
漫画少年だった私のヒーローは、5歳から7歳までは「忍者部隊月光」、8歳から9歳までは「仮面の忍者赤影」。どちらも忍者だった。

10歳を過ぎると漫画以外の本も読むようになり(笑)、歴史にも興味を持ち始めると、憧れたのは皆さんご存知「真田十勇士」。
と、これまた忍者だった。
「真田十勇士」の由来は、安土桃山時代の武将・真田幸村に仕えて武勇をあらわした10人の勇士 (猿飛佐助、霧隠才蔵、三好清海入道、三好伊三入道、穴山小助、由利鎌之助、海野六郎、根津甚八、望月六郎、筧十蔵)の総称。
群馬県の北西部にある吾妻地域は、この「真田十勇士」、「吾妻真田忍者」の足跡が今も残る場所。
甲賀忍之傅とも関係が深く、甲斐国守護武田家より真田一族に関わる忍者の家系や伝承も豊富に遺る地域だ。
ということで、子どもの頃から憧れていた「吾妻の地」に足を踏み入れた。

この岩櫃城跡は、吾妻真田忍者の本拠地。巨大な山の要塞だ。
根津甚八のファン
真田十勇士の中でも、特に好きだったのが根津甚八(1569~1615)だ。

甚八は父とともに旅に出て、死別ののち海賊に身を投じ、その首領にまでなった甚八は、その後十勇士に名を連ね、穴山小助とともに関ヶ原、大坂冬・夏の陣で活躍。幸村の影武者となり、大坂夏の陣の戦いで「真田幸村なるぞ」と名のって奮闘中、徳川勢に討ち取られて果てる。
根津甚八は、祢津甚八、禰津甚八とも言い、本名は祢津甚八郎貞盛。
祢津政直から家督を継承した次男・甚八は、幼少時代から真田家と深い親交を交わしていた。
長篠合戦後、父・祢津政直は出家。幼かった甚八もともに出家したともいわれているが、甚八は真田家臣として真田昌幸に仕えたとも。
よくわからないこの頃のこと。甚八が父とともに旅に出て海賊になったという話は、誰かが勝手に創作した話だろう。
大好きなので、彼の一生を詳しく振り返る。
天正10年(1582)真田昌幸に従い上野国で北條家と戦う。14歳での初陣。
天正11年、真田昌幸に従い埴科郡虚空蔵山城にて上杉景勝軍と戦う。 甚八はこれを打破るなど、大いに活躍し戦功をたてる。弱冠15歳にして、甚八は野戦で群を抜く豪勇を誇っていた。
天正13年、矢沢頼綱に従い上野国で北條家と戦い、上野国沼田城を守る。
天正14年、徳川家と北條家との和議により、祢津幸直らは知行を信濃国内に切り換えられ、甚八も信濃国へ赴くことになる。これまで真田家譜代の家臣でありながら真田幸村とは全く別の行動をとってきたが、この頃より真田幸村の小姓たちと行動をともにし、郎党の仲間入りを果たす。 特に海野六郎兵衛と行動をともにすることが多くなる。
天正17年、真田幸村の小田原攻めに従軍。このとき甚八21歳。
野戦で無双、海賊として一流
よくわからないのは、甚八が海賊になった経緯だ。
天正18年、真田幸村が人質として大阪へ赴く際、それに小姓らとともに従う。その後も真田幸村と行動を供にする。 上杉景勝への人質でありながら、豊臣秀吉にも眼をかけられて豊臣信繁という名や左衛門佐の官位まで与えられた真田幸村が、 豊臣秀吉に九鬼水軍の情報を探ることを命じられて熊野灘に赴いた折には、 甚八自身海賊に身を投じてその首領にまでのし上がったという。これによると真田幸村の命で海賊に潜り込み調略を謀っていたとなるわけだが、『真田三代記』では九鬼水軍の動静を探りに出かけた真田幸村と甚八はここで出会い、 その器量に惚れ込んだ真田幸村が祢津甚八郎を家臣に取り立てたことになっている。
いずれにせよ海賊の出となった甚八は、十勇士でただ1人の海の専門家だった。
根来衆を率いて吹き矢戦術を得意とした甚八の存在は、強大な水軍を持つ徳川家康に対抗する重要な戦力となっていた。
野戦では群を抜く豪勇を誇り、海賊の首領までのし上がった勇猛な好漢、根津甚八かっこよろし。
甚八の最期
慶長5年(1600)、関ヶ原合戦の際は、真田幸村とともに西軍につき、上田城に籠る。
関ヶ原合戦のとき甚八は32歳。関ヶ原敗戦後は、九度山から帰った海野六郎兵衛と連れだって奥州を探索した。 海野六郎兵衛と由利鎌之助とは喧嘩するほど仲が良いという間柄で、互いに勝るとも劣らない勇猛な好漢だった。
慶長19年(1614)大阪の陣では、真田幸村とともに大阪城へ入城。甚八45歳になっていた。
元和元年、『真田三代記』によると、大阪夏の陣では穴山小助が総指揮を執る7人の影武者に加わり、 「火龍軍」と名づけた突撃隊を編成。穴山小助を筆頭に、伊藤団右衛門、三浦新兵衛、鵤幸右衛門、林源次郎、山田舎人、木村助五郎、望月六郎兵衛ら他の7人とともに波状攻撃を続けた後に、甚八は最後の1人として奮戦した。
自ら「真田左衛門佐幸村、ここに討死いたす」と徳川勢を蹴散らしたが、 加賀前田家の家臣本多安房守に討たれ、壮絶な最期を遂げた。
唐十郎から根津甚八の名をつけてもらい、個性俳優として活躍するも早逝した名優「根津甚八」もかっこよかった。名付け親の唐十郎さんも、私と同じ熱烈な甚八ファンだったようだ。
忍者とはイーサンハントである
忍者が闇夜を飛び回り、甚八の吹き矢など独特な武器と忍術で悪をくじく姿は、私の子ども心を鷲掴みにした。
たとえば吾妻の地「中之条町」で修行を積んだ唐澤玄蕃の「飛び六法」は、1.8mの高さを飛び上がったり、 幅3.6mを飛び越え、12mの高さから音も立てずに飛び降りることができたと。
「あり得ない」と笑うなかれ。
イーサンハントがやっていることはもっとひどい、いや、すごい。

忍者は極力戦闘を避け、敵の情報を集めたり破壊工作などで敵に混乱を与える役目を負っており、今で言えば「スパイ」。
そう、わかりやすい話が忍者=イーサンハントなのである。
卓越した身体能力と戦闘スキル、高度な戦略的思考力を持ち、数々の「不可能を可能にする」トムクルーズのアクションが、忍者に見えるのは私だけだろうか?


忍者にとって、最重要任務は「生き残ること」。敵の情報を、生きて主君に伝えなくてはいけなかったからだ。過酷な状況を耐え忍び、動じない心で任務を遂行した忍者、まさに日本のイーサンハントなのである。
イーサンハントと違うのは、舞台が日本であることだけ。
忍者「井伊さん藩人」は、日本各地の地形や地質、生態系を熟知し、動植物の特徴、星々の運行、天候の察知、匂いや音。かすかな「情報」をすばやく察知し、幾多の危険を潜り抜け、主君に重要な情報を届けていたのである。
忍術とは何か?
「甲賀忍之伝未来記」「万川集海」といった忍術書には、敵地へ忍び込む方法や、さまざまな道具を使いこなす方法が書かれている。
そして忍術の「本質」についても触れている。
忍術書が伝える「忍術の本質」とはズバリ、「敵を知り、その不意を突くことでスパイ活動を成功させること」なのだと。

「真田忍者」は、誰もが知る伊賀・甲賀の忍者とはまた一風異なって見えるだろう。
それは、戦国乱世特有の荒々しい気風と、古来修験山伏の神秘的な要素が融合しているからだ。
吾妻の忍者は、険しい山野を跋渉しながら心身を鍛え、大自然と一体となって超自然的な力をも味方に付けようとしていたのである。かっこいい。

「吾妻峡」の道の駅
道の駅「あがつま峡」は、関越自動車道の渋川伊香保ICから国道353号線→国道145号線を通って西に33km走って着く群馬県北西部の東吾妻町、国指定名勝の「吾妻峡」の玄関口にある。





下写真のように、北関東を代表する紅葉の名所として実に見事な景観が知られている吾妻峡。


八ッ場(やんば)ダムの完成に伴って、その4分の1が湖底に沈んでしまい(写真)、上記のような見事な景観、ちょっとヤンバいんじゃない?と心配している。



この秋、見にいく予定にしているが、紅葉は大丈夫だろうか?
道の駅「あがつま峡」
道の駅には、農作物直売所を兼ねた物産館、レストラン、軽食コーナー、温泉、足湯がある。
多彩な施設構成要素がとてもコンパクトにまとまっていて、巨大な道の駅のように疲れてしまうことはなく、安心して滞在できる道の駅だ。
駐車場にはそこそこの台数の車。人気があるのかな?


休憩というか、そんな時間があったら、忍者修行しなければ!







だめだこりゃ。
修行の場は色々あるのだが、どの修行も全くうまくできないから、面白くな〜い(笑)
疲れたから温泉へ
でも忍者修行ともう一つ、この道の駅には目玉がある。それが温泉施設「天狗の湯」だ。

源泉温度42度、カルシウム・ナトリウム・硫酸塩を含有した低張性弱アルカリ性の塩化物温泉で、豊富な温泉の湧出量によって掛け流しの湯を実現。内風呂と露天風呂の2種類がある。
入浴料は420円。鍵付きのロッカーは100円。念のためにそれを利用して合計520円。
社長、安い、やっす〜い(笑)夢グループ系列かしらん?







露天風呂もあるわ、とにかく清潔が保たれているわで、コスパ最高!
温泉施設の外には無料の足湯施設もあるので、あまり時間がなくて足を温めたい方はこちらを。

物産館・農作物直売所
道の駅の物産館イチオシ特産品は、花豆を使った「花豆きんつば」「花豆山塩ようかん」「高原花豆甘露煮」「花豆甘納豆」。
「吾妻峡カスタードケーキ」と「八ッ場ダム焼き」が並んでいたが、吾妻峡の4分の1を飲み込んだ八ッ場ダムの印象が良くないので「吾妻峡カスタードケーキ」を買ったら当たり。
とてもおいしかった。
農作物直売所では、地産の野菜が20種類くらい販売されているが、第17回米・食味分析鑑定コンクールで金賞を受賞したという「さくや姫コシヒカリ」も販売されていた。

レストラン


「あがつま亭」は、定食、丼物、カレー、うどん類といった定番に徹したレストラン。
「デビルズタンバーガー」を勧めてくれたが、1100円もする。
東吾妻町産の生芋蒟蒻とやまと豚メンチをバンズに挟んだバーガーだが、私はバカ高い値段のファーストフードやB級グルメは口にしない。ただ、他のお客さんの評判はいいようだ。
