
奥出雲といえば、古来からの鉄づくり「たたら製鉄」が有名だが、鉄づくりが行われていた「鉄の町」奥出雲のシンボルとして「奥出雲鉄の彫刻美術館」があると聞いた。
43年間もアートを手放しておいて、67歳にしてアーティスト復帰を決めた以上(笑)これまでご無沙汰していた美術館などにも行って、とにかくいろんなアーティストから刺激を受けたいと思い、この「奥出雲鉄の彫刻美術館」を訪ねてみた。
広島県側からだと中国自動車道の東城ICから北に約40キロ、島根県側からだと 松江自動車道の三刀屋木次ICから南東に約40キロくらいあるだろうか、美術館は広島県と島根県を結ぶ国道314号線の、島根、鳥取、広島の3県の県境付近にある。近くにJR木次線が走っているが1日3本しか運航しておらず、こんなところにある美術館に、人が来るのだろうかと思っていたら、入館者はやはり私だけだった。
この奥出雲鉄の彫刻美術館は、ニューヨークを中心に活躍した故下田治氏によって製作された作品を展示した美術館だ。入館料は無料だが、下田氏は「たたら製鉄」とは無関係、ニューヨークの鉄で作品をつくっていた人。「たたら場」の鉄でつくった作品が並んでいると勝手に妄想して楽しみにしていた私は、多少拍子抜けした。
自然と芸術のコラボレーション「鉄の彫刻美術館」




なんでも下田治氏は、剛鉄によるモニュメント彫刻で世界的に知られる作家だそうで、下田治氏の夫人である下田幸知さんのご好意と理解による寄贈のもと実現され、平成21年4月に美術館はオープンしたのだとか。
不勉強で存じ上げなかったので、下田治氏のプロフィールをググってみた。
「彫刻家。1924年、大連に生まれる。1947年、立教大学経済学部卒。1954年、フランスで絵画を学ぶ。1958年渡米、ニューヨークで野外彫刻を制作。1997年、第28回中原悌次郎賞受賞。2000年、没。」
私が生まれた1958年に渡米し、ニューヨークで活躍していた故下田治氏は、もともと前衛絵画を描いていたが、ニューヨークに渡ってから鉄の彫刻を始めたということだ。
前衛絵画から彫刻家への転身、二次元から三次元の表現に惹かれる気持ちは、私もよく理解できる。

学生時代は、「彫刻」がもっとも訴求力の高い美術だと思っていたから。ちなみに今は必ずしもそう思ってはいないが(笑)。

ここで鑑賞できる作品は、初期の抽象表現主義の絵画作品から、最晩年の彫刻作品に至る全44点(油彩カンヴァス作品5点・立体構成作品5点・彫刻34点)。
館内に入らない?巨大なモニュメントは、美術館の周囲、野外に置かれている。

奥出雲おろちループ
道路の方はループ橋で、鉄道の方は3段スイッチバックで標高差を埋めているこの巨大な建造物は、ループ橋、スイッチバック共に観光名所に なっている。
ループ橋の愛称は「おろちループ」。ヤマタノオロチから命名したもので、ループ橋の規模としては日本一である。

標高差167mを大小11本の橋と3つのトンネルで結んだ巨大な「奥出雲おろちループ」だが、デザインを伴う建築などのあらゆる「建造物」もまた「作品」と捉えて鑑賞したい。
しかし巨大すぎて、何が何だかわからない。

その中で、三井野大橋の赤いアーチは、写真映えするフォトジェニックな場所として人気を博しているようだ。




美術館がある場所に登ってくるのに167mもの標高差がある。
道の駅「奥出雲おろちループ」
「道の駅奥出雲おろちループ」は、「奥出雲おろちループ」の頂上にある道の駅だ。
展望台からは最大の見どころ「三井野大橋」と「木次線」を眺めることができる。


道の駅の施設としては、物産館、 喫茶レストラン、アートギャラリー、鉄の彫刻館を道の駅に含めればかなり豪華な施設ラインナップだ。
駐車場には、そこそこの台数の車が停まっていた。



トイレは、場所も分かりやすく、清潔が保たれていて、ありがたく使用させていただいた。



休憩環境としては、館内外ともに、いい感じだ。




物産館では「出雲そば」多くのスペースを占めている。
奥出雲町の特産品としては、奥出雲町の特産品の舞茸とワサビを組み合わせた「舞茸わさび」と「おろちバームクーヘン」。これは日本一のループ橋にちなんでだが、長さ50cmくらいもある。
ちょっと食べきれんだろう?大きすぎると思うが(笑)



喫茶レストランでは、奥出雲の名産である奥出雲和牛と奥出雲舞茸を使ったうどんをはじめ、そこそこいろいろな食事を選ぶことができるし、アップルパイ、 マロンケーキなどのデザートもある。