
テレビはすっかり見なくなったが、それでも好きな番組がいくつかある。
一番好きなのがNHK「ドキュメント72時間」。この番組を欠かさず見るようになったのは、秋田港の自販機前での72時間に大変感銘を受けたからだ。
突風が吹き荒れる1月の秋田港。その片隅に古びた1台の自販機がある。お金を入れて待つこと25秒、出てくるのは熱々のうどん・そば。設置はもう半世紀も前。元祖ファストフードとして人気だったが、最近は老朽化で機械が故障しがち。しかし、そのぬくもりを求めて24時間客が絶えない。吹雪の中で麺をすする親子。深夜に星空を見上げる運転代行業の男性。極寒の中で食べるうどんから、数々の人生が浮かび上がった。
この「秋田 真冬の自販機の前で」の放送後、大きな反響があり、その後何度も再放送されたし視聴者投票によってなんと歴代1位にも選ばれたので、ご覧になった方も多いのではないかと思う。
放送当時に自販機があった「佐原商店」は2016年3月に閉店してしまったが、2016年4月に「道の駅あきた港」に移転して営業を再開している。当時店主だった佐原さんも道の駅スタッフとして元気に勤務しておられると知った。
いつもの新日本海フェリーに乗って、秋田港に向かった。
私がハゲたのは唐辛子のせい


あったあった、「うどんの自販機」。
早速350円を投入し、「そば」のボタンを押した。(うどんはあとでw)
お金を入れて、待つことおよそ30秒。出来上がったそばをテーブルに運ぶと、自販機奥の扉が開いて佐原さんが出てこられた。
佐原さんは、「佐原商店」の元店主で、現在は道の駅のスタッフ。「うどんの自販機担当」として勤務しておられる。
閉店なさった経緯など野暮なことは聞かず、NHKの視聴者投票で1位になったことに話を向けると、「どごがいいんだがわがらねども、すげぇな、ありがでぇな。頑張ったのは機械で、わだすはメンテしてるだけだあ」とご謙遜。
彼と話しながら唐辛子の蓋を見ずに開けたところ付け根から取れてしまって、一振りすると、そばも、そばに置いていた皿もは真っ赤に!

佐原さんは慌てて新しいのを用意してくれようとしたが、そんなご迷惑おかけするわけにはいかない。
「いや〜私はこれぐらい辛いのが好きで、唐辛子の経費が申し訳ないですよ!わっはっは〜」と嘘を言って、そのまま完食。

実は、CoCo壱でも「いち辛」が限界、林檎と蜂蜜とろ〜り溶けてるハウスバーモンドカレー党な私である。
汗吹き出すわ咳き込むわ胃は燃えるわ頭皮の毛穴開いて毛は抜けるわで、大変だった。

もう一杯うどんを食べて、胃のなかの唐辛子を薄めたが、さらに薄まったのは私の頭。は、ハゲてもうたやないかい〜!
道の駅「あきた港」
道の駅「あきた港」は、フェリーから降りるともちろんすぐだが、内陸部からアクセスする場合は秋田自動車道の秋田北ICから県道72号線→一般道を通って南西に6km。秋田県西部の秋田市土崎地区を目指す。

駐車場はめちゃくちゃ広いが、それでもかなりの台数の車が。



トイレは館内にいっぱいあるが、駐車場から最も近いのがこの24時間トイレ。
駐車場の奥の方にしか停められないと、かなりの距離があるので、たどり着くまでにお漏らしする人は結構いらっしゃるのではないだろうか。




休憩環境としては、申し分ない。てか、この道の駅、広すぎて歩いていたら疲れるんですけど〜w






高さ143mのポートタワー・セリオン
道の駅「あきた港」というよりは、「ポートタワー・セリオン」で名が通っているみたい。ポートタワー・セリオンの高さは143m。も知れない。 タワーの5階部分が展望台になっていて、その高さは地上100mだ。

エレベータの乗り場から、どんどん上がっていく。こ、怖いw

道路を走る車は月並みだが米粒程度に見えるわけだが、展望台に行く価値は、視界がワイドビューになること。そして、日本海に沈む夕日を見るならここは最高で、私には関係ないが「恋人の聖地」に認定されている。

このポートタワー・セリオンだが開業は割と古くて1994年。開業当時は800円の入場料を徴収していたが、ポートタワーの入場者数減少に伴って経営が悪化したので2007年に秋田市が買い取って展望台入場料を無料化し、2010年7月に道の駅に登録された。
今の姿からはとても信じられないが、道の駅登録当時は商業施設が貧弱で「展望台だけが魅力」だったそうだが、2015年の大規模リニューアルがあって、今では県内有数の商業施設を持つ道の駅に生まれ変わって現在に至る。





道の駅の物産館はとんでもない規模
ポートタワー・セリオンの1階部分は、物産館と2つのレストランがある。

めちゃめちゃデカく「あきたびじん」をアピールしてるやん、と思ってよくよく見たら、「あきたびじょん」だと。秋田の魅力を全国に発信する取り組みらしいが、「よ」が小さすぎんだ「よ」。誰が見ても「あきたびじん」だろう「よ」!
さて「あきたびじょん」の張り出しもでかいのだが、物産館はとてつもなくでかい。
私ゃ「いぶりがっこ」と「きりたんぽ」さえ見つかればいいのに、どこに何が売っているのやら、探すのが大変なんだ「よ」!






走り回って、ようやく。大根を燻して漬けた秋田名産の「いぶりがっこ」を見つけた「よ」!

塊で販売されているのが10種類、刻みで販売されているのが10種類、合計20種類のいぶりがっこが販売されているが、今度はこれだけ種類があるとどれを選んでよいのか難しいんだ「よ」!

きりたんぽも見つかった。「きりたんぽ鍋」「稲庭うどん」「秋田諸越」、この辺りまでは馴染みがあるのだが、「恋人はなまはげ」なんて商品もあって、とても気になった。誰が買うか「よ」!

秋田県は日本酒の消費量が毎年全国一二を争うことで知られているが、特に秋田市は日本酒の支出金額・消費量で1位だ。
もし私が秋田市民に生まれていたら、肝硬変かなんかで今頃はとうにこの世にいないだろう「よ」。


どこで食べるか迷うんだ「よ」!
タワー1階にはレストラン「土崎湊屋」、同じく1階に「セリオンキッチン」、 タワーの4階には「セリオンカフェ」がある。


レストラン「土崎湊屋」だが、秋田港直送の新鮮魚介を用いた海鮮料理を味わうことができるいうので名物を尋ねると「海鮮バーベキュー」が一押しだと。獲れたてのあわび、ホタテ、サザエ、ふぐ、エビ、イカをその場で焼いて味わうことができるという。
で、おいくらかと聞くと、あわび2枚、ふぐ2枚、ホタテ2枚、エビ2尾が付いた「ご馳走セット」が5500円なり。さっき自販機そばとうどんどっちも食って、700円だったことを思えば、ちと高い「よ」。

同じく1階にある「セリオンキッチン」は、地元農家が経営するレストランだ。

こちらの名物は「日替わり定食」「八幡平ポークカレー」「えび天そば」あたり。こっそり値段を見ると、おお、リーズナブル。
4階にある「セリオンカフェ」はスパゲティーとビーフシチューが名物だというが、パンケーキやパフェなどのスイーツ類の品揃えが充実。 ま、ここは値段もそこそこ高いが、高さが高い。4階といっても、5階は100メートルの高さの展望台でその一つだけ下の階。ほぼ100メートルの高さで下を見ながらメシを食っても、高所恐怖症の私は美味しく感じないわけで。
高いところが好きな方は多いらしく、すごく賑わっていた。
ということで、結局私は1階に降りて外に出て、出店やキッチンカフェでいただくのが落ち着くんだ「よ」!




ソフトをぺろぺろしながら、秋田港を散策。
風は写真に写らないけど、風、けっこうきつかったんだ「よ」。

