今日からP.リードのアイアン <30th.R=81(31)@道の駅「銀の馬車道・神河」からまさか3分の粟賀GC>

「マスターズ2024」は、S.シェフラーの2度目の優勝で幕を閉じました。
飛距離で私の1.5倍以上飛び、何もかもがレベチだし、コースも別格。
世界トップランクの選手だけが招待され、我々とはまったく別次元の、まさに世界最高レベルで競われているのがマスターズ選手権です。
睡眠時間を削って血眼でテレビ観戦したところで、得られるものはあまりないのですが(笑)

それでも。
未明には起きて最終日を観戦し、6時には車のナビ画面での観戦に切り替えて、眠い目を擦りながら自分がプレーする「粟賀ゴルフ倶楽部」へと車を走らせたのでした。

「同じショットを続けるだけのリードは強い」

6年前、「マスターズ2018」はパトリック・リードの初メジャー制覇で幕を閉じた。

(写真は本日のマスターズ2024」での彼のショット)。
彼がマスターズを制した6年前、私は東京で仕事をしていて激太り、心筋梗塞で倒れる直前だった。
毎日のように狭心症の発作を起こしていてとてもゴルフどころではなかったし、そもそも東京にはゴルフクラブさえ持って行ってなかったので、結局丸々6年間ゴルフから遠ざかっていた、そんな2018年のP.リードのマスターズ制覇だった。

ラーム、ファウラー、スピースがド派手なプレーで猛追する展開。リードもプレッシャーがあったのか、前日に78%だったパーオン率が56%にまで低下。フェアウェイキープ率も79%から57%に悪化したが、パッティングだけは4日感ずっと安定していて、結果逃げ切った。

グリーン上の勝負で安定していれば、多少のショットの乱れはカバーできることをリードは教えてくれたのだ。

リードのアイアンは全部フィニッシュがここで終わり(GettyImages)

パッティングもさることながら、私がリードのプレーに魅入ったのは、アイアンショットだった。
リードのアイアンは、何番アイアンを持とうが、フィニッシュがここで終わりなのだ。アイアンが全部同じ打ち方で、振り切らないというか、コンパクトで、フィニッシュが小さくいつも同じ位置なのだ。100%に近いようなフルショットはウッドでもほとんどなく、柔らかいショットばかりだった。

動きが柔らかいからショットが曲がらないし、プレッシャーにも強い。

今日勝ったシェフラー選手はインテンショナルなショットを自在に操ったが、リード選手はそうした高度な技はほとんど使わない。

見ている方としては、完成度がより高いシェフラーもそうだが、スピースやファウラーのような派手でパワフルかつスピーディーな選手の方が面白い。しかし、いいスコアで回ったものが勝つのがストロークプレーなのだ。そういう意味で、リード選手はまさに玄人好みの選手で、彼が小太り体型であることにも親近感を感じた私は2018年、彼のプレーにとりつかれたのであった。

リードのクラブ契約はフリー

リード選手(Patrick・Reed)は、クラブの使用契約を一切しないことで知られている。
現在リード選手が使用しているアイアンやウェッジ、パターは全て彼とgrindworksで共同開発したものだが、それでもgrindworksとの間でクラブの使用契約は結んでいない。

リード選手とgrindworks、そして代表者でありクラブデザイナーの新美氏との信頼関係のもとでwin-winの関係が成り立っているという。 

grindworksは会社設立は2015年と歴史は浅いものの、グラインドワークスの他にもシャフトブランドであるAJapaや主に海外向けのブランドであるSAKURAなどのブランドを持つ、沖縄に本社を構える「地クラブメーカー」である。

そのgrindworksが、マスターズの優勝者であり、長年PGAのトップ10に君臨しているリード選手と共同で設計したアイアンPR-202こそ、私が今日から使うアイアンセットである。

正確で再現性の高いパンチショットのために

PR-202の開発に際してリード選手がgrindworksに要望したことは、第一にマッスルバックに比してやや高い弾道が必要だと言うこと、第二には、パンチショットやスティンガー(低い弾道)ショットにも使用できる柔軟性が必要であると言うことだった。

スタンスのやや後ろ側に置かれたボールを少し閉じ気味のフェースでパンチショットを打つと、閉じたフェースは自然に左を向くため、ボールは左に向かって飛び出す傾向がある。私はそうしたパンチショットを多用するので、そのフック球を抑える設計になっているこのアイアンに惚れ込んだのだ。
オーバーローテーションを最小限に抑えるためには水平線上の重心位置をトウ側に移動するのだが、そんな単純な解決方法ではさまざまな「副作用」が生じる。ヘッドの形状、ヘッドの移動の仕方、オフセットの数値、トウとヒールのグラインドなどを総合的に改善し、重心が安定しているだけでなく、インパクト時にヘッドをできるだけ直角に保ちながら、アイアンが芝ときれいに相互作用できるグラインドの作成が必要なのである。

総合的な解決方法は企業秘密らしいが、完成したPR-202はツアーのトッププロによってすでに使用されており、新しいグルーブルールに準拠しているとしてR&Aによってすでに承認されている。

PR-202の筆おろしは粟賀GC

と言うわけで、2024年4月15日。
粟賀ゴルフ倶楽部で、私はPR-202の筆おろしをした。

スコアにこだわるならユーティリティを使うべき距離でも、敢えてアイアンを使った。

今日は、とにかくコースでのPR-202のショットパフォーマンスを確かめたかったのだ。

スコアは41、40のトータル81(31パット)だったが、スコア以上の「アイアンのキレ」が出た。
「エージシュート」は遥か彼方にあって、到底手が届かない。
しかし、その達成に向けて新しいアイアンを手にした今日。

のちに、大いなる「転機」となった日であったと。そう振り返ることになるのではないかという気がしている。