氷見漁港で獲れる魚は日本一の156種。道の駅「氷見」の番屋街で海鮮グルメを堪能(トイレ○仮眠◎休憩◎景観◎食事◎設備◎立地○)  

氷見は、富山湾を抱く漁業の町。

富山県最大、日本海側でも有数の漁港である氷見港からは、海の向こう南東方面に3,000m級の北アルプスを望む。

全長1kmを超える長さを誇る比美乃江公園が隣接しているが、ここの展望台からは氷見を代表する景色である「海越しの立山連峰」が美しく見える。特に立山から登る朝日、まちをオレンジに染める夕日は実に素晴らしい!

富山湾は立山連峰から急激に深くなる海底地形が特徴で、海底谷が発達している。この海底谷は非常に深く、海の青さが一段と濃く見えるため、「藍瓶(あいがめ)」と呼ばれている。

深い海を好み富山湾の宝石と呼ばれるシロエビはこの海底谷付近の水深150~300mに生息。氷見の沖合はこの富山湾の地形によって寒流と暖流が混ざり合い、様々な魚介類が生息する豊かな漁場となっている

氷見で漁獲される魚種は日本一ともいわれ、その種類は156種にも及ぶが、沖合が非常に近いからシロエビと同じく深海にすむ「紅ズワイガニ」だって短時間で港に運ぶことができる。

だから、あらゆる魚がまさにキトキト(新線)な状態でいただけるのだ。

淡路島育ちで海鮮には目がない私、氷見漁港を訪ねたが、ちょうど夏の入り口でクロマグロ(写真)の季節を迎えたところ。ちょうど解体ショーをやっていた。

夏はクロマグロ(6月・7月・8月)

港の歴史は古く、「定置網漁」は氷見が発祥の地といわれているが、ほかにも様々な漁業が古くから営まれ、四季を通じて豊かな海の幸に恵まれる氷見。

ここの夏の魚といえば、ホンマグロ(=クロマグロ)だ。

氷見漁港では6月下旬になるとこの「氷見まぐろ」を、圧倒的知名度を誇る「冬のひみ寒ぶり」「春の氷見鰯(いわし)」に続く夏の名物にしようと、PRに力が入ってくる。

ちょうどクロマグロの解体ショーと即売会を見ることができたのだが、解体されたのは朝に氷見の灘浦沖で水揚げされた33キロのでっかいクロマグロ。

直売鮮魚店で店長が半身にさばいて、手際よく冊や刺し身にしていた。「氷見生マグロ丼」は3千円もしたが、せっかくの機会なのでいただいた。下手な食レポなどは失礼と思えるほどの美味しさだった。

5~7月に回遊する夏マグロだが、マグロは30キロ以上をマグロと呼び、幼魚のメジマグロとともに生で流通する。今季は5月20日ごろからメジマグロが定置網に入っていたという。

他には、春から夏にかけて脂がのる高級魚ノドグロや、岩ガキやタチウオ、マダイなどが有名。盛夏には海水温が上がるため一時的に水揚げ量が少なくなるようだが、大きいカマスやタチウオなどは夏にますます脂が乗ってくる。

秋はカマス、シイラ、アオリイカ(9月・10月・11月)

秋はそのカマス、さらにシイラ、アオリイカなどが旬になる。シイラは脂が乗った白身魚で、私は大好き。焼き魚に最適なカマスはこの時期には非常に脂が乗って最高だ。

そして、秋が深まるにつれて、コゾクラ、フクラギなどブリの幼稚魚が出世しながら回遊してくるのだ。

冬はブリブリ!(12月・1月・2月)

冬の魚(12月・1月・2月)

冬はなんといってもブリブリのブリである。

この時期の富山湾のブリは、これぞ「寒鰤」。最高に旬の状態でいただける。

年末は、正月用にブリの需要が最も高まる。昨年末は12月24日以降毎日2千本超の水揚げが続き、5万本を突破したそうだ。ブランド制度が始まった2011年度以降、5万本を超えるのは2013年度以来11季ぶり3回目。時期的には過去2番目の早期達成だった。

ブリは成長するとともに「コヅクラ」「フクラギ」「ガンド」などと呼び名が変わり、重さが10kg前後になって初めて「ブリ」と呼ばれる出世魚となる。年末の氷見魚市場には10~16キロのブリが所狭しと並び、冬の風物詩となる。12月30日には最後の競りである「止め市」が行われ、氷見漁港は新年を迎えるのだ。

カワハギやサバなどの様々な魚にも一番脂が乗ってくるのが冬だ。イカはアオリイカが減り、ヤリイカが増えてくる。海水温が下がる2月に入ると漁獲量は減少するが、深海から産卵のためにタラが上がってきて網に入るそうだ。

春はホタルイカ、シロエビ(3月・4月・5月)

春に旬を迎える代表格は「ホタルイカ」と「シロエビ」。

生でいただくのが最高の「ホタルイカ」は主に東京に流れるが、「生ホタル」に目がない私、東京で仕事をしていた期間の春は毎日のようにいただき、ずいぶん散財したものである。

一方、富山湾の宝石とも呼ばれる「シロエビ」だが、これほど美しく素晴らしい品質でまとまった白えびが獲れるのは世界でも富山湾だけといわれているとか。

春の魚(3月・4月・5月)

すでにブランド化されているイワシ、他には春の訪れを告げると言われるサヨリ、クロダイも抜群に美味い。

日本一の漁獲種類

道の駅「氷見」と番屋街

駐車場からは、公園、そして漁港が見える。道の駅「氷見」は漁港のすぐそばにある。

氷見漁港に隣接する道の駅「氷見」の番屋街は、氷見の豊かな「食」と「健康」をテーマに、2012年に建てられた。以降地元からも観光客からも愛され、氷見で最も人が訪れる観光地となった。

しかし2024年元日に起こった能登半島地震では氷見市も家屋の倒壊や断水、液状化現象など多くの被害を受けたが、番屋街も例外ではなかった。氷見にとっては一年で一番の観光シーズンの来客を失い、宿泊や飲食をはじめとした事業者への経済的な被害も甚大。コロナ禍を耐え、お客様が戻ってきた矢先の出来事だっただけに、番屋街の人たちは落ち込んだ。

それでも、通水を機に営業再開が進み、番屋街はなんとか施設内の全店舗が営業を再開している。

駐車場は、番屋街の開店時間が迫るに従って、どんどん埋まっていく。路線バスを利用してやってくる人も多い。

トイレは、晩野外の中にいくつもあるが、このトイレは駐車場横の24時間トイレ。
道の駅に到着した早朝の時間帯はこの近くに車を楽々停められたので、仮眠環境としては最高だった。

休憩環境として素晴らしいと思う。
番屋街は広いのだが、随所に腰をかけてゆっくりできる場所がある。

休憩といえば、番屋街すぐ横に天然温泉施設の「総湯」がある。

氷見には沿岸沿いに天然温泉に入れる民宿が点在しているが、総湯は街から近く、地元の方にも観光の方にも人気がある。

無料で利用できる足湯もある。ここの足湯は素晴らしい。

早朝、港から朝日を眺めたあと、番屋街の開店までは時間があった。

足を温めてから車中仮眠したが最高だった。足湯は本当にありがたい。

海の幸のバリエーションに驚く

店内を歩いていると、やはり目に止まるのは様々な形で販売される海の幸。

最高級の「汐ぶり」は、半身で20,000円なり〜。
直売書の女性の笑顔が眩しい。乏しい予算であまりたくさんは買えないけれど、その代わり?心の中で応援しています!

番屋街はいくつかの棟に別れていて、生の状態で販売されている海の幸も多いが、その中にあって「干物」はかなり目立つ。

これほどたくさんのお店があって、大丈夫か?と思いつつ一軒一軒よく見てみると違いがある。お店によって取り扱っている魚種が違ったり、お酒に合うものやご飯のお供にしたいものがセットで売られていたり。自分好みの店を発見するのも楽しいのだと気がついた。

氷見市は街としては小さい規模なりに、酒蔵、ワイナリー、クラフトビールがそれぞれあるので、マニアックな左党からの支持は熱い。

また、地元の人も多いので、農産物もしっかり販売されている。

海の幸のパワーに比べればやや迫力不足の感は否めないが。人気の野菜から順に、棚から消えていく。

「川根茶」を旗印に静岡の幸が進出しているのにはちょっとびっくり。

観光客のお土産の定番は、「氷見うどん」。

平たくて細い面が特徴で、日本3大うどんの一つである。

さて番屋街での食事だが、これがあまりにバリエーション豊富で、何を食べるか迷ってしまう。

お寿司はもちろん、先ほど紹介した氷見うどんや氷見牛を贅沢に使った丼などなど。
手軽に弁当を買う手もあるが、いや、せっかくだから少々値が張ってもより美味しいものをと、とにかく迷う。

3,000円のマグロ丼をいただいたのに、そのあとまた握り寿司を頬張る私。

キトキトの海鮮は別腹なのであった。