一息ついていたところを攻められ、なんと1621人もが討ち取られた。
この合戦に負けた諏訪頼重は入笠山付近を通って逃げて行ったが、この後、信玄VS頼重の激突を経て、諏訪総領家は滅亡することになる。

道の駅「信州蔦木宿」
道の駅「信州蔦木宿」は、長野県東部の富士見町にある。


長野県に位置してはいるが、 山梨県からの県境から僅か500メートルで、「山梨県色」も非常に強い。
道の駅は江戸五街道の一つ「甲州街道」沿いにあるが、かつて43番宿場の蔦木宿として大いに栄えていたことから道の駅の名前が「信州蔦木宿」となった。
道の駅から北西に数百メートルのところには旧蔦木宿の跡が残っている。
駐車場は、状況が異なる場所を選んで停めることができる。
私は少し仮眠をとりたかったので日陰を選んで停めたが、とても静かだし、深い眠りに陥り、完璧な仮眠休憩をとることができた。



景色もいいし、休憩環境としては抜群ではないだろうか。



物産館
道の駅の施設は、物産館、レストラン、温泉施設。
物産館には、興味深い商品が多数あった。

まずは道の駅がある富士見町のパン屋「かまねこ庵」のパン。
長野県の老舗菓子メーカー「桜井甘精堂」の和菓子、信州蔦木宿温泉饅頭に対して、山梨産の桃、隣の原村のセロリ、寒天、ほうとう等、県境の道の駅らしく山梨勢と長野勢のバトルが繰り広げられていて楽しい。




レストラン
レストランでは、信州らしく手打ち蕎麦が前面に。
他にも、かなりたくさんのメニューがある。




この道の駅ならではのものとして、レストランで販売されている「ほぺ落ちソフト」がある。


「バニラソフト」と「バニラ+ブルーベリーヨーグルト」の2種類があるが、野辺山高原の牛乳工場直送のジャージ牛乳はとにかく濃厚で、確かに、名前の通りほっぺが落ちてしまいそうな味である。
人気の温泉施設「つたの湯」
人気があるといえば、温泉施設「つたの湯」だ。

内湯、露天風呂、サウナ、ジャグジーがある温泉だが、まず、露天風呂から見える景色がいいとのこと。

周りに民家や道路があって、囲いが景色の邪魔をする露天風呂が多いが、ここは民家などがほぼ無いため、外界を遮る壁は低く、そのぶん温泉から外の景色を楽しむことができるらしい。

泉質は「ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉」。神経痛、関節痛などに効果がある温泉だ。 料金も安いので、その良さがよく知れ渡っていて、週末を中心に混雑することが多い。
混雑するのは良い施設であるということなのだが、とにかく鄙びた温泉を追求する私としては、ちょっと(笑)

道の駅「信州蔦木宿」は2026年春リニューアルオープン
ミレニアムイヤーから歴史が始まった道の駅「信州蔦木宿」は、開所以来26年。
今回のリニューアルは、直売所の拡張や外構工事を行い、滞在スペースの拡充による憩いの場としての整備を実施するという。富士見町の観光拠点の強化にとどまらず、諏訪の玄関口また長野県の玄関口として役割をより担うことができるようになりたいとの意気込みだ。

新施設の完成予想図だが、てのひら館と情報ステーションの間にある門を撤去し、両施設と直結する直売所を増設するというのが最も大きな工事。
外構工事も行い、中央広場やつたの湯へのスムーズな誘導を図り、中央広場にベンチやテーブルを置いて、憩いの場を創設するという。
さらには、農産物の販売強化や、諏訪9蔵の飲み比べができる試飲機の導入、町内の菓子店と連携したスイーツコーナーの新設を予定している。![]()


今でもそこそこ満足度の高い道の駅だけに、リニューアル後の更なる充実は楽しみだ。