北近畿豊岡自動車道は、兵庫県の丹波市から豊岡市を結ぶ無料高速道路(一部に有料区間はあります)です。 そのほぼ中間点の山東パーキングエリア内に北近畿豊岡自動車道の休憩スポット道の駅「但馬のまほろば」はあり、国道から入ることも可能です。
この「播磨地方と日本海」をつなぐ南北の道と、「丹波地方と但馬地方」をつなぐ東西の道が交わる兵庫県のほぼ中心部にある朝来市は、日本海側の稲作文化、ブランド和牛「但馬牛」など、兵庫県が誇る良質な農畜産業の拠点です。また、生野鉱山が開かれていた明治時代には物流経路を確保するために「銀の馬車道」と呼ばれる日本初の高速産業道路が築かれましたが、朝来市は鉱員たちや道路工事の作業員たちに支えられて発展した側面もあります。
そんな朝来市にある道の駅「但馬のまほろば」は、2005年に道の駅に登録されています。「但馬のまほろば」の「まほろば」とは古墳時代に使われ始めた古語で、「すばらしいところ」という意味です。
但馬名物の品ぞろえが充実しているというだけでは「まほろば」とまでは名乗れないでしょうが、この辺りは半径20キロ以内に10の道の駅が乱立する道の駅密集地帯。その中で、この道の駅「但馬のまほろば」が 集客、売り上げの両面でほぼ一人勝ちの状態なんだとか( 年間200万人の客を集める超人気の道の駅)。だから「まほろば」という名が相応しいのでしょう。
人気の理由は抜群の立地と施設の規模でしょうか。 やはり無料高速道路と一般道では圧倒的に交通量が異なります。 人が来るから施設が充実するのか、施設が充実しているから人が来るのか、いずれにしてもそんな好循環が生じているようです。
こうして但馬地方の盛りあがりに貢献している実績と姿勢が評価され、2015年には国土交通省から全国に数多くある道の駅から35カ所しか選ばれない重点「道の駅」に認定されています。
多数の来客に対応した駐車場とトイレ
駐車場は、広すぎるぐらい広いという印象。何せ年間200万人が訪れるというから、休日などは満車に近くなるのだろう。
そんな規模にしてEV充電が1台だけというのはどうなんだろう。こういうところからも、EVが普及する日はまだ遠いと思わざるを得ない。
トイレも、来客数に応じて充実しているのだが、駐車場が馬鹿でかいので、停める位置によっては、トイレはかなり遠くなる。そういう意味では、仮眠を目的とする人に適している道の駅ではないと思う。
一方、ちょっと休憩というのが目的なら大丈夫。つい、予定より長居をしてしまうほど休憩環境は充実している。
色々なコーナーがある物産館
駅施設は物産館、農作物直売所、レストラン、フードコートと入場無料の埋蔵文化財センターから成る。
物産館では、目玉商品ごとにコーナーに分けられて商品が販売されている。 目玉商品のコーナーは7つある。
まず、「岩津ねぎコーナー」がある。岩津ねぎは、青葉から白根までやわらかく、甘みがある。天ぷらや焼きねぎ、すきやきなどにぴったりで、旬は11月中旬~2月下旬。
それ以外の時期は加工品がいろいろそろっている。
岩津ねぎを使ったスープ、ラー油、ドレッシング、ラーメン、ポン酢、ビーフコロッケ等が販売されている。
「但馬牛精肉コーナー」ではA4~A5クラスの「但馬牛」を買うことができる。
「但馬牛」とは兵庫県内で生まれ、厳しい定義にあてはまる生後28か月以上から60か月以下の牛のこと。上質なサシ、引き締まった肉、濃厚な甘みなどで知られ、海外にも愛好家が多い。ここには、特大のサーロインのほか、すき焼きやしゃぶしゃぶ、焼き肉用などの「但馬牛」置いている。他にもコロッケ、餃子、牛すじとろ煮、肉みそ、しぐれ煮、カレー、牛肉入りちりめん佃煮等を販売している。
「黒豆コーナー」では甘納豆、チーズケーキ、餅、パイ、ココア等が。
「竹田城跡コーナー」では本駅オリジナル商品の「天空の竹田城ロール」を始めとした土産品が10種類以上販売されている。
「そばうどんコーナー」では出石そば、夜久野そば、丹波黒豆うどん、朝来さのう高原うどん等。
「但馬の洋菓子コーナー」ではチーズタルト、スウィートポテトタルト、カマンベールワッフルケーキ等。
「地酒コーナー」では香住鶴、竹泉、但馬などの日本酒が販売されている。
本当にどれを選べばよいのか困るくらいの多彩な品揃えである。
あくまで私の独断と偏見で、オススメを3つだけ紹介します。
1 岩津ねぎラー油:朝来市特産の岩津ねぎを使用したラー油。ごま油の香りとネギの風味で、ご飯が進んで仕方ない。ラー油が苦手なら、岩津ねぎを使ったソーセージやドレッシングを。
2 こうの卵:コウノトリをテーマにしたお菓子で、新鮮な卵とミルクを使用。フワフワしっとりの食感がいい。同じコウノトリブランドの米粉と新鮮な卵を使用した米粉バウムクーヘンもいい。
3 アーモンドブリュレ:「五つ星ひょうご」選定商品。搾りたてのジャージー牛乳と生クリームをたっぷり使用したアイスプリンは、香ばしいアーモンドのトッピングが魅力。
充実ぶりが際立つ農作物直売所
朝来市の農産物を中心に、酒、味噌、醤油、パンまで幅広販売しているのが〈土産・農産物コーナー〉だ。
春にはキャベツ、夏にはピーマン、朝倉山椒、秋には新米や黒豆、冬には岩津ねぎと、年中、但馬地方の特産品が並ぶ。その充実したラインナップの理由は、朝来市の生産者さんたちの集まり「産直の会」としっかりと結びついているから。本駅の生産者の登録数は389名もおられ、道の駅とこの「産直の会」はコミュニケーションが密接で、常に品揃え、質ともに充実しているから、いつ来てもお客さんは新鮮でおいしい、季節の朝採れ野菜を手に取ることができるという。よく見かける普通の野菜が数多く販売されている中、お隣の丹波市の特産品である黒豆の販売も目立っていた。
おみやげのエリアには、岩津ねぎ、朝倉山椒、但馬牛などの関連食品がずらり。食卓で使いやすい瓶詰やふりかけなどのほか、ハヤシライスやカレーなどのレトルト類もバリエーション豊か。
茶すり庵
「茶すり庵」は、特にランチタイムはごった返す道の駅のレストラン。かつては手頃な価格で食事を楽しむ場所だったそうだが、2023年7月に大胆にリニューアル。ステーキやハンバーグなどの、高級感あふれる「但馬牛」メニューをオーダーできるお店へと生まれ変わっている。
メニューの中心は、但馬地区の3つの肉、但馬牛、但馬豚、但馬鶏を使った料理。
但馬牛関連では「焼肉丼」「ハンバーグ定食」、 但馬豚関連では「生姜焼き定食」、 但馬鶏関連では「から揚げ定食)」「グリルチキン定食」があってどれも1000円は超えるが、品質、ボリュームともに満点なので、安い、コスパ良し、と言えるかもしれない。
おすすめの食事メニューとしては、まず、但馬牛ステーキ&但馬牛ハンバーグコンボ。但馬牛のステーキとハンバーグを一度に楽しめる豪華なコンボメニューだ。但馬牛ハンバーグ定食は但馬牛を使用したジューシーなハンバーグ定食。
です。ビーフ本来の味と旨味が楽しめるボリューム満点のメニュー。
まほろば但馬牛ステーキ定食も定番だし、熱々の鉄板に乗って運ばれてくる「但馬牛」を目当てに訪れる人も多いそうだ。
牛肉より豚肉がお好きなら、兵庫県産ポークのしょうが焼き定食がオススメ。
毎週水曜・木曜ランチ時間には「おばんざいバイキング」が開催されており、メニューは月替わりで大人1,550円、子ども850円でドリンク付きとリーズナブルだ(価格は原材料高騰で変更されるかもしれないが)。
フードコートはより手軽
1000円まででお腹を満たしたい私は、より気軽に立ち寄れる「フードコート」派。うどん、そば、ラーメン、カレー、牛丼、天丼などが食券機でスムーズに注文でき、お腹が空いていれば岩津ねぎがたっぷり入ったラーメンか、「但馬鶏」の肉を使った親子丼がおすすめ。朝なら、兵庫県但東町栗尾産の絶品卵「クリタマ」による卵かけごはんがいい。
北海道から毎日空輸で取り寄せた牛乳でつくる「まほろばソフト」も好評。
古代あさご館は入場無料
道の駅「但馬のまほろば」には、朝来市内の遺跡を展示した「古代あさご館」が併設されている。
入場は無料だし、時間があればのぞいてみたい。
入口付近にあるのは有力首長の埋葬の時だけに用いられた「王者の棺」。 中に入ると日本で最初の手鏡などもある。復元品なので、実際に手に持って自分の顔を写すこともできる。 奥の暗室内には但馬の王の墓に埋葬されていた貴重な品々が展示されている。
道の駅「但馬のまほろば」の近くには国指定史跡の「茶すり山古墳」をはじめとする古代遺跡が数多くあり、生野銀山や由緒ある神社仏閣、伝統芸能などたくさんの歴史的・文化的遺産が残されていて、天空の城こと「竹田城跡」にも近い。
天空の城「竹田城跡」へ
茶すり山古墳
道の駅を出て和田山から山東へ抜ける「宝珠峠」の途中、標高約144メートルの尾根の先端に位置する茶すり山古墳は、5世紀前葉の大型円墳。直径90m、高さ約18mという近畿地方最大の規模を誇る。
調査の結果、墳丘の規模や中心主体の内容がほぼ判明し、中央政権(ヤマト政権)と強く結びついた首長の墓であることが確認されている。
築造当時の姿を再現するように保存整備が行われており、古墳築造当時の本物の葺石が露出展示されている。埴輪復元レプリカや埋葬施設の復元レプリカなどによって、当時の様子をわかりやすく知ることができる。
史跡 生野銀山
807年に銀が出たと伝えられており、1542年には但馬守護職・山名祐豊(すけとよ)が銀石を掘り出し、多くの坑(鉱山)が開かれたのが起源といわれている。
1567年には日本最大の鉱脈を発見。織田信長・豊臣秀吉の直轄時代を経た後、徳川家康により但馬金銀山奉行を配置。佐渡金山、石見銀山と並び天領として徳川幕府の財政を支えてきた。
「史跡・生野銀山」は1974年にがオープンし鉱山資料館が開館したのち2011年には生野銀山文化ミュージアム(生野鉱物館)としてリニューアルオープンしている。
坑道内を巡るコース、坑道外にある採掘跡や粘土断層、鉱脈などを巡るコースなどの観光の他、銀細工体験工房、ジュエリーショップ、レストランなども併設。銀山の歴史を学ぶことができる。(生野銀山についてはこのブログ内の道の駅「銀の馬車道・神河」に詳述しているので、ぜひご参照を!)