
道の駅は、車中泊の旅を続ける「渡り鳥」にとって「止まり木」である。
羽を休めるための場所として、本当に貴重なものだ。
だから、頑張って営業されている道の駅の運営スタッフを見るにつけ、いつも感謝の気持ちをお伝えしつつ、旅を続けさせていただいている。
しかし、たまに。
この道の駅ってどうなんだろう?と思うことも正直ある。
需要と供給のバランスがすっかり崩れ、長年赤字が続いている施設。
従業員が活力もホスピタリティも失ってしまったような施設。
そういった施設に対して疑問を感じることもあるのだが、最も多いのは「字自体の無能」を感じるケースだ。
残念なことに道の駅「豊根グリーンポート宮嶋(とよねグリーンポートみやじま)」の場合。
その歴史や経緯、現在の状況を見るにつけ、「自治体への疑問」を強く感じてしまった。

いったん地に落ちた歴史
道の駅「豊根グリーンポート宮嶋」は愛知県北東端の過疎の村、豊根村にある。
沿道は長野県飯田市と愛知県豊橋市を結ぶ国道151号線。 道路は一部区間を除いて整備され走りやすいが、人口が少ないためか、駅周辺の交通量は少ない。
北には人気の観光地「茶臼山高原」があるのだが。





そんな立地の中、道の駅「豊根グリーンポート宮嶋」は、1993年に愛知県内最初の道の駅施設としてスタートしている。
古くから道の駅巡りをされている方はご存知かも知れないが、リニューアル前のこの道の駅は「史上最低の道の駅」と囁かれた道の駅だった。 開業して7年経ち、2000年代前半になると物産品販売は殆ど無くなり、トイレは荒れ放題となった。2000年代後半からは幾分改善されたものの、 それでも利用者の評価は依然低い道の駅だったのだ。
一からの出直しとばかり、道の駅は2015年に全面リニューアル。今年でリニューアル10年、開業32年を迎えた。生まれ変わってからの来場者数は、しかし9年間で123万人。年間13万人程度では、この大きな道の駅の採算を合わせるのはさぞ厳しいことだろう。
現在の道の駅の「基本機能」をチェック
駐車場はごく普通のものだが、愛知県といえばトヨタ。なのに、EV充電器がやはり1台だけ。
官民の連携のかけらも感じられない。




トイレはかつての悪評以来、しっかり管理されているようだ。





休憩環境として特筆するものはない。
地元の名士の石碑があったが、それがどうした、だからどうなんだという感じ。
どこの誰だかさっぱりわからないのだ。

売店、レストランは?
せっかく2025年から新しい業者がスタートしているので、ケチはつけまい。ノーコメントで。






経営が悪いのか市場が悪いのか
やはりというか、なんというか。
道の駅「豊根グリーンポート宮嶋」のリニューアル後にレストラン・売店を運営してきた茶臼の里合同会社が、10周年を前に2024年12月27日をもって営業を終了、撤退した。レストランの名称は「山のレストランふるさと」で、村内のダム貯水池「みどり湖」にちなんだ「新豊根ダムカレー」を考案したり、チョウザメの雄を食用にした「チョウザメだんごの香酢定食」やその切り身を使った「ザメ重」、刺し身を使った「ざめまぶし」などを提供してきた。
茶臼の里は役員の高齢化などから運営継続を断念し、2025年3月までの契約を満了することなく、2024年いっぱいで撤退することになったとのこと。
撤退について「茶臼の里合同会社」は「中心として運営してきた方が引退するため」と言う。後継者が育たない会社は悲しい。会社が悪いのか市場環境が悪いのかは存じ上げないが、こういう理由は残念すぎる。
自治体の無能が悲劇を終わらせない
豊根村と村観光協会は、村内を対象に次の事業者を募集。村役場隣で「レストランみどり」を経営する51歳の男性を後継者に決めた。そして、2025 年4月からは、「レストランみどり」が飲食と物販を担ってスタートしている。



新しい店の開店前に、道の駅でリニューアルオープン10周年の記念式典があった。
伊藤浩亘村長は、今年度中に三遠南信自動車道の東栄インターチェンジと鳳来峡間が開通予定で、長野県内の国道151号の道路拡幅などで交通量が増えることをアピールしたが、はっきり言って私は、経営者が悪い市場が悪いという前に、地方自治の無能を指摘したい。
過疎の根本原因を見失い、いまだに「道路、道路」の時代遅れ。ここはまだ田中角栄の時代か?
「道の駅としての機能が発揮され、多くの人たちでにぎわうことを期待します」と述べた村長、あんたのような時代錯誤老人が村政やってる限り、未来はないよ。