
樽前山は、明治42年(1909)の噴火によって、その頂上火口内に典型的な溶岩円頂丘(ドーム)が生成されたことで世界的に有名になった「三重式火山」。
溶岩円頂丘のできる現象は、溶岩の粘性が大きい場合にのみ起きるもので、溶岩が上昇してきても火口の外側にあふれることなく、円頂丘状に盛り上がる。
この円頂丘は、当時はまんじゅうのような形をしていたようだが、その後、頂上部がやや低下して平坦になり、そのまわりに崩壊した岩石が堆積して、現在は杯を伏せたような形に変化している。
樽前山の溶岩円頂丘は、特別天然記念物に指定されている昭和新山の溶岩円頂丘とはできるしくみや火山形態などが違い、今世紀に生成されたものとして学術上非常に貴重なものとされる。





油断のできない活火山「樽前山」
樽前山は、約4万年前の巨大な噴火で生じた支笏カルデラの南の縁に位置する活火山である。
約9100年前に大きな噴火と共に誕生したとされる。約2500年前や1667年と1739年にも大きな噴火があったことがわかっており、1739年の大噴火の際にできた火口の縁は、現在の外輪山にあたる。
その中はその後の噴火により埋め尽くされ、中央部には1909年の噴火によって溶岩ドームが造られた。最も最近の噴火は1981年に起こっている。
噴火が起こる間隔は不規則で次の噴火がいつになるのかは予測できず、決して油断のならない山である。
近づけるのは、外輪山の最高地点である東山まで
ビジターセンターのある支笏湖温泉から、登山口となる樽前山7合目駐車場までは車で約20分。
そんなに高い山ではないので、7合目から私の遅い歩みでも約1時間で外輪山の最高地点である東山(1,022m)に到達できる。距離が短いとはいえ、登山道は火山礫(れき)がゴロゴロしていて転びやすい。うっかりしていると足をくじくので、要注意である。
頑張って歩いていると、外輪が見えてきた。

樽前山の火口は高温となっており、有毒の火山性ガスも出ているため、火口原は立ち入り禁止である。
これは「樽前山火山防災協議会」で決定した任意の規制で、法令に基づくものではなく、罰則が科されるものではない。しかし、火口周辺は高温状態が続いており、突発的に火山ガスも強く噴出する恐れがあることから、火山災害のリスクを低減するために必要な措置として継続されている。
外輪から間近にのぞむ溶岩ドームは大迫力だ。

鉄道をテーマにした道の駅「あびらD51ステーション」
春の菜の花畑の美しさで有名な安平(あびら)町にある「あびらD51ステーション」は、道内屈指の人気を誇る道の駅である。



2019年にオープンしてからすでに来場者数は400万人を超えている。
駐車場はとても広い。人気の道の駅だが、満車の心配はそんなにないと思われる。




さすが人気の道の駅。トイレも文句のつけようがない。




休憩環境としては




安平町の追分地区にはかつて、追分駅に隣接したSLの機関区があり、夕張などで産出される石炭を運ぶ機関車の拠点だった。

ここ追分地区は鉄道と共に発展した街であり、古くから鉄道に関わる人々が多く暮らしていた。
そこで、町の歴史と住民文化を象徴するものとして「鉄道」をテーマにした道の駅を作ることになり、道の駅にD51型機関車などが展示されている。
道の駅の目玉はD51などが保存されている鉄道資料館

道の駅の目玉は、なんといっても道の駅内にある鉄道資料館に静態保存されているD51。
かつて追分機関区で活躍した元機関士たちが長年手入れや整備を続けており、SLの保存状態のよさは日本国内でも有数と言われている。
普段は風雨にさらされないよう基本的には屋内展示。冬季は結露でSLが傷むのを防ぐため、鉄道資料館は暖房が入らない。春から秋の数日だけ特別イベントとして屋外に展示されることもあるので、屋外で見ることができればラッキーだ。



道の駅の屋外には、札幌~釧路間を結ぶ特急「おおぞら」などでかつて使用された特急車両、キハ183の展示もある。2019年に車両引退とともに解体される運命だったが、道内の鉄道愛好団体によるクラウドファンディングで買い取りと移設の費用を確保できたため、特急「おおぞら」が道の駅に保存されることになった。






『あびら肉コロッケ』と『もくもくD51ソフト』が大人気
道の駅のもう一つの魅力は、安平町の農畜産物の直売。

そして、それらの農畜産物を活かしたグルメの数々だ。
すべてテイクアウトスタイルで提供しているが、施設内の無料休憩所でイートインも可能だ。
圧倒的に人気があるのは、『あびら肉コロッケ』と『もくもくD51ソフト』。コロッケは年間1万個も売れるそうだ。
「あびら肉コロッケ」は、安平町産のじゃがいもと、安平町産ケンボロー豚のひき肉を使用していて、サクサクな食感が最高。
「もくもくD51ソフト」は、SLをイメージして、食用竹炭で灰色に仕上げたオリジナルソフトクリーム。甘すぎず、生乳の味わいが感じられ、人気となっている。

道の駅で販売しているグルメは、他にも町内の食材を使ったパンや農家さんが育てた野菜や畜産品、加工品など多彩。本格的なレストランもある。


かつてこの地は石炭を港に運ぶSLの運行拠点だったが、現在はSLを軸に旅行者を町内に呼び込む観光拠点と姿と役割を鮮やかに変えている。