
今や宇奈月温泉郷としてすっかり有名になったが、この地はかつて桃の樹林が広がる無人の台地ゆえ「桃原」と呼ばれていた。
その後、黒部川上流の黒薙温泉から引湯が成功。
1923年の開湯以来、多くの文人墨客が愛する温泉郷の歴史を歩んできた。
宇奈月温泉のお湯は、源泉温度は90度以上と高く、黒部川の清流を思わせる無色透明の湯は日本有数の透明度ともいわれ、肌にやさしい弱アルカリ性単純泉で「美肌の湯」との評判も高い。
しかし。
黒部峡谷の玄関口にあって、山の幸はもちろん、山峡にありながら日本海が近く新鮮な海の幸も味わうことができ、今や富山県随一の規模を誇る温泉郷には多くの温泉ホテルが立ち並び、最大で3,500人という多くの人が訪れる。
つまり。
温泉地としてメジャーなほどそうなのだが、この「宇奈月温泉」もまた、車中泊で日帰り温泉を求める私が好きな「安くて空いた温泉」ではない。
宇奈月温泉の入り口と言って間違いではないが
道の駅「うなづき」は、北陸自動車道の黒部ICから県道53号線→県道14号線を南東に約6km。
富山県北東部の旧宇奈月町(現黒部市宇奈月町)にある。
宇奈月温泉のシンボルマークの「う」の記号が付いた道路標識が至る所にあって、カーナビに頼らなくても迷うことはないだろう。
宇奈月温泉がすぐ近くにありそうに思う道の駅「うなづき」だが、宇奈月温泉郷の入り口に位置すると言って間違いではないものの、温泉街まではまだ8kmもの距離がある。
これだけ離れていれば、「ここに車を停めて温泉巡り」とはいかない。
宇奈月温泉郷としても、そんなことをされては困るわけで(笑)、この歩いていく気にはならない8キロという距離は、道の駅が温泉巡りの拠点となることを明らかに阻んでいる。
ではこの駅にはなんの役にも立たないかというとそうではない。全く別の楽しみがあるのだ。
「宇奈月ビール」を満喫できる道の駅

本駅はビール製造、販売を行う宇奈月麦酒館を中心とする道の駅。それだけで楽しめる道の駅なのである。

駐車場は相当広い。日曜休祭日にどれほど混むか知らないが、多分大丈夫だろうと思える広さだ。



トイレは綺麗にしていただいており、気持ちよく使わせていただけた。


ちょうど桜も咲いていて、とても気持ちの良い休憩環境を味わうことができた。





道の駅「うなづき」は、1997年4月にオープンした施設だが、「ビール」だけで成り立つほどの快進撃が始まったのは2003年のこと。 「宇奈月ビールかもしか」が2003年度国際ビール大賞の金賞を受賞したのだ。
以降、 ビールの国際的な主要コンテストにおいて金賞10回、銀賞12回、銅賞8回というメダルラッシュ。国内の地ビール部門でも、ほぼほぼトップの座を譲っていない。
物産館と食彩館とレストラン
宇奈月麦酒館が中心の道の駅だが、この施設の中に物産館とレストランがある。

また2010年には、農作物直売所兼物産館の「うなづき食菜館」がオープンして施設が拡張された。


物産館では、ビール販売が中心だ。
国際舞台で評価された「宇奈月ビール」は、「かもしか」「トロッコ」「十字峡」の3種類が定番で、 新商品の「黒部ビール 黒部の月」も人気を集めている。

ビールを使った加工品も充実している。
「ビールカレー」は、カレーの辛味とビールの苦みがミックスされ、牛肉、ジャガイモ、人参などの具がたっぷり入っている。 「ビールケーキ」「ビールソフトクリーム」などは、甘党向けに開発されたものだろうか。
レストランは、昼間のランチバイキング、夕刻の一般営業、 完全予約制の夜間のディナー営業の3部に分かれての営業だ。
もちろんいかに本格地ビールを堪能できる道の駅だと言っても、飲酒運転厳禁は当たり前。
この道の駅の地ビールを満喫するためにも、駐車場での「がっつり仮眠」はお許しいただきたいし、堂々と車中泊が可能な「RVパーク」の設置は是非ともお願いしたい。てか、絶対設置するべきでしょ?