
「白山白川郷ホワイトロード」は、白山国立公園内を走っており、石川県白山市尾添から岐阜県大野郡白川村鳩谷へと続く、延長33kmの有料山岳道路である。
たった33kmというと普通なら30分もあれば走りきれてしまうが、何せ大きく曲がりくねって上り下りが繰り返され、故に最高速度ほぼ20キロに規制されていて2時間ほどのドライブをゆっくり楽しむことができる(笑)。
昭和52年(1977)、当時の森林開発公団が特定森林地域開発林道事業として取り組んだスーパー林道の1つで、富山市と石川県小松市を結ぶ国道360号において岐阜・石川県境地域で分断されていた区間をつなげる役割をもつ唯一の有料自動車道「白山スーパー林道」として開通した。
“白山”と名称が付くから「白山火山」の中あるいはその近くを通る道路と思われがちだが、白山火山の噴出物はきわめて少なく、分布範囲も限られている。
道路は霊峰白山の北側、“白山連峰”と呼ばれる基盤の岩石が広く分布している標高600~1,450mの山岳地帯を走っていて、白山の主峰はこのホワイトロードからははるか遠くに望む場所にそびえている。
この道は抜群の景観に恵まれ、開通後はほぼ山岳観光道路として利用されるようになっていくのだが、「林道」では運転に悪いイメージを連想させるとして新愛称を公募。平成27年(2015)から「白山白川郷ホワイトロード」という新愛称が決まったが、正式名称は依然「白山林道」である。
石川県側に名爆が集中
石川県側からは、道は深い谷からの上りである。
石川県側の蛇谷(じゃだに)から県境のトンネルを抜けて岐阜県側に抜けるルートには、「庄川火山〜深成複合岩体」の火山岩類が分布している。
まず深い谷からのきつい上りを走っていくと「日本の滝100選」にも選ばれている姥ヶ滝(うばがたき)、落差約86mの「ふくべの大滝」など、大小7つの滝が織りなす峡谷美を楽しむことができるが、石川県側に見られるこれらの景勝地はすべて「庄川火山〜深成複合岩体」の火山岩石が作り出す景観ということだ。



これらの景観はこの林道ができるまでは見ることのできなかったものばかりで、特に「ふくべの大滝」は幻の滝といわれている。

岐阜県に入ると3つの展望台からの絶景
さらに上ると国見展望台が。


そして、最高地点=標高1,450mの三方岩駐車場に着くと、そこには白山山頂の「御前峰」を望め、珍しい原生林の樹海などの眺めが広がる「白山展望台」がある。
道の岐阜県側は世界文化遺産・白川郷合掌造りの集落へと続いていくが、岐阜県に入って道の駅白川郷に到達する約11km手前には、白川郷を見下ろせる「白川郷展望台」がある。






駐車場から少し歩けばデッキから見事な白川郷の絶景が広がり、晴れた日にはここから北アルプスも遠望できる。
ここからは山岳道路らしい下りのワインディングをエンジンブレーキをかけながら下り、白川郷方面の馬狩(まがり)料金所へ。石川県側で通行料金を払っているので、ここはスルーしてドライブ終了。
ちなみにこの「白山白川郷ホワイトロード」は、なんと二輪車の通行は不可である。
曲がりくねった道が続くので、少しでも体を倒し損ねると深い谷に真っ逆さま。しかも谷が半端なく深い。死亡事故多発が容易に想定されるから、その方がいい。
四輪でも道路の立地条件から冬期通行止・夜間通行止などの通行規制があるが、規制は厳し目にした方が良いと思われる道だった。
白川郷のオーバーツーリズムはさらに酷く
まもなく白川郷に到着するが、人、人、人。
前回、春に来た時よりオーバーツーリズムはひどい。
もはや白川郷は「秘境」でもなんでもない。


今回は道の駅でトイレを借りただけ。
白川郷の入り口に溢れる人の波を見て、郷もといGoする気がすっかり萎えた。

道の駅「一向一揆の里」
北陸自動車道の小松ICから国道360号線を東に進んで小松市街を抜けると、住宅地から田畑の風景に変わり、それがやがて山林へと変わっていく。

山林の中を進んでトンネルを3つ抜けると、小さな集落が現れて、そして道の駅の看板が現れる。

道の駅「一向一揆の里」は、「白山白川郷ホワイトロード」の北西方面。
石川県南部の旧鳥越村(現白山市)にひっそりと佇む道の駅だが、この旧鳥越村こそは室町時代後期に発生した「北陸一向一揆」の舞台となった村である。

釈迦に説法とは思うが、念の為。
一向一揆は百姓一揆ではない。
百姓一揆は農民の地位向上を求めた一揆であるのに対して、一向一揆は本願寺門徒を中心とする宗教に基づく理想郷を求めた武装闘争である。
道の駅には、そのことがよくわかる「鳥越一向一揆歴史館」があり、敷地内には物産館と蕎麦処がある。



駐車場は広い。というか、広すぎる。というか、客が少なすぎる(笑)
なので、遠慮なく仮眠できる。広くて静か、寝るには最高の駐車場だ。



トイレは広い駐車場の片隅に。


休憩環境としては、写真のように、誰もいないし、だだっ広い。
私もそうだが、ひたすら静かな場所が好きな人にはたまらないだろう。



