
米どころとして有名な新潟には棚田も多い。
十日町市には特にたくさんの棚田があって美しい田園風景の宝庫なのだが、春の訪れは棚田の標高や地形でまちまちだ。同じ十日町でも、ずいぶん残雪の状態が異なるのだ。残雪どころか寒波が戻ってきて天候が悪化すれば、また冬に逆戻りするようにも感じるところすらある。
まず、令和4年2月に農林水産省より棚田地域の振興に関する取組が評価され、優良な棚田として「つなぐ棚田遺産~ふるさとの誇りを未来へ~」に認定されている「儀明の棚田」へ。
ここは畔で育った山桜で有名だが、比較的残雪が少なく、幸い桜は開花し始めていた。

しかし、十日町を代表する棚田として有名な「星峠の棚田」はまだたくさんの雪が残っていて、駐車場・展望台まで車で進入できないため、残念ながら見ることができなかった。
大型バス、一般車両ともに雪のためUターンができないので、強引に進んだとしても引き返すのが難しいと言うことだった。

今回縁がなかった「星峠の棚田」は、大小様々な水田約200枚がまるで魚の鱗のように斜面に広がり、 季節によって様々な表情の絶景に出会える。

「にいがた観光ナビ」から写真を2枚お借りしたが、もう少し日が経って雪がとけ田に水が張るとこのように息を呑むほどの絶景が見られるのだ。

ここは標高が高く、道幅の狭い峠道を「対向車よ、来ないでくれ」と祈りながらせっかく登ってきたのだが、突然「進入禁止」の表示。棚田はまだまだこの先なのだが、残念ながらここまで。
日陰を中心にまだたくさんの雪が残っていて、棚田は雪の下で春の目覚めを待っている状態らしい。

日差しが強い美人林は雪の上に芽吹きが
一方で、同じ残雪の中でも木々の芽吹きが始まって、林内に野鳥の声が響き渡っている場所もある。
松之山地域にある美人林だ。



桜の木の根元は雪に覆われているのだが、桜の開花はなんとか始まっていた。



同じ十日町エリアにある大井田の郷公園では、すっかり雪解けが進んで、桜が咲き始めている。
中里にある日帰り温泉施設「ゆくら妻有」
ゆくら妻有の日帰り温泉に寄った。
ここの温泉はかけ流し。加熱も循環もせず温泉をそのまま湯船に引き込んでいる。
当然、季節や天候によって温度に変化が生じるが、自然のままを優先。その良さが際立つ温泉だ。



露天風呂からは、清流「清津川」が見え、風呂上がりには隣接する清津川フレッシュパークに行って、残雪の中で開花が始まった桜も楽しめた。
十日町の絶景巡りの拠点となった道の駅
関越自動車道の六日町ICから国道253号線を通って西に30km、 新潟県南部の旧松代町(現十日町市松代)に、道の駅「まつだいふるさと会館」がある。

道中、季節外れの寒波の影響で急に天候が悪くなり、景色はとても春とは思えないものとなった。



道の駅「まつだいふるさと会館」は、北越急行(通称「ほくほく線」)のまつだい駅に直結する道の駅だ。 本数は少ないけれど、電車だけでも訪れることができる場所になっている。






道の駅には、鉄道ファン、そして松之山温泉や十日町の棚田めぐりの観光客たちが集結し、山奥にありながらかなり人気の道の駅となっている。


だから、第1駐車場はほぼ満杯の状況。道路を挟んで東側には第2駐車場があって、そちらに向かおうとしたが、ちょうど空きが出て、なんとか第1駐車場に停めることができた。

トイレは、多少古い施設であっても、日々の手入れ、清掃で長く使えると言うことを証明してくれているよう。ありがたく使わせていただいた。



休憩環境は、冬が長い十日町だけに、屋外よりも屋内が充実している。











1階に物産館とコンビニ、2階にはレストラン
道の駅の物産館はそんなに大きくないが、十日町、松代町ならではの商品がしっかり選べるようになっている。

まつだい駅の仮想駅長「松代うさぎ」がデザインされたクリアフォルダーやハンドタオル、鉄道缶など「ほくほく線グッズ」に、鉄道ファンが群がっていた。

松代名物の「あんぼ」は、杵つき餅の中に「あんこ」「ピーナッツ味噌」「大根菜みそ炒め」の3つの具材を入れた昔ながらの餅菓子だ。松之山温泉の名物「しんこ餅」、松代の伝統銘菓「黒糖まんじゅう」などもある。
「妻有ポークウインナー」「妻有ポークのロースワイン漬け」「妻有ポーク山賊漬け」など、温泉を楽しんできた妻有(つまり)の地のブランド豚肉を使った商品等の加工品や、「雪国ジビエ」と銘打った鹿肉、猪肉、熊肉など、肉類も充実している。
食堂「きくやキッチン」

施設の2階には、食堂「きくやキッチン」がある。


ここの名物メニューは「妻有ポーク」を用いた「カットステーキ丼」、豚焼肉とキムチをご飯に乗せて温玉をトッピングした「まかないプレート」などがあるが、車麩を使った素朴な料理もおすすめだ。
車麩は新潟の郷土料理にはお馴染みの食材だが、この丸い車麩を卵で綴じた「車麩の月見丼」、 車麩を食パンに挟んだ「車麩サンドウィッチ」などがある。
コンビニもある。 鉄道利用者も多いから、欠かせないだろう。

