
朝もやを切り裂くように東の尾根から朝日が差し込み、山にはシカ、サル、イノシシ、リスが、川にはアユ、アマゴ、イワナなどの水生生物たちが豊かに棲む東白川村。
岐阜県の東部の深い山林の中にある人口2,000人余りの小さな村だ。
明治初年、新政府による神仏分離令に端を発した廃仏毀釈運動で仏教建造物のほとんどが破壊されて以降、この村においてはなんらの再建がなされなかったために、全国でも珍しい「お寺のない村」であり、また「日本一美しい村」の一つにも数えられている。
この東白川村を中心に東濃地域で産出される木材は、伊勢神宮の式年遷宮で御神木として使用されることで有名だ。
東濃地方と呼ばれる美濃東部(裏木曽とも呼ばれている)には先人達が自生の苗木を補植し、また樹間に自生した苗木がそのまま天然に育って「東濃桧」「東濃杉」の源となった。
そして室町時代から最高品質の木材産地として有名になり、江戸時代には尾張藩の飛地領として保護されてきた。
裏木曽山系の山々から湧き出た谷水は、清流白川となって村を東西に横断し、飛騨川、木曽川へと流れていく。鉄道の開設と道路の開発が遅れた当地方では重量物である木材の運送は、もっぱら河川を利用しての流送であった。
その白川を源流へと遡って、東白川村に行ってみた。

「東濃ひのき」と「長良すぎ」
岐阜県で1番小さなこの村は、標高1,000m級の山々に囲まれ、村の中央には東西にかけて白川が貫流し、白川およびその支流沿いに集落が点在している。
雨上がりに、山々や白川から発生した霧が桜と村を覆う幻想的な景色はとても美しい。

村の空気はとても澄んでいて、この地域の恵まれた地質とヒノキの生育域の北限に近い気候により、全国屈指のヒノキ生産地となっている。
ここのヒノキの特長は年輪幅細かく均一で芯が円心近く、材質はピンク色で艶があり、香り高い。また、木目の美しさ、粘りの良さなど数多くの魅力を持ち合わせている。なお、この地域で産出した桧を、平成3年より地域ブランド『東濃ひのき』と言うようになった。

また、杉の品質も最高で、東濃杉は、各種建材として使用されている。
美しい木目はもちろんのこと、最も特徴的なことは、粘りが強く加工しやすいこと。また、赤身の部分は湿気に強く、雨の多い地域の木材として適している。木目を活かし、木材がそのまま見える場所でも使用でき、杉の香りにはリラクゼーション効果、抗菌作用も認められていて、癒しの効果もある木材として貴重である。
なお岐阜県内で産出した杉は、岐阜県ブランド『長良すぎ』と言っている。
道の駅「美濃白川 クオーレの里」
東白川村から、白川に沿って下流に降ると、飛騨川との合流地点の少し手前に道の駅「美濃白川(清流)クオーレの里」がある。

東海環状自動車道の美濃加茂ICから国道41号線を北東に24キロ、更に県道62号線を東に4キロ、 大自然のど真ん中に、キャンプ、アウトドアの施設として平成5年にオープンした施設だ。



特徴の一つは、道の駅が2つのエリアに分かれているところ。
一つは「アウトドアエリア」、もう一つは「さかなワクワク公園」。両者の距離はおよそ500メートル程離れているが、 道の駅看板と道の駅スタンプは両方のエリアに存在する。
駐車場は数多く準備されているが、総合受付前の数台分の駐車スペース以外は有料駐車場なので注意が必要だ。





トイレは、もちろんどちらのエリアにもある。



休憩環境としては、歩きすぎると逆に疲れてしまうほど広いが、長時間かけてのんびりするのには適していると思う。











食事を楽しみたい人は「さかなワクワク公園」エリアへ
「アウトドアエリア」はキャンプを楽しむエリアで、宿泊のためのコテージやオートキャンプ場も用意されている。 入り口付近には総合受付があり、ここに少しだけ物産品販売が行われているが、レストランはない。
一方、「さかなワクワク公園」の方には物産館もレストランもあって、道の駅らしい施設をなっている。
地産の「あんしん豚」の「バーベキュー」も楽しめるし、「マス釣り」コーナーでは釣った魚をその場で焼いて食べることもできる。