
「日本百名山」にも数えられる川場村のシンボル武尊山(ほたかやま)。
昔から山岳信仰の霊山として知られ、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)の像が山頂付近に奉られている。
地図を見ると、武尊山は道の駅「尾瀬かたしな」の西北にあってすぐ近くに見えたのであまり何も考えずに道の駅に来たのだが、ここが予想以上に楽しい場所だったので時間を費やしてしまい、また、地図を真剣に見ると、武尊山の頂上の向こう側に以前からどうしても行きたかった「武尊神社」があると分かったので、行程を変更。
水芭蕉で有名な尾瀬への玄関口にあたる尾瀬大橋(写真)を渡り、途中尾瀬の自然をたっぷり楽しみながら武尊山の北をぐるりと回り込んで、長躯「裏見ノ滝駐車場」へと移動した。
そこで車中泊して、武尊山を無理なく登れるところまで楽しもうと。
こういう、思いつくままの旅程変更が、宿やの手配〜キャンセルや連れの意向を気にしないで済む、一人車中泊旅行のストレスフリーな魅力である。
裏見ノ滝で車中泊

上写真は、「裏見ノ滝駐車場」のすぐ手前にある「宝台樹キャンプ場」だ。
私の携帯はauだが、電波が入るのはここまでで、写真下の「裏見ノ滝駐車場」は圏外だった。
私は旅の途中、夜になるとすぐにブログを書くのだが、Wi-Fiあるいはケータイのデザリングが繋がらないとワードプレスの作業ができない。
なので「宝台樹キャンプ場」まで車を戻し、そこでブログをしこたま書いてから、駐車場に戻った。
通信環境以外は、「裏見ノ滝駐車場」の車中泊環境は素晴らしかった。
道路の両側に駐車可能なスペースがたっぷりあったし、この類の駐車場のトイレとしてはとても綺麗。感謝、感謝である。

起床後、トイレ、歯磨き、洗顔、そして簡単な朝食を車の中で済ませ、はて「武尊山」のどのあたりまで登るか、とにかく「裏見ノ滝駐車場」を出発した。

前から見たかった武尊神社の装飾さえ見れたら、その先は無理をせずすぐに引き返す予定ではあるが、ルール&マナーを守って「裏見ノ滝駐車場」にあるポストに登山届けを入れる。
舗装道路がまだしばらく続くので車で進むと、すぐに「武尊神社」はあった。
武尊神社







彫り込んだ装飾には思わず息を呑んだ。
天井絵も素晴らしかった。
こんなところ、と言うと大変失礼だが、本当にこんなところにこんなに素晴らしい芸術、意匠が存在することに驚く。日本人の営み、深み、底知れない。
安全に行けるところまで
「武尊神社」を出るとすぐ、林道に変わる。

この林道の終点にも駐車場があるので、看板にある通り「通行については自己責任」を肝に銘じてゆっくり進んだ。まだまだリハビリ中。できるだけ歩く距離を少なくしたい。
林道は終始こんな感じ。
ワダチがあって、車両進入の仲間がいるという確認ができるだけで心強い。

林道終点の駐車場に到着する。

この駐車場からは先は、さすがに車での進入は無理だ。

林道駐車場から歩き始めて、約15分。「剣ヶ峰山分岐」に到着した。

右奥へ進むと「剣ヶ峰山」への縦走路に至る。
「武尊山」へは、左手へ。
「剣ヶ峰山分岐」から先は、ちょっと本格的な登山道。
大好きな森、カラマツやブナの森へと入っていく。空気がおいしく、まだ先に進もうという気が喚起される。

ブナの大木。ブナの寿命からすると、こいつは300歳近いかもしれない。
ずっとここで、どこにも行かず、こんなにデカくなったんだなあ。
岩場が現れる。私には無理だ。
逃げるが勝ち、ここらが潮時と、迷うことなく引き返した。
何事も「目的」と「見極め」というものが大切だ。
私の目的は、「旅を楽しむこと」。
自分の年齢、体力、脚力などに照らした「見極め」は常に怠らない。
先日、能登半島の輪島でボランティア中に転倒して顔面血まみれになったが、大したことなく周りの人に迷惑をかけないで本当に良かった。
登山は危険が伴うし、私などおは特になんちゃって登山者なんだから、早め早めの「撤退の勇気」は何より欠かせない。
「尾瀬ヶ原湿原」への拠点施設
道の駅「尾瀬かたしな」は、関越自動車道の沼田ICから国道120号線を北東に25km、群馬県北東部の片品村にある。


国道120号線は別名「日本ロマンティック道路」と呼ばれる景色の美しいドライブコースで、インターを降りて最初の10kmは片品川が造り出した日本最大級の河岸段丘の素晴らしい景色。そして後半の十数キロは森林と田畑。変化に富んだ緑の風景を楽しむことができる。
なんといっても片品村には、日本百景にも指定されている「尾瀬ヶ原湿原」がある。






道の駅のBGMはみなさんご存知、水芭蕉が連想される童謡「夏の思い出」のヘビーローテーションだ。
「♪夏が来れば思い出す はるかな尾瀬 とおい空♪」。
道の駅から尾瀬ヶ原湿原の駐車場(尾瀬第1駐車場)までは近いので、尾瀬ヶ原の観光拠点としても便利に使える道の駅である。
ただし、道の駅には「車中泊はお断り」の看板が出されている。
前述のように私はここでは車中泊をしなかったが、明確に禁止されているのを無視して泊まる人もいるが、それはあかんと思う。
高級なトマトジュースが並ぶ
駐車場は、やはり人気の駅なので、空きスペースを見つけるのがちょっと大変。



トイレは実に素晴らしい。





清潔なだけではない。
尾瀬の村の、長閑な景色を眺めながら用を足せるのである。


休憩環境としても、申し分ない。
屋外にシャワーがある。


自由に使える椅子と机。


ピアノなんかも置いている。


美味しい湧き水もあった。


そして、私が大好きな「足湯」!尾瀬をずっと見渡せる。休憩環境としては完璧だ。
施設館内巡り
道の駅には、農作物直売所&物産館、複数のレストラン、ソフトクリーム売店、足湯施設などがあり、キッチンカーも楽しめる。
道の駅は2017年秋に登録、2018年7月にオープンしてちょうど7年のタイミングでの訪問。
建物はもちろんまだ新しく、全面ガラス張りになっていて、館内がとても明るい。

施設規模は、道の駅としては平均的規模だと感じるが、レストランが広めで、後で触れるがバリエーションがあるのがいい。
まず、物産館を見てみる。


トマトジュースをはじめとするジュース類が目につく。
寒暖差の激しい片品村の気候によってトマトが美味しく育つというのは知っていたが、片品村産のトマトを使ったトマトジュースは値段が高いので驚いた。種類はあるが、180ml入りでほぼ400円近くする。しかし、それなりの値打ちはあって、トマト果汁100%のジュースなのに糖度は10度もあり、抜群に美味い。
そりゃそうだろう、400円のトマトジュースなのだ。不味いと「怒るでしかし」!
大きいサイズのジュースは、もちろん何千円の世界だ。

片品村産の花豆を使った「花豆甘納豆」「花豆ようかん」「花豆ケーキ」「花豆甘露煮」。
観光地「尾瀬」の名前を冠した、つぶ餡入りクッキーの「はるかな尾瀬」、焼き菓子の「尾瀬物語」、「尾瀬ミルククッキー」「尾瀬そば」など、喜ばれそうな土産物がたくさんある。



農作物直売コーナーでは、片品村産の新鮮野菜が並ぶ。

「ルバーブ」という蕗(ふき)のような形をした野菜があった。 塩茹ですると練り梅のような味がするらしい。

レストラン「かたしな食堂」




レストラン「かたしな食堂」の推しメニューは、上州地粉と尾瀬名水を使った「尾瀬名水うどん」。「尾瀬名水うどん」を使ったメニューは「かけうどん」「ぶっかけうどん」はワンコイン。
もう一つ、「片品まいたけ」を使った「尾瀬まいたけ丼」も名物らしい。

スナックコーナーやキッチンカー、どれも美味しそう。


レストラン「村民キッチン」
道の駅「尾瀬かたしな」には、もう一つレストラン「村民キッチン」がある。



このレストランで料理を作るのは、片品村の主婦。
片品村の主婦たちが交代(週替わり)で片品村の食材を使って、客に家庭料理を提供すると言うユニークなスタイル。いや、「赤城地鶏の和風あんかけ丼」や「ゴルゴンゾーラ蜂蜜ピザ」、「片品まいたけピザ」、「上州牛すじのどて飯」などは「家庭料理」ではないよな。