R先輩プロデュースの道の駅「うご」で冷がけそば、ジェラート、おかわり自由のコーヒーで腹ごしらえのち「鳥海山」へ!

ユネスコ無形文化遺産「西馬音内の盆踊」の藍染め衣装をイメージしているという外観。
そして、オンリーワンにこだわった個性あふれる「食」のラインナップ。

「秋田県の道の駅人気投票」では、ここ道の駅「うご」が1位を続けていると聞いた。
推しの理由として圧倒的に多いのが名物の冷がけそばとジェラートなど、食のコンテンツ。

「SNS発信力」「丁寧な対応」などについても非常に評価が高いという。

さすがリクルートの先輩・中澤さかなさん。

今日はまず、彼がプロデュースした道の駅「うご」でちょっと贅沢にお腹を満たし、それから鳥海山に向かうという計画だ。

道の駅「うご」の夜明け前

平成15年に国が提唱した市町村の大合併でいち早く単独立町を歩むことを決めていた羽後町。平成25年に就任した安藤豊町長は、秋田県市町村未来づくり協働プログラムによる2億円
の交付金を受けて町を活性化するために羽後町総合交流拠点施設(道の駅)をつくることを決意した。
総工費は3億7千万円。延床面積は一部2階建てで1,233㎡。

「施設の真ん中にトイレを設置せよ」

町長が指示したのはこの1点のみだったという。

24時間開放するトイレの利用者に、商品セールやイベントなどの情報を逐次伝えたいと。
道の駅の開業準備は、当初、役場職員と農業者だけの、完全な「ど素人」チームで進めていたが、朝早くから深夜まで机に向かったところで、一向に中身が見えてこない。

何もかもが遅々として進まなかった。

道の駅「うご」の「バース」登場

見かねた県が、強力なブレーンを紹介した。

そのブレーンこそ、地域活性化伝道師として大活躍中の中澤さかなさんだった。

強力な「助っ人」を得て、構想作り、そして開設準備は、一気に進み始めたという。

まさに神様、仏様、バース様、さかな様である。

農産物直売所、蕎麦レストラン、カフェ、ジェラート店はすべて直営方式をとった。
国道の交通量、立寄り率で算出した初年度入場者の目標数は20万人、全体売上高1.2億円を見込んだ。
道の駅「うご」は、平成28年7月1日、ついにオープン。

3日間で1万5千人もの客が押し寄せた。

端縫いダイニング

さあ、鳥海山に向かう前に、美味しいものをいただくぞ、と。道の駅のカフェテリア方式「端縫いダイニング」へ。200年の伝統を誇る手打ちの西馬音内蕎麦を、天ぷらや惣菜などをトッピングして楽しめるセルフ方式のダイニングだ。

そば粉8割に、つなぎの小麦2割のいわゆる「二八そば」。つなぎに布海苔を使っておりコシがあって、鰹と昆布がベースのつゆとも相性がいいとの前評判だ。

中澤プロデューサーのイチオシは、もちろんつるつるののどごしとコシのある食感、少し甘めの冷たいそばつゆがたまらない「冷がけ蕎麦」なのだが、「冷がけ・温がけの小盛り蕎麦2杯に季節の野菜天ぷらトッピングがお勧め」とのこと。

「冷がけそば」の大盛りにイカ天トッピング

生来の食いしん坊の私、どうも「小盛り」という響きがもう生理的に無理。

中澤さんが「温がけ」も味わったらどうかとの提案だと分かっていたが、それなら後で別途温がけ単品を追加でいただこうと、「大盛り」チョイスとなった。

丸亀製麺と同じ方式で、冷がけそばの大盛りを受け取って、「イカ天」の見た目のボリュームにやられて、とっさにそれをピック。

合計1,000円なりを支払って、ネギと一味、七味唐辛子、天つゆはご自由にということでそれらをしっかりいただいてからテーブルへ。

「いただきます!」

うん、甘めのつゆとしっかりとした歯ごたえのそばがヒンヤリとしてウマい!

蕎麦をすすると、上品なだしの香りと一緒に、かなり独特の蕎麦の風味。

この「冷やがけ蕎麦」独特の食感と風味を生みだす秘密は、つなぎに使う「布海苔」にあるらしい。

今から200年近く前。西馬音内そばの元祖「弥助そば」の初代が、大阪生まれの上品な砂場系そばをベースに、旅路で味わった数々の蕎麦を吟味して、独自に生みだしたのが西馬音内そばの始まりといわれているが、「布海苔」を使ったつなぎは、新潟や山形の山間部に見られる「へぎそば」と同類らしい。

ただし、布海苔を加えることで普通のそばよりも風味が落ちるのが早くなってしまうということで、道の駅では、最高に美味しい状態にこだわって毎朝厨房でそば粉から手打ちするそうだ。蕎麦粉は更科に近い。

イカ天、そして蕎麦湯

満を持してイカ天を投入!

出汁に浸しっぱなしにせず、食べるところだけをちょこっとつけて、べちょべちょにならない衣のコンディションが最高だ。

イカ天にはうるさい私だが、文句なしで合格の札を上げた!

最後は、つゆに蕎麦湯を入れて。蕎麦湯はたっぷり注いだが、しっかりしたつゆの味は残っていて、とても美味しかった。

「うご・じぇら」最高

食後のデザートは、これまた中澤さんオススメ「うご・じぇら」へ。

新鮮な羽後産生乳を100%使用した本格ジェラートという打ち出し。

季節限定もあり、地元食材とのコレボレーションもありで、結果、いろいろなジェラートが。

たくさんの種類があるときは、「定番」を選ぶ私であった。

羽後産生乳100%の濃厚さは食べ応え十分。

デザートをいただくなんて贅沢は滅多にしない私だが、蕎麦のちジェラートはなかなかのものだった。

最後、鳥海山へと向かう前に、コーヒーを。

「ぼん・かふぇ」は、オリジナル焙煎の本格珈琲がお替わり自由。
コーヒーをいただいたあと、トイレ、洗顔でスッキリしてから車に乗り込んだ。

名峰「鳥海山」へ

目的地は、「日本百名山」の一つに数えられる名峰「鳥海山」。
秋田県と山形県の県境にそびえる水豊かな独立峰だが、日本海の海抜0メートルから標高2,236mの高さまで立ち上がっていること自体がかなり珍しい。ゆえに裾野は広大だ。

四方におだやかに裾野を広げた秀麗な山容は、麓に住む人々から出羽富士、庄内富士、秋田富士などと呼ばれて親しまれてきた。

この山に降る雨や雪は豊かな伏流水となり、湧き水が田畑を潤して人々の暮らしを支え続けている。地元の人たちにとって、鳥海山はかけがえのない恵みの山である。

山全体が国定公園に指定されており、貴重な高山植物やカルデラ湖など、様々な表情が見られるのも特徴だ。

鳥海山には、夏のお花畑を目当てに登る人が多い。

ハクサンイチゲの群落を前景にして、残雪から少しだけ顔をのぞかせた鳥海湖、その奥に新山という鳥海山の観光ポスター的な景観が望めるのは6月中旬から7月初旬にかけての初夏、ちょうど今頃である。

しかし、今日は、車を降りて登っていくつもりはあまりない(笑)。
先日、無謀にもチャレンジした羊蹄山山頂アタックのダメージが腰と膝にまだ残っているからだ。

山麓の水の恵み

ということで、もっぱら山麓をうろうろ。

山麓には、いたるところに澄んだ水の流れがあった。
なかでも遊佐町の「丸池様」は、鳥海山から湧き出た水だけで満たされた池。

エメラルドグリーンの神秘的な池そのものを地元の人たちはご神体と崇め、「丸池様」と呼んで大切に守り続けてきた。

信仰の対象となっている丸池様。鳥海山の豊かな湧き水が神秘の池を作り上げた

近くを流れる牛渡川も、清らかな伏流水を集めているとても美しい川だ。

地中から湧き出たばかりの水が、見たことのない透明度をもって流れている。
澄んだ流れのなかには清流にしか育たないバイカモ(梅花藻)を見ることができる。

まさに鳥海山の恵みを象徴するような水の流れだ。

澄んだ湧き水が牛渡川の梅花藻(バイカモ)をはぐくんでいる

「山スキー」の偵察

実は、鳥海山は山スキーが手軽に楽しめる山としても知られている。

最もポピュラーな矢島口登山口は、5月になると多くのスキーヤーが押し寄せる。
鳥海山は裾野がゆったりした山なので、全体の傾斜もそれほど急ではない。この時期にはルートを示す竹竿が所々に立っているため、迷う心配も少ない。鳥海山は山スキーの初心者でも安心して登れる山として人気がある。

かつて「山スキー」に熱中していた私は、長いブランクはあるが、今シーズンからぼちぼちスキーのリハビリに入り、元々楽しんでいた山スキーにカムバックしようと思っている。

鳥海山は、そのカムバックの場として最適と睨んでいるのだ。

山スキーを使って頂上をめざす
日本海を左に見ながらスキーが楽しめるのも鳥海山の魅力だ