但馬牛は、松阪牛や神戸牛などの近畿圏のブランド牛の素=源泉=ルーツとなる牛の品種です。 100年以上前から牛籍台帳による個体管理が行われ、黒毛和牛の中では全国で唯一、異なる血統が混入していないという純血性が証明されています。 その希少性が評価され、2019年2月に畜産部門では日本初となる日本農業遺産に認定されています。
古い文献によると、1670年代に西日本を中心に発生した疫病により殆どの牛が死に絶えたその中にあって、 但馬牛は奥深い山間の環境が幸いして疫病が入ってこなかった、そのため現在まで血統を守ることができたとあります。
無料の高速道路・北近畿豊岡自動車道の八鹿氷ノ山ICから国道9号線を西に23kmほど走ったところに、道の駅「村岡ファームガーデン」があります。ここは、但馬牛を誕生させた兵庫県北西部の旧村岡町(現香美町村岡区)。近年は交通網がずいぶん整備されたとはいえ、町の四方を山々に囲まれていることは昔と変わらず、今なお交通の便がかなり悪い場所です。
件の古い文献にあるように、四方を山々に囲まれて周囲と遮断、あるいは隔離されたようなこの地の立地環境が、もし疫病の侵入すらも許さなかった、そして和牛の歴史を築いた「但馬牛」を誕生させたことに繋がったというのなら、とても興味深いことです。
あなたは純血性100%の但馬牛にいくら出す?
道の駅「村岡ファームガーデン」は、その但馬牛を満喫できる道の駅だ。
最高級の但馬牛肉を購入したり、レストランで味わったりすることができる。 ただ、但馬牛はやっぱり高い。高くても、保証された純血性に何よりの価値があると思う方なら、ここで本気で満喫して1人で2万円かかろうとも、家族4人で5万円以上払っても、ここなら産地を疑う余地もなく納得できるだろう。
ロースは1万円〜、ヒレは1万4千円〜
道の駅「村岡ファームガーデン」のレストランでは、但馬牛の高級ステーキを味わうことができる。
人気メニューは但馬牛を食肉用に肥育した「肥育牛のロースステーキ」。値段は150gで1万円〜、180gだと1万2千円はくだらない。 「肥育牛のヒレステーキ」は更に高価で、140gで1万4千円〜。
少しランクを下げれば、肥育牛ではなく、繁殖用に育てた「母さん牛のヒレステーキセット」が140gで7700円。サイコロステーキセットは5800円と安くなる。
さらに安く食べたい人には、天気予報に応じて料金が変わる冬限定メニュー「たじま牛すき焼きランチ」と「たじま牛チゲ鍋ランチ」を狙う手がある。1日30食限定で期間限定(ランチタイムは午前11時~午後3時、対象期間は来年2月末まで)。
晴れや曇りの日はいずれも3,800円だが、雨の日は1,000円引きの2,800円、雪の日は2,300円に値下げする。さらに大雪の日は2,000円、大雪警報の日はなんと半額以下の1,500円で食べられるというのだ。
その日の料金は、日本気象協会公式のメディア「tenki.jp」の午前8時時点の予報で決まるらしく、「晴れのち雪」「晴れ時々雪」など、通常料金と割引の天気が混在する場合は、料金が安くなる方を適用してくれるそうだ。
毎日、レストランの入り口には天気予報の結果と価格を表示される。
いずれのランチも、但馬牛の肩ロースとウデ肉計150グラム(写真)のほか、野菜、ご飯、みそ汁、漬物、小鉢で、すき焼きは生卵と締めのうどん、チゲ鍋の締めにはラーメンが付く。
天気予報と睨めっこするのが面倒くさく、質は落ちても安い方がいいという方のために、レストランでも但馬牛を使った千円台のメニューはある。
たとえば「但馬牛丼」は1,100円、吉野家なら2杯食べられるが。「但馬牛スタミナ丼」は1,450円、「但馬牛ホルモン焼うどん定食」は1,700円、 「但馬牛皿定食」は1,750円、「但馬牛ビーフカレー」はとても安くて千円切りの900円だ。 これらのメニューは「但馬牛コロッケ」「すごまん」とは違ってはっきりと但馬牛肉の味、食感を感じることが可能である。
あ、忘れてはいけない。そば屋さん、中華そばもある。
私的には量より質
下の写真は、テイクアウト限定の「たじま牛“choi焼”」の特上カルビ(写真)。
紙コップに分厚く切った焼き肉50グラムが入る。肉はバラ(440円)、モモ(580円)、特上カルビ(860円)の3種類あって、「本格的な焼き肉を試食したい人や、食事時間がなくて少しだけ食べたい人にお薦め」だそうな。こちらは売店で、午前11時~午後2時半の時間帯で注文を受け付けている。
汚い話だが、いかなる高級品も、翌日には同じウン●である。
但馬牛がどれだけ美味いのかを確かめるなら、質を落としまくるよりも、1,000円かからないこの量でいただくことを選びたい。
コロッケは190円、すごまんは312円
道の駅の物産館で人気No.1商品の但馬牛コロッケで我慢する手もある。
冷凍された状態で6個入り1,020円。 レストランではホクホクの状態で1個210円で味わうこともできる(決してスーパーのコロッケの値段と比較してはならない)。
但馬牛肉を使った肉まん、その名も「すごまん」は1個312円。
こちらは物産館の売り上げ第5位の人気商品だ。
お土産用の但馬牛もピンキリ
お土産に但馬牛肉を買って帰ろうなんてリッチな方は、本駅の精肉販売コーナー「牛将」へ立ち寄るといい。
肥育牛のヒレステーキは150g×4枚で27,220円、サーロインステーキは150g×4枚で21,390円。 母さん牛(経産牛)のヒレステーキは150g×4枚で20,420円、サーロインステーキは150g×5枚で17,010円。
」高級但馬牛肉のお土産ならここだ。
但馬牛肉を用いた加工品なら手頃な価格でお土産にできる。
「但馬牛そぼろ」「但馬牛モツ煮込み」「但馬牛カレー」「但馬牛めしの素」「但馬牛醤油ラーメン」「但馬牛ちりめん佃煮」「但馬牛肉みそ」「但馬牛肉ポテトチップス」「但馬牛せんべい」など挙げればきりがないが、職場にお土産を持って帰り、「おい、但馬牛だぞ但馬牛!」と威張りたい人はこれで十分。
浜ちゃん司会のテレビ番組「芸能人格付けランキング」でもわかるが、どうせ、但馬牛のランクなんぞほとんどの人にはわからないのだ。
但馬牛肉以外の特産品
牛肉の話ばかりしていると、ここには但馬牛しかないのかと思えてくるが、実は但馬牛以外の商品もちゃんとある。
道の駅「村岡ファームガーデン」物産館の売り上げ第2位になっているのは、実は「七美(ひつみ)のきんつば」なのだ。
地産の美方大納言小豆を使ったきんつばで、 さっぱりとした甘さが特徴。1個130円、10個入り1300円、道の駅で買えるのはここだけという商品である。
売り上げ第3位は「美方ルビークリーム大福」。これまた美方大納言小豆を使用した大福で、ふんわりとしたクリームとしっかりとした小豆餡が特徴。 こちらは1個200円、5個入り1200円で販売されている。 その他にも「美方大納言ミルクジャム」「かりんとうまんじゅう」「栃の実ゆべし」等を販売している。
新鮮な地元の野菜もお米もちゃんと販売しているのでご安心を。
一点豪華主義で贅沢を極めた食事後に車中泊ってどうよ
仮に、食事に2万円注ぎ込んだとして。その後、車に戻る。
当たり前だが、こちらの駐車場は広く、そして無料である。そのタダの駐車場で車中泊する感覚って、ちょっと想像できない。
私なら同じ2万円があれば、食事1万円とホテル1万円に分けるだろうな。
まあ、ごちゃごちゃ考えずに、この道の駅で仮眠しやすいかどうかをチェックしてみよう。
場所によっては少し傾斜があるものの、大半はほぼ平坦。仮眠するには支障はない駐車場だ。
ただ、駐車場は国道9号線に面しているため、また、四方を山に囲まれているためか、車の音はしっかり聞こえる。神経質な人は気になるかもしれない。
大型のトラックも少なく、トラックの大きなアイドリング音は聞こえない。曜日、時間帯によってはトラックが何台も入ってくるのかもしれないが。
トイレは満点
トイレは、これも当たり前だが男子トイレ・女子トイレ・多目的トイレの3種類。トイレットペーパーもちゃんとあって無料だ(但馬牛の価格帯で頭がインフレを起こしているので、タダであることがどれほどありがたいことかを痛感)。
トイレは新しくても汚れている道の駅もある中、清掃が徹底されていて、とても清潔な印象を受けた。100点じゃないかな!
休憩だけの立ち寄りも、もちろんOK(笑)
タダでできる(笑)休憩スペースもちゃんとある。ご心配なく(笑)