
能登半島を南北に縦断する無料の高規格道路「のと里山海道」。 この大動脈の復旧は何より急がれているが、まだ片側1車線の区間も多く残り完全には復旧していないことが、能登半島の復興スピードが遅い要因の一つとなっている。
この道の南部を、並行して走るのが「千里浜なぎさドライブウェイ」だ。
2024年3月3日までこの道も全車両が通行止めとなっていたが、2024年3月4日からは天候が悪い日を除き、通行止めは解除となっている。
また冬の荒天時は通行止めとなり、天気が良ければ通行できる、お天気次第というのがこの道の特徴だ。
というのも、「千里浜なぎさドライブウェイ」は日本では唯一、世界でも珍しい波打ち際の「砂浜」を自動車で走ることができる道なのだ。 カーステ(古い?)を鳴らすなんて野暮なことはやめて、打ち寄せる波の音をBGMにドライブを楽しむのがいい。
砂地を走ると聞くと不安を感じる方もいるかも知れないが、路面はかなり踏み固められているので意外と大丈夫。 タイヤが砂まみれになるのが嫌な人も、ドライブ後に道の駅「のと千里浜」に立ち寄れば「タイヤシャワー」があるので、足回りを綺麗に掃除することができる。

このたびの能登半島の旅は、この「千里浜なぎさドライブウェイ」を北上してから、内陸部へと入っていった。
柴垣海岸あたりを境に震度が違った
ところで令和6年能登半島地震の最大震度は7という激烈な揺れだったが、ドライブウエイの北端にある紫垣海岸あたりを境に、そこから南の地域の震度は概ね5以下であった。

上の画像は、令和6年能登半島地震の震度の状況(サイエンスポータルのサイトより引用)だが、千里浜より北東方面は深度6〜7とひどく、その地域にも伸びる「のと里山街道」もズタズタに寸断された。
特に輪島市周辺の土地は西南西方向に約2mも移動し、垂直方向に約1~1.3m隆起した。珠洲市周辺でも、南西方向に約95cm移動。垂直方向では約0.9~1m隆起している。
富来、穴水、能都、能登島でもほぼ同じような状況だ。
一転して、七尾市や志賀町は沈下した。-13cm~-31cmの範囲で沈降がみられ、能登半島南部~金沢~加賀では水平方向、垂直方向ともに3cm未満の変動があった。
能登半島と園周辺海域の地殻構造
能登半島は、約250~2,300万年前(新第三紀)に形成された堆積岩と火山岩からなる山地・丘陵地が大部分を占めている。
海岸沿いに点在する約1万年~250万年前(第四紀更新世)の段丘地形と1万年前以降(第四紀完新世)に形成した河川沿いの小規模な低地の両方の混在が特徴だ。
後期中新世には南北圧縮による逆断層と褶曲が発達し、その後、第四紀に東西圧縮による変形を受けているが、これらの変形は日本海が拡大していく過程で顕著だったようだ。
能登半島以南での地殻変動の状況は?
こうした太古からの歴史は、現在では千里浜なぎさドライブウェイの羽咋市柴垣海岸辺りに垣間見える。
この海岸で、海岸線の景色はガラリと変わるのだ。

北部は岩場、南部は一転して砂浜である。

今回、ドライブウエイあたりの震度は5強。付近の地殻変動は水平方向で約2.4cm、垂直方向で約2.6cmの沈降であった。
この結果、千里浜なぎさドライブウェイの砂浜は約6センチ程度狭くなったようだ。
しかしこれは満潮や干潮での差に比べれば小さなものだし、このドライブウエイの通行に関してはほとんど影響はないように思われる。
「千里浜なぎさドライブウェイ」のススメ
千里浜なぎさドライブウェイは、砂丘の上を走っている。
ここの砂地は地盤が硬いので、地震の揺れには強い。

ドライブウェイの砂浜は、数センチ程度の沈降で済んだので、走行のコンディションは地震前と変わらない状況だ。
風がよほど強くなければ、(波が高くなければ)普通に通行可能である。


走行する時間帯は日中もいいが、夕方が最高だ。
晴天の日没前に走れば、絶景が見られること間違いなしである!
カーステ(古っ)でイーグルスのホテルカリフォルニア(古っ)を大音量で流し、涙する、そんな私であった。

今年は梅雨も早々にあけたことだし、みなさんもぜひドライブを楽しんで、能登半島でたくさんお金を使って欲しい。
道の駅「のと千里浜」
道の駅「のと千里浜」は千里浜なぎさドライブウェイの途中にあるが、「のと里山海道」の千里浜ICから東に200mのところなので、そちらからもアクセスできる。


駐車場の車の台数からは、人気の道の駅であることがわかる。

トイレはシュッとしている。ゴミの持ち帰りは道の駅利用の大原則だが、ここで買ったものをこうして回収してくれる用意があると、それはそれで助かる。



休憩環境としては申し分ない。


なんといっても、足湯があるのがいい。足湯は、駐車場のすぐそばだ。



どでかい砂像には驚いた。

その砂像の隣で、炎天下の中、職人さんが小さな砂像づくりに黙々と取り組んでいた。お疲れ様です。



おしゃれなカフェもあって、言う事なし。
地元の銘菓「おだまき」が名物
道の駅には、物産館、農作物直売所、レストラン、足湯、そして焼きたてパンが自慢のベーカリーがある。

それぞれの施設は比較的大きい。でも大き過ぎず小さ過ぎず、農産物直売所にしても物産館にしてもちょうど買い物がしやすい、程よい規模だ。



物産館に販売されている売り上げトップ10は、 第1位「おだまき」、第2位「紅はるかちっぷす」、第3位「のとししカレーパン」。 以下「千里浜ブレンド」「能登のはとむぎ茶」「地産トマト」「能登ポテチ」「能登塩サイダー」 「いがら饅頭」「地産の平飼い卵」と続いており、それら能登産の商品が競い合うように並べられている。



売上第1位の「おだまき」は作家の「小田マキ」ではない。上新粉の中に粒あんが入った地元の伝統的な銘菓である。第2位の「紅はるかチップス」はさつまいもの紅はるかをスライスして揚げたもの。 第3位の「のとししカレーパン」は、揚げパンの中のドロドロのカレールーの中に猪肉のミンチが入っている。
レストランでは「牡蠣ごはん」が人気

本駅のレストランの名前は「のとののど」、 漢字にすると「能登の喉」。店名の通り、能登地方の料理提供に徹している。

レストランでも人気メニューのトップ10が掲示されている。
第1位は「牡蠣ごはん」、第2位は「ステーキ弁当」、第3位は「千里浜おにぎり弁当」、 以下「のと天重」「のとソースカツ丼」「姫懐石弁当」「油淋鶏丼」「ステーキボックス」「のとあさりおこわ」「炙り豚角煮弁当」と続く。
この順番の通りオーダーが入るとしたら、仕入れも無駄なくできるだろう(笑)。
デザート類は「マルガージェラード」で。

羽咋米を使用した「羽咋米クリームチーズジェラード」は濃厚で、道の駅の名物となっている。